ラジコンヘリコプターの入門サイト。機種選定・保守修理・ヘリコプターの調整。 ラジコンヘリ操縦の入門解説。 ヒロボーシャトル(32エンジンヘリコプター)を自分一人だけで飛ばせるように解説 するのが目標。しかも費用を極力抑えたやり方を紹介する。(お金持ちの人は新品の 機体や道具を買って上級経験者にお酒でもおごって教えてもらえばいいのでこのサイトの 対象外)

ラジコン エンジンヘリコプター入門解説

ラジコンヘリコプターは操縦や機体調整が少し難しい。がその分面白さも大きい。 しかし身近に指導者がいなくて手が出せない。最初どの機種を買えばいいのかさえ分からない。 雑誌や本を見てもさっぱり分からなかった経験をしている人が多いかも。
ここではラジコンヘリコプターを触った事が無い入門者を対象にした。目標は 自分一人で「32クラスのエンジン・ヘリコプター」を飛ばせるようになる事。
電動ヘリコプターの方が小型で扱いやすい。でもやっぱりエンジンをぶん回して飛ばせて 見たいのがエンジニアというもの。是非エンジンヘリコプターの飛行に挑戦してみよう。

ただし内容に関しては一切責任を負わない。すべて自己責任で行う事。 エンジンのラジコン・ヘリコプターは直径1mの大きなブレードが毎分1000回転 する。人に当たれば死亡事故にもつながる危険がある。説明各所で危険回避の注意事項も 記したので十分確認を要する。また飛行場所や飛行時の周囲には毎回最大限の注意を 払わなくてはいけない。

  1. 序説
  2. 用語説明
  3. ホバリング練習のために
  4. 小型電動ヘリ WLToys V911
  5. WLToys V911 の購入
  6. 電池について
  7. V911の送信機
  8. V911の操縦
  9. V911の調整
  10. V911の修理
  11. エンジンヘリコプターを飛ばす
  12. ヒロボー社製 シャトルの概説
  13. 中古シャトルの修復手順概要
  14. シャトルをオークションで購入
  15. 送信機と受信機
  16. ネジ
  17. メインブレードの取り外し
  18. テールパイプの取り外し
  19. スタビライザーの修復
  20. 動力系の仕組み:説明
  21. エンジン周りの概略
  22. エンジンの取り外し
  23. ヒートプラグの取り外し
  24. キャブレタの取り外し
  25. キャブレタの固着の修復
  26. エンジンの注油と点検
  27. 固着エンジンの修復
  28. エンジンの組み込み
  29. スロットル・リンケージ
  30. 燃料タンクの洗浄
  31. クラッチベルを磨く
  32. メインロータ構成群(ロータヘッド)の修復
  33. 電気系統の概説
  34. 電池
  35. サーボ
  36. ジャイロ
  37. ジャイロの購入
  38. 受信機接続
  39. 取り敢えず送信機設定(サーボの動作方向)
  40. グロープラグとプラグヒータ
  41. テールの組み立て
  42. 垂直尾翼の自作
  43. テールロータのピッチ調整
  44. ベアリング
  45. メインブレードについて
  46. 送信機の設定
  47. ロータヘッド機構
  48. メインブレードのピッチ調整
  49. エンジンの掛け方
  50. エンジンが掛からない理由
  51. エンジン始動後(トラッキング調整)
  52. エンジン始動後(各部調整・ジャイロの感度調整)
  53. エンジン始動後(ピッチカーブ・スロットルカーブ調整)
  54. テール安定化
  55. ホバリング練習

序 説
ヘリコプターは操縦が難しい。ホバリング(空中の定位置で静止飛行)できるようになるだけでも 大変だ。それに機体の調整も複雑。一人で飛ばせるようになるには多くの情報が必要。 経験者の知り合いがいないと初心者は手を出せない。飛行できる場所も少なくなりラジコンヘリ 人口が激減している。よけいラジコンヘリをやれる環境が無くなっている。

このサイトを参考にラジコン・ヘリコプターを飛ばせるようなれるといい。費用は機体が ヒロボー社製「シャトル」中古オークション15000円前後。ラジオコントロールの 機器が2万円。エンジンを始動する道具や修理道具1万円、燃料は4リットル3000円ほど 。ただし中古オークションのヘリは自分で動くように整備する必要がある。その方法も ここで説明する。

このサイトでは中古オークションのどんな「シャトル」でも飛ばせるようにする技術を 誰でも分かるように記述した(つもり)。 操縦は誰でもできるようにエンジンの掛け方からホバリングまでの実際を記述した。 ただしいきなりエンジンの大型ヘリでは危険だし墜落は必須なので最初はホバリング技術を 小型のおもちゃヘリで身に付ける。おもちゃヘリでもホバリングまでは結構練習が必要。

用語説明
ラジコンヘリで使う用語を説明してみた。最初から読む必要は無い。 本文説明で意味が分からない用語を見つけらた参考にしてみて。ここに載せた用語は 以降いきなり使う。

<ホバリング>
実機ヘリコプターが人命救助などで空中でじっと飛んでるいるのをよく見る。あれが ホバリング。空中の定位置でじっと飛行している事。実際の操縦では前後左右上下を 細かく瞬間的に操縦しないとラジコン機体はホバリングしてくれない。頭で考えて操縦している ようでは機体は空中で静止しない。

<送信機・受信機・サーボ>
ラジコンは手元の操縦装置から電波を飛ばして遠くの機体をコントロールする。手元の操縦装置を 「送信機」(左写真)または「プロポ」と言う。 「受信機」は手の平サイズの小さい箱(写真送信機 横の小さい物)。これは機体に乗せる。 受信機のコネクタには電池とヘリの各部を動かすための「サーボ」(右写真)という 電動モータ装置を接続する。
「送信機」で人間が操作した状態を電波で送信しそれを機体に搭載した「受信機」で 受信し受信機から操縦信号を出して「サーボ」を動かし機体を操る。
「送信機」には左右2本のスティックがありこれが操縦のための「舵(かじ)」になる。

<エルロン・エレベータ・ラダー・スロットル>
(ここではヘリコプターの機体が空中で静止していて自分が後方少し上から機体を見ている状態を 想定して説明する)
ヘリコプターは前を向いたまま左右に滑るように移動できる。これを「エルロンを操作して 左右に移動する」という。
同じように前後にも移動できる。これを「エレベータを操作して前後に 移動する」という。エレベータは上下移動ではない。
送信機の左スティックを前に倒すと(エレベータを前に倒すと) 機体は前進する。(エレベータを後ろに引くと機体は後進する)
ラダーは機体が静止したまま機体の向きだけを変える。左スティックを右に倒すと(ラダーを 右に操作すると)機首は右に向きを変える。右スティックの前後操作は スロットル操作になる。前に倒すとエンジンの回転数が上がり機体が上昇する。
エルロンは左右、エレベータは前後、ラダーは機首の向き、スロットルは上下

<送信機のモード1とモード2>
送信機のどのスティックを操作するとエルロンやエレベータになるのかの割り当ては 世界中で1通りとは限らない。この割り当ての仕方がモード。
日本では昔からモード1が主流のようで(今は違うかも) 左スティックの前後=エレベータ、左右=ラダー。右スティック の前後=スロットル、左右=エルロン。
モード2は左スティックの前後=エレベータ、左右=エルロン、右スティックの前後=スロットル、 左右=ラダー。これ以外にモード3、4もある。
自分の好みで決めればいいが一度指が覚えると途中変更は難しいだろう。 ラジコンを始める時に最大の選択帰路になる。
送信機ではモード変更ができる作りになっているのでどれを購入しても大丈夫。 (おもちゃのラジコンは無理)  裏ブタを開けて左右のスティックを 入れ替えてソフトウェアの設定変更で簡単に行える。日本製はモード1、海外製は モード2がデフォルトのよう。

ホバリング練習のために
ホバリングはラジコンヘリの基本中の基本。これを操縦するのがラジコンヘリの入口で必須。 ラジコンヘリはドローンと違い自動制御で空中静止する訳ではない。機体を上昇させた 途端前か後ろ左か右に滑るように動いて墜落する。上昇させると同時に送信機の舵(かじ) を操縦して機体が左に動いた瞬間(ほぼ動き出す前に)右に舵を少し切る。切り過ぎると 右に墜落する。
「ほぼ動き出す前に舵を切る」と書いたが実際には無理だと思える。ホバリングができる ようになるとこの表現を実感できる。でないとホバリング操作が出来ない。
いきなりエンジン機でホバリングの練習はしない。シミュレータもあるが、 おもちゃの電動小型ヘリを使う。以下おもちゃの電動ヘリでホバリング練習を解説する。

シミュレータよりおもちゃの小型ヘリがいいのは実際の扱い(調整や動作原理など) をある程度経験修得できるから。「おもちゃの」とわざわざ書いたのは 電動小型ヘリでもかなり本格的な ものがある。小さくても中古シャトルが3機ほど買える価格。 それでは気軽にホバリング入門練習ができない。

小型電動ヘリ WLToys V911
ホバリングの練習をするためのラジコンセットは WLToysという中国メーカの「V911」という 機種を使う。これは安い軽い壊れにくいしメインロータの回転も高速ではないので 室内で安全に飛ばせる。送信機のスティック操作はエンジン機の操縦と同じ。 このV911はフライバー方式(スタビライザーバー方式)でエンジン機の ヒロボー「シャトル」 と同じ構造なので機体の動きがよく似ている。ヘリの動作や反応がそれに近い。 V911は修理用部品も多数安価に販売されている。

V911の良くない点は安定しにくいという事(でもその分練習になる)。構造も簡単なので 調整しても完全に近いような調整は難しい。3Dができる可変ピッチの本格的な小型電動 ヘリは家庭の室内練習には不向き。3軸ジャイロを搭載していて安定はしているが とにかくメインロータの回転数が高くて危ない。それに高価だ。 また送信機の設定などもヘリを始めよう とする人にはちょっとややこしい。スロットルカーブ、ピッチカーブ、デュアルレート、 エクスポーネンシャルなどの設定がある。 設定の方法などはマニュアルに書かれているがそれがどういうものでなんの為に 使う機能なのかは何も書かれていない。(これはどの送信機を買っても同じ。別途後説)。 V911はそういう設定は何も無い。でもそのまま飛ばせて送信機のスティック操作は エンジン機のシャトルと同じで ホバリングの練習は十分できる。 V911でヘリのホバリングができるようになって ラジコンヘリの事情が分かってから 送信機の設定なども学習すると理解が早い。 V911でホバリング操作が出来ればそのまま調整が出来たエンジン機のヒロボー製 シャトルでもホバリングができる。

以下は3Dヘリ(XK K123 6CH Brushless)とV911の動画。 モータ回転の音を比較できる。音を 聞くだけで初心者が室内でホバリング練習できる シロモノではない事が分かる。比較のため同じ室内で採録。
小型3D電動ヘリの動画   WLToy V911電動ヘリの動画

WLToys V911 の購入
V911の入手は日本のラジコンショップやAmazonで売ってる。 中国のネットサイトから直接輸入すると安価。 Aliexpressというサイトで「rc v911 」で 検索すると色々出てくる。購入にはクレジットカードが必要。日本語表示もあるが変な訳。 もし不良品なら open dispute で返金を主張すればほぼ返金される。 ちなみに5機ほど購入したが不良品は無かった。 機体のみは BNFと記されて20ドル前後、送信機だけで25ドル前後、 機体+送信機+Lipoバッテリ+充電器などオールセット(RTFと記されている)で40ドル前後。 下の写真ではオールセットで送料無料で30ドル、部品のセットで10ドルとなっている。 安さだけではなくoders数なども参考にショップを選ぶ。 到着まで2週間ほどかかるが送料無料(Free shipping)は魅力。

お勧めはオールセットで買ってみて送信機がちゃっちいので別に最初の写真のような WLToysの送信機を購入するのが良い。検索=v911 transmitter  セットの送信機はmode2で構造もちゃっちいのであまりお勧めできない。

上の写真の送信機は別売のものでモード1,2切り換え可能。改造不要で真ん中のスイッチを 操作するだけで簡単にモードが切り替えできるスグレもの。 V912とうV911の倍ほどの大きさの機種もこの送信機で操縦できる。 V912やV913も固定ピッチで構成はV911とほぼ同じで大きいだけ。屋外用。 でも風が有るとすぐに流される貧弱物。 V912には簡易な録画カメラも搭載できる( Aliexpress で 20ドル前後。検索=v912 camera )。
V911のモータは安物のDCモータなので連続使用すると熱で壊れやすい。 一度練習したらモータを冷やしてからまた使う。続けて練習するために3機ほど買って 順ぐりで使って練習するといい。 その場合送信機も複数台あるといい。ヘリ機体ごとに 送信機に設定する事があるため。 本格的なラジコン送信機ではないので 1台の送信機に複数機体の設定ができない。 (初心者には何の事か分からないかも。本格的なラジコンの場合、送信機1台 と機体数台を 保有して使う事が多い。機体ごとに癖がありその調整設定をするので送信機には数台の 機体ごとの設定ができるようになっている。WLToyはおもちゃヘリなので複数の機体設定ができない)

電池について
ラジコンでは必ず電池を使う。ニッケル水素電池とLipo(通称リポ:リチウムポリマー電池) が多い。ニッケル水素電池は送信機や受信機に(機体に装着して)使う。Lipoは電動ヘリの機体搭載 やエンジンを掛ける時のスタータモータに使ったりする。Lipoは軽くて蓄電池容量が大きく、 出力電流も大電流を流せる優れもの。 電動ヘリのエネルギー源で電動ヘリが本格的に使えるようになったのはこのLipo電池のお蔭。 しかしその分エネルギー密度が高いので危険でもある。 衝撃で構造が壊れたりすると発火する。取扱要注意だ。保存は鉄の空き缶などを利用する事。 充電もLipo対応の専用器を必ず使用する。取扱マニュアル厳守。

V911の電池はLipoを使う。セットで購入すると電池と充電器が付属する。下図のような チューイングガムをひと回り小さくしたようなものを、機体後部から差し込んで使う。 付属のLipoは、容量が120mAと小さい。別売で200mAのものがある。200mAなら5分ほどの飛行が できる。10本あると5本を使っている間に5本を充電でき連続的に練習可能になる。 充電は留守中や無人の所ではしない。 電池の保管は鉄製の缶に日の当たらない所でする。とにかく気を付ける必要はある。 中国製なのであまり信用できない。 電池本体はプラスティックフィルムで包まれている。 充電・放電で少しだけ膨らんだりしぼんだりするらしい。使っていると膨らみが大きくなって くる。あまり充放電できなくなる。危険でもあると言われている。そのまま捨てるのも危険で、 塩水に沈めてゆっくり放電させてから廃棄する手順のようだ。 膨らんだフィルムに穴など開けるのは厳禁。

V911の送信機
V911はメインロータのピッチが固定されているタイプなので送信機の調整はほぼ無い。 買ったままの状態ですぐに飛ばせるが「トリム調整」だけは意味を理解しよう。 トリム調整の事は実際に操縦してみると理解しやすい。 下写真を参考に送信機のスティック操縦は・・・

  • 右スティックの上下方向(赤矢印)=スロットル(上下方向の移動)
  • 同左右方向(緑矢印)=エルロン(左右方向の移動)
  • 左スティックの上下方向(黄矢印)=エレベータ(前後方向の移動)
  • 同左右方向(青矢印)=ラダー(機首の左右の向き)

送信機の真ん中に黒いスイッチが2つある。上のスイッチはMode1とMode2の切り換え。 下のスイッチが電源。電源を入れるときは必ずスロットルスティック(赤矢印)が 一番下になっているの確認してから。これは必ず癖にしておく。 モード切替のスイッチは下側にすればMode1になる。電源切りでこの操作をする。

ここで「トリム」という機能を説明する。 白矢印の所にある小さいスイッチを「トリム」と言う。 両方のスティックのそれぞれの方向ごとにある(つまり4つある)。 例えば 右スティックが左右真ん中の位置にあるのに、ヘリ機体のクセ(未調整)で 右へ少し流れるとする。 操縦では右スティック(エルロン)を左に少し倒し続けないと ホバリングで機体を静止きない事になる。 このままではこの倒し続けたままの状態が中立になる。少し倒した位置から 本来の操縦をしなくてはいけない。これでは不便だ。というより正しい操縦ができない。
そこでこのトリム機能を使う。この例の場合、 エルロンス(右ティック下)のトリムスイッチを 左にコチコチと数度入れる。するとエルロンスティックを 左に倒していなくても少し倒した と同じ状態になる。つまり中立で機体が左に移動しなくなる、という訳だ。 コチコチとスイッチを入れるたびにトリムの量が増える。 トリムの量とは エルロンスティックを倒す角度量に相当する。LCDパネルに その量が増えていく様子が表示される。少し文章では理解しにくが、実際にやってみると すぐに理解できる。古い送信機ではこのトリムはアナログ的な スライド・スイッチになっている。

しかし、機体が右に流れるのはクセというよりは、機体の調整が取れていない。できれば機体 のリンケージなどを調整して流れないようにする必要がある。リンケージの意味や調整は後述。 機体の調整でできるだけ機体が流れないようにして、それでも少し流れるのをトリムで調整 するのが本道。しかし、取りあえず飛ばしてみるのが最初で、ホバリングできるように練習 してから、調整を考える。でないと調整できない。 V911のような簡単な構成のヘリ機体をあまり厳密に調整するのは困難なところがあり、 トリムを限界まで使うことがある。つまりトリムで調整してみて、 それでも流れが止まらい ときに、機体のリンケージを調整する・・という手順もありだ。 <V911の調整> も参照のこと。本格ラジコンでは可能な限り機体で調整をする。トリムは ほぼ使わないぐらいに調整するもの。

V911の操縦

  1. 送信機の電源を入れる前に、スロットルスティックを一番下に下げておく。
  2. V911に充電したLipo電池を差してそっと床に置く。 ヘリ機体のLEDが速く点滅している間に機体のジャイロを初期設定しているようなので、 そっとしておく。
  3. それから送信機の電源ON。ピ、ピ、ピ、ピーー・・・と鳴ってバインド完了。 最後のピーー がないとバインドできていない。 「バインド」とは送信機と受信機がつながる事。BluetoothやWiFiの親子機間の設定のような 事を自動でやっている。
    (ここではヘリの電源を先にONしてから送信機をONにしているが 他の電動ヘリやエンジンヘリ では順序は逆。必ず送信機のスロットルを下げて 電源を入れ、それから機体の電源を入れる。 そうしないと大変危険な事になる)
これでラジコン操作ができる(バインドは2.4GHz無線を使うラジコンシステムで、 送信機と受信機の間で連絡を取り合って空きチャネルなどを合わせ、お互いを認識・固定すること)。 スロットルスティック(右スティックの縦方向)を上げるとロータが回転するはず。 回転しないときはバインド失敗か電池切れか壊れているか。再度機体の電源が入っている 事を確認してから、送信機の電源を一度切って再度入れてみる。これを繰り返してもバインドせず ロータが回転しない時は壊れている。

V911は小さいのでメインロータの回転も低くまず安全。でも目に当たると危険、要注意。 他の人が同じ室内に居る時は操縦は厳禁。

さていよいよ初フライトだ。 スロットル(右スティック)をゆっくり前に上げると ロータが回転し、機体が浮上する前に機体が流れて壁にぶつかる。何度やっても同じ。 ラジコンセットがおかしいのかと疑う。でもそうじゃない。少し思い切ってスロットルを 上げてみるとパッと浮き上がって、天井か壁にぶつかって墜落。ちゃんと飛ぶが操縦がまずいのだ。 まずは天井に当たらないスロットルの位置を会得してみる。

スロットルの大まかな適切位置をつかんだら、左右操作(エルロン:右スティックの左右)と 前後操作(エレベータ:左スティックの前後)を練習。V911のような小型ヘリでは最初の 離陸すら難しい。操縦者の前にヘリを置く。ヘリは前向き。つまり操縦者の見ている方向に機首 が向いている状態で置く(尾っぽが手前にくる位置)。 それでスロットルを上げると、 浮上と同時に機体がさーっと流れて壁にぶち当たる。 機体を元に戻して、今度は機体がさーっと滑る方向を予想して、それとは逆の方向に素早く 舵を切るのだ。スロットルを上げると同時に、滑るであろう逆方向の舵を切って離陸時の 機体の流れを止めてみる。 それでもまたどこか壁にぶち当たるだろう。頭の中で「機体がこっちに行ったらこの スティックをこっちにきろう」などと最初は考えながら操縦するしかない。これを何度も 繰り返す。最初は「くそ! 舵がまた反対だー」ばかり。でもその内自転車が乗れるのと 同じように反射的に正しく指が動くようになる。4歳児なら自転車に30分で乗れるように なる。なにも考えずに体で会得するからだ。大人は考えが先行するのでヘリが飛ばせる のにも時間がかかる。

最初は3秒ぐらいホバリングができ、どんどんホバリング保持時間が伸びていく。 壁に当たっては ヘリを拾って元に戻し、また飛ばしてぶつかって・・・を繰り返す。 飛ばしている時間より拾って元に戻す時間の方が長い。でもその内逆転してくる。 そしてホバリングが30秒、1分とできるようになる。更に続けているとヘリ機体が 正面を向いている(操縦者の方に尾っぽが きている方向)限り、どんなに急に変化して も墜落せずホバリングが保てるように必ずなる。

V911のような小型ヘリにありがちなのは、ロータの回転数をゆっくり上げて、 まっすぐふわっと離陸させる事ができない事。ロータの回転数が低いときは、 機体が安定しないのだ。よく調整されたV911で、エルロン・エレベータを操作せずとも、 ほぼそのままホバリングが出来る機体であったとしても、離陸の時にゆっくりロータの 回転数を上げると、機体が走って壁に激突する。 つまりある程度の高さまではさっと飛び上がらないと操縦が出来ないという事なのだ。 (ちなみに後述するエンジン・ ヘリコプタの場合は、ある程度ゆっくり離陸できる) どうしても離陸が難しいようなら、下写真のように機体にセロテープを貼ってみる。 離陸時のすべる量が若干減少し、やや安定して離陸ができるようになる(確実ではない)。


練習行為には何でも「プラトー(平坦)」という部分が存在する。 最初は練習時間に比例して、熟練度は向上する。しかし、ある所で比例せず、 練習する割にはちっとも熟練度が上がらないようになる。ここでくじけたら何でも身に 付かない。プラトーを乗り越えてこそ成長あり。

ヘリの動き−>目−>脳−>指の動き−>ヘリの動き・・・の神経回路が出来た上がった ら、墜落せず前後左右に移動などさせても大丈夫だ。自由自在。ちょっとでも機体が 傾くと瞬間的にその反対になるようにスティック操作ができる。ホバリングも 最初50cm半径ぐらいでフラリフラリしているが、ほぼ空中でピタッと静止させられる ようになる。スティックの操作量が大き過ぎると、ホバリング中に左へ行ったり 右へ行ったりを繰り返す。動く前に舵を切る・・・が極意だ。

ホバリングができるようになっても、機首を左や右に振ると(向きを変える:ラダー操作: 左スティックの左右操作))、 前後左右がめちゃくちゃになって墜落する。これではヘリの機首の向く方向に常に自分も 向きを変えながらでないと操縦できない。目が回る。 つまり自分は前を向いたままヘリの機首だけ左右に向けて(ラダー操作しても)、 そのままホバリングできるようにならないといけない。これが次の重要課題だ。

ヘリの機首がどちらを向いていても、ちゃんとホバリングできるようになる必要があるが、 その前に、ヘリの調整が必要になってくる。V911は買ったままの状態でも、 概ね何とか前向きのホバリングができる程度の製品にはなっているだろう。しかし、 ホバリングをやっていると分かってくるが、どこかに勝手に滑っていく癖が付いている。 それでそうならように、ホバリングの間、常に舵を切ったままのスティックを 操作する事になる。これをカウンタ操作と(あて舵)と言っていこう。機体の調整は このカウンタ操作が不要になるように行う。 幸いにもスティック操作ほぼ無しでホバリングできる機体なら調整は不要。

送信機のスティックがニュートラルにあるだけで、ほぼ空中で静止できるぐらいに、 理想的には機体の調整をしたい。調整は次の項目を参照して、なるべくよく調整する。 調整には少し根気がいる、V911はおもちゃの類なので完全な調整は難しいだろう。そこが おもちゃだ。

(さて調整がある程度できたとして) まずは機首の向きを左(右)に45度傾けてホバリングの練習。これはまあまあ簡単にできる。 しかし90度にした途端墜落。では70度では、80度では・・・。90度でなければ、 割と簡単。85度から90度の間で練習しながら、90度に・・・。 これを何度も繰り返して機首がどっちを向いていても、反射的にスティック操作が できるようにならなければならない。 そして90度を超えて180度まで行くと「対面ホバリング(操縦者と機首が向かい合う)」 ができるようになるはず。360度反射的操縦ができるようになれば、 宙返り以外のヘリの操縦ができる理屈だ。

ところが90度になると、うまくいかない。特にエルロン操作が難しい。 機体の右側を意識上で 固定して やってみた。機体の右の一点だけ見つめて「右に機体を 移動するときは、エルロンスティックは 右」と自分に決め込んで操縦してみた。 それでも時々こんがらがって操縦を誤る。これでかなりの時間、練習したがあまり 上達しなかった。 そこで「自分がヘリに乗って操縦している」という、仮想空間に入り込んで操縦してみる。 機首が右を向いているのを目では見ているが、頭の中ではヘリに乗って前を向いて 操縦している、という仮想空間に入り込んで操縦する訳だ。 自分はヘリに乗って操縦している・・・と頭で 考えて、それとは別に外から テレビ中継している画像を見ている(現実にみているもの)と考える感じだ。 すると、うまくいく! かなりうまくいくのだ。 しかしそれでも、ちょっとでも油断して、この仮想空間がくずれると、 途端に頭がこんがらがって、エルロン・エレベータ操縦が分からなくなる。 これにはかなりの集中力とその維持が必要で、神経も擦り減る。 でもこれが自然に楽にできるようになる必要がある。練習あるのみ。

操縦をして機体がフラフラする場合、スティックを振りすぎている。スティックを 動かす幅が大きすぎるケース。スティックを動かす幅を小さくするようにしたら、治まる。 V911付属のプロポではスティックの振り幅(角度量)と機体のサーボが動く大きさとの関係を 調整する機能がないので、人間の感覚で調整するしかない。なるべくキュッ、キュッと いった感じのスティック操作を 抑えて、マイルドな操縦を心掛けたい。

(コラム) ラジコンの送信機には「デュアルレート・エクスポーネンシャル」という設定項目がある。 これがスティックを動かす操作量(角度量)と機体のサーボ動作量を調整する項目だ。 送信機の事を「プロポ」ともいう。proportional(比例した)という意味。 例えばスティックを40度倒すと機体のサーボが20度回転する、20度倒すと10度 回転する・・・つまりスティックの角度量に「例して」サーボが回転するという仕組みが ラジコンの基本原理技術。このプロポーショナルはリニアとも言える。つまり直線的に 変化する。ところがこれでは操縦しにくいと感じた部分はリニア(直線的)ではなく、 曲線的に変化させたい・・・というニーズが出て来た。 これを実現する機能がデュアルレート・エクスポーネンシャル の設定だ。スティックの中心付近で操作しても、サーボはそれ程直線的には 変化させない、でもそれより操作するとサーボもそれなりに変化する、という設定 ができる。exponetialは指数関数的な曲線という意味。

送信機のスティック操作で、縦と横操作が混じってしまう。 左右方向の移動(エルロン操作)の時に、スロットル操作がを少し入ってしまうとか 前後のエレベーター操作にラダー操作が混じってしまうとかだ。 これには送信機を両手で包むように持って、親指をスティックの真上から押さえる 位置に置き、意識的に操縦するようにする。これは癖のものなので 最初から意識してやるように練習したい。
どうしても混じる場合、例えば真っ直ぐ前後に操作しても、引くと左に入るようなら、 意識して少し右に流すように引く。自分での「真っ直ぐ」が左にずれている訳なので、 少し右に引く状態が実は「真っ直ぐ」になったりする。これで練習していると 指が本当の「真っ直ぐ」を覚えるようになる。

次は左右90度までホバリングができるようになったら、90度を超えて175度 ぐらいまでも、上述と同じ要領で操縦できるように練習する。なんとか同じ要領で できるはずだ。 ところがこの先にも壁がある。つまり180度=対面ホバリングだ。 これはヘリに自分が 乗っている感覚でもなかなかうまくできない。頭がこんがらがってしまう。 そこでまた邪道かも知れないが、ここで頭のスイッチを切り換える方法を取った。 つまり対面になった途端、操縦方法(感覚)を切り換えて「機体が動いた 方向にエルロン・スティックを倒す」と やっちゃう。どっちがどうとか考えずに、 機体が左に流れたらスティックも左に倒すのだ。 そうすれば対面でもほぼホバリングができる。 しかしこれは邪道だ。でも対面状態でじっとホバリングする必要性はそんなに ないだろう。 あるかも知れないが・・・・。

360度一応ホバリングができるようになったら、移動飛行に挑戦。 部屋の中で、ゆっくり小さい円(だ円)を描くように飛ばする。 ほんの少しエレベータ・スティック を前に倒して前進させつつ、ラダーを左か右 に倒すと円を描くように飛行する。 エレベータやラダーを調整して、ちょうどいい 大きさの円を描くように飛行する。 壁に当たりそうになったら、エルロンなども 操作して避けよう。この時にエルロン・スティック をどちらに倒せばいいか、 やっぱりヘリに自分が乗っているイメージがないと、 すぐにその回避操作が出来ない。 円を描く方向は右回り・左回りの両方が均等に出来るように練習する 必要がある。左に回ったら 次は右回りと交互に練習する。得手不得手の偏りを 作らない方がいい。部屋の広さに余裕があれば、8の字飛行もやってみよう。

ここまで操縦ができるようになれば、エンジン・ヘリコプタを飛ばすのも かなり容易にできる。小さいヘリほど不安定で飛ばしにくい。速いスティック操作も必要だ。 エンジン・ヘリのように大きいものは、ちゃんと調整されていればかなり 安定している。 ただしエンジン機は、V911のように墜落はさせられない。 絶対に墜落は避ける気持ちで飛ばす必要がある。それでも墜落はする。 墜落はとても危険だし、修復にはかなりの費用がかかる。 それより何より他の人に ケガをさせる危険も大いにある。 エンジン・ヘリを初めて飛ばすときの緊張は、V911の比ではない。 この緊張感が大きく異なるところだが、また慣れてもくる、慣れるしかない。

V911の調整
V911をホバリングさせている時、例えば常にエレベータ・スティックを少し引いた状態で ないと静止しないような場合、スティックを引かなくても前に滑らないようにしたい。 これが調整。前後・左右・機首の回転の3つの調整をする。 調整は大きく2段階でする。第一段階はヘリ機体のリンケージを調整する。 第二段階は 送信機のトリムで調整する。

スティックを常に幾らか倒しておかないと、ホバリングできないぐらいならヘ リ機体のリンケージを調整する必要がある。 しかしほんの少しかたまにスティックを操作するぐらいなら トリムだけで調整できる。

機体の調整方法
V911は固定ピッチなので、調整箇所は2つしかない。まず原理から考えてみる。 右に流れる機体で考える。右に流れるのでエルロンスティックは常に左に 倒しておかないといけない。機体を手で持ってエルロンスティックを左に倒して、 どこの部分がどの方向に動くかを見る。 その動く方向の分を少し増すように調整すると、常に左に倒しているのと同じ状態になる。 リンケージ調整を下写真を参考に記す。linkageは連結の意味。 この写真は機体真後ろから見た所。機首のカバー(キャビン、キャノピー)は外してある。 上述のエルロンスティックを動かすと、エルロンリンケージが上下に動く。 リンケージは金属棒の先にプラスティックの輪っか部品がはまっている。 機体側のサーボからの腕の先はボール状になっている。 ボールと輪っかは滑るので直角方向でもスムーズに動く仕掛けだ。 この「エルロンリンケージ」を外す。輪っかをボール部分から外す。少し固いが両手で 持ってぽちっと外す。リンケージロッドは金属棒の先に輪っかのプラスチック部分が ネジでねじ込まれている(写真参考)。 輪っかのプラスティック部は ネジになっているのでこれを回すとリンケージロッド全体が伸縮 する。 「調整」はこのねじで行う。 機体が右に流れる場合、このねじを右に回して、リンケージ全体を短くする。 この理屈を理解する必要がある。 機体が右に流れる場合、送信機のエルロンスティックを左に倒した状態にしないといけない。 エルロンスティックを左に倒すと、このリンケージは 下に下がる動きになる。 つまりこれをもっと下げた状態にしたい。なのでねじを右に回して棒全体の長さを 短くすればいい、という事になる。 短い、即ちより下げられた状態になる。つまりよりエルロンスティック が左に 倒された状態と同じになる。同じ理屈でエレベータの前後、エルロンの左右を調整 して、 スティックがニュートラルの位置でも機体がなるべく前後左右流れないように調整していく。 「リンケージロッド」のプラスティック部分は「ロッドエンド」という。 ボールと輪っかで つながっているので、このようなリンケージをボールリンケージとも呼ぶ。

機体の調整でなるべく左右・前後に流れないようにして、さらにほんの少しの微妙な 流れは 送信機のトリムで調整する。

V911のフライバーは先が丸いたる型のものが付いている。しかしこれは高速回転する 部分でかなり空気抵抗がある。オプションパーツでブレード型のフライバーが販売されている。 Aliexpress = v911 bar で1ドル程度。これは空気抵抗が下がって、 とてもスムーズに回転する。電池のもちが1.3倍ほど伸びる。

V911の修理
いくら壊れにくいV911でもひどく墜落や壁に衝突したりすると、 飛び方がおかしくなったり、 破損したりする。衝突後、飛び方がおかしくなったら、 破損などのチェックが必要。そのまま 飛ばさない。破損すると修理が必要になる。 でも小さくてどこが壊れたのかとても分かりにくい。 以前壊れた箇所を参考以下に記す。

  1. フライバー(上写真参照)が折れたり、端についている金属おもりが外れる。 これは接着剤で修復しても、質量バランスが崩れて、飛行が不安定になる。交換がベスト。
  2. ロータリンケージが外れる。壁に衝突してどこかへ飛んで行って失くす事もある。
  3. スワシュプレートは上下からを挟んでいる構成だが、墜落した衝撃で これが広がる。下左 の写真は矢印の箇所を比較すると、左のは上下が 広がりベアリング(金属光沢部)が 見えている。 ラジオペンチなどでパチンと挟んで元に戻す。
  4. モータを載せている台の部分が外れて上に浮くようにずれる。 下右写真矢印部の幅が開く。接着剤をつけてはめ込む。
  5. メインブレード付け根が割れる。下写真下段の矢印、ビス周辺。交換のみ。
  6. センターハブのような部品が変形。下写真下段右。リンケージに 差し込まれる棒が 曲がって、ラジオペンチで伸ばしたりしていたが、 回転で振動が出ていた。交換したら とてもスムーズな回転になった。
  7. エルロンやエレベータを操作して、左右前後の制御が効きにくくなり、 ホバリングでも揺れるような、ふらつくような 現象が出る。そんな時は メインブレードとフライーバーの連動が固くなっている時がある。 メインブレードを指で持って、ピッチを付ける方向にくりくりと動かしてみる。 ブレードとフライバーが軽く連動して動かないといけない。軽くプランプランとした 状態でないといけない。ボールリンクの部分やブレードのはめ込み、 止めネジの締めすぎなどをチェックする。

 
 

エンジンヘリコプターを飛ばす
電動小型ヘリV911をホバリングできれば、エンジン・ヘリコプタだって飛ばせる(はず)。 エンジン・ヘリコプターを購入する。 機種はヒロボー社製の「シャトル」だ。日本製で2021年現在、 機体・部品も販売されている32クラスのエンジンヘリはこれしかない。どんなに古い機体を 購入しても現在ヒロボーから販売されている部品で修復可能。そんな機種はこれしかない。 昭和の時代は模型店もたくさんありラジコン機もたくさん売られていた。でも 今では空物ラジコン産業はかなり無くなって機体や部品の供給はとても少ない。 搭載するエンジンは今後はもう製造・販売されないかも知れない(という噂)。 ラジコンヘリに必要な送受信機、サーボ、ジャイロ、電池なども入手困難だったりする。 購入するだけでも色々大変。 日本ではもうラジコン・ヘリコプターはほぼ製造・販売されていないぐらいに思っていい。 そこで中古を買う。中古機は安い、最初から必要な物は全部搭載されてる、 かなり古くてもほぼ完動させる事が出来る(さすが日本製)。 このシャトルは中古機がいっぱい売られている。中古機を 修復する過程では修理技術が身に着く。中古ヘリでもいい事は多いのだ。 いきなり新品を飛ばすには操縦技術が未熟で墜落させて勿体ない(必ず墜落する)。

中古シャトルはオークションなどで購入する。ヒロボーシャトルは30年以上も 前から製造販売されていてエンジンが32でないシャトルもありこれは入門用ではない。 エンジンのクラスが32のシャトルならどんなバージョンでもよい。 「32エンジンの普通のシャトル」が入門用。 入門機でも宙返りやローリング、オートローテーションまで一応できる。 たこ踊りの様な3Dはできない。改造すればできるらしいが32エンジンではパワー不足。

「32エンジンの普通のシャトル」の見分け方は、下写真のように機体腹部の 白い四角=燃料タンクが前側についている事。これが後ろだとシャトルでも32エンジン のバージョンではない。スカディとかSDXとかとか。 新品のシャトルを購入してもいいが、サーボを搭載したりジャイロや受信機は 自分で搭載する必要 がある。初めてだとそのやり方も分かり難い。 その点中古ヘリはもう搭載されているので分かりやすい。 入門には中古から入るのがいい。 エンジンヘリでも墜落はまぬがれないのでどっちみち修理や調整の技術 は必要になる。
ラジコン機でも飛行前には必ず自分で各部の整備(ネジのゆるみや電気系ソケットの 抜けの確認など)が必要。なので各部仕組みの知識が必要。 古いシャトルを修復するとその知識も身に着く。 ここではどんなにボロいシャトルでも修復できるように説明する。

ヒロボー社製 シャトルの概説
「32エンジンの普通のシャトル」の中でも、実は昔からのバージョンアップで 型が色々ある。ややこしいがどれでも現在発売されているパーツで修復できる。 コンパチビリティが完全に確保されている。さすがにヒロボーは最後まで残っている ヘリメーカだ。 「普通のシャトル」は古い順にZ、ZX、ZXX、Plus、Plus2 などの型がある。以降ここでは「普通のシャトル」をシャトルとだけ記す。 普通のシャトルは32エンジンを使用。32は0.32立方インチの排気量を差す。 1立方インチは16.39ccなので32エンジンは排気量5.24ccだ。小さい排気量だが 毎分1万回転してヘリを飛ばす。

ロータヘッドやテールロータ部で 金属パーツが使われたシャトルもある。これらはオプションパーツでパーツ単体でも 数千円もして、これらが使用されたシャトルも高額になる。 古い安いぼろいシャトルを落札すればいい。ホバリング練習でどうせ墜落する。 上手に飛ばせるようになってからきれいな物を購入すればいい。 古い物はだいたいエンジンが内部でかちかちに固まっているが、これもほぼ自力で 修復できる。古い物でもサーボは大体は動く。ジャイロ(機首の向きを自動制御するセンサ) が使えるのは7、8割ほど。ニッカド電池や受信機はほぼ使えない(と考える)。 送信機とセットで出品されている物は受信機も使えるものがある。 ただ動作保証されていない物が多いので送受信機セットでも動作確認されている物 以外は価値が無いぐらいに考えればいい。送受信機は新品を買おう(国内メーカFutaba製2万円)。 ヘリ本体だけなら価格は8,000〜15,000円程度ぐらいまでの物でいい。 送料が2,000円ぐらい。オークションで高値を追いかけても意味ない。 送料が4,000円以上もかかる時がある。要注意。 テールパイプやスキッド(足)をばらして送ってくれればいいが、 特に中古オークション業者や代理出品はそんな手間を取らずそのまま運送業者に 丸投げするバカが多い。相手にしない事。特に「送料着払い」というのは避ける。 結局合計金額がえらい高いものになる事が多い。

古いシャトルでもサーボ、エンジンは大体そのまま使える。リンケージや テールロータなどが壊れている事が多い。補修部品代は1,000〜2,000円程度必要。 ラジコンをするにはこれ以外に必要な物がある。送受信機は日本メーカ製新品で 2万円(Futaba社製T6K-Helicopter)。中国製ならFSi6=6,000円 (Aliexpress 検索 = rc fs-i6 )。 ジャイロは中国コピー商品(HK401, GA250) がHobby Kingやオークションで1,500〜2,000円。 中古機械式ジャイロも時々オークションに出ている。ジャンクだと500円、 動作確認品で1,000円程度まで。それ以上出す価値は無い。 ヘリ搭載用電池(ニッケル電池)1200円。プラグヒート用器具2,000円。 スターター5000円。スターター用Lipo電池4000円。 燃料2リットル2000円。バッテリーチェッカー1000円、道具類2000円ほど。

中古シャトルの修復手順概要
修復手順の流れを概要説明する。まず中古シャトルを入手する。オークションやフリマサイト で購入する。送受信機とジャイロと修理道具類、エンジンスタータ、プラグヒータ、各種 電池、燃料も購入する。修理調整の段階からこれらの道具類も必要になる。各部の動作を見たり 調整したりするには送受信機も必要になるので、結局必要な物を全て揃える必要がある。 どういう物が必要かは以下の各項目説明を参照。
壊れている部品類はシャトルのマニュアルで部品番号を確認して模型店から(通販)購入する。 錆びていたり汚れている部分は外してきれいにしメインマストやテールロータ回転軸のシャフト には油を塗布してスムーズに動くようにする。
受信機に各サーボからの配線を正しく接続し電池を接続し送信機とリンクを確立する。 送信機を操作して各サーボの動作(動作自体、方向、動作範囲)を確認する。 エンジンを外してエンジンシャフトやキャブレタがスムーズに動くようにする。 正常動作を確認してエンジンを掛けて各部の調整を行う。安全確認をしてホバリング飛行を 試みる。

シャトルをオークションで購入
オークションで中古のシャトルを購入する。しかし出品物は大抵なんの保証もない。 お決まりの「ノークレームノーリターン NCNR」だ。クレーマが多い昨今これは 仕方無い。
シャトルはいつでも多数出品されているので条件を絞って入札する。 「古くてもあまり使い込まれていない機体」がねらい目。理由は搭載エンジンが くたびれていればほぼ買う価値がないから。エンジン以外の部品はそれほど 高価ではない。エンジン単体での購入は困難。新品の販売があれば「OS 32SX」が2万円。 しかし販売数も少ない。 エンジン単体のオークション品は全く価値がない。くたびれたエンジンだから 単体出品している例がほとんど。手を出してはいけない。
<出品者による選別>
出品者は概ね下の3つのケース。ページを読めば大体出品者の様子は分かる。 「出品者の他のオークション」 や「評価の数」(個人は多くない)、出品の説明を見れば以下の3つどれに 当てはまるかがほぼ分かる。

1)オーナ出品
シャトルを保有していた人が直接出品しているケース。 「エンジンの調子」「フライト回数概要」「改造箇所の有無」などの質問に 誠実に回答があればいい。回答の無い人間からは買わないようにする。 ラジコンユーザ自身の出品なので不良品である確率は 小さいだろう。しかしかなり使い込んでいる物や自分流に改造してある物が時々あるので そういう物は要注意。使い込みについて質問し誠実回答があればいいかも。 墜落履歴は気にする必要は無い。現状ホバリング可能ならオーナはしっかり修理して ある証拠。一番重要なのはエンジンなのでそれをよく見極める。

2)代理出品
リスクはあるがねらい目。説明写真が多数か否かで代理出品者の良悪が判断できる。 最初だけ使ってすぐいやになりそのまま埃をかぶっているというような物はねらい目。 倉庫にあった死んだ「おやじ」のラジコンを遺族が代理人経由で出品しているケース もある。見た目汚くてもエンジンが使い込まれていなければ構わない、電気系統は ほぼ大丈夫。あとは自分で汚れをクリーニングしてエンジンを回復させ、安い部品を 買いなおすだけでいい。
代理出品者にはヘリの内容は全く分からない。専門的な質問はできない。 掲載写真から判断する。掲載写真が多数なら誠実正直な代理人の可能性が高い。 壊れている箇所も正直に撮影・展示しているだろう。 とにかく古くてもあまり飛ばしていないのがねらい目。

3)業者出品
不要品回収業者、古物商などのケース。こういう業者の見分けは 「出品者の他のオークション」を見れば すぐに分かる。 基本この連中は相手にしないが3000円未満ぐらいなら検討してみる。送料着払いの物は 絶対不可。
こういう業者は欲深なのでラジコンヘリの価値など全く分からずに 他の出品の価格だけみて出品している。梱包に手間をかけたくないようでそのまま 配送業者に渡して着払いにしている。高額送料を要求されるリスクがとても大。 こういう業者の出品物は見る価値も無い。ごみを高い送料で買うだけになる。

<発送地による選別>
北海道から本州などへはかなり送料が高価になる。買い手は送料込みでの買取価格 なので送料は大きな要素。「直接手渡し」が自分の近所なら一番いい。 直接手渡しする出品者は顔を合わすので相手をだます部分は少ないと考える。また 「直接手渡しのみ」だと地域限定になり競う相手が少ないので入札には有利。

<機体以外の一式出品>
初めてラジコンをやる人なら、スタータや工具類などの一式出品は魅力。しかし機体 以外はガラクタが多い。送受信機は価値無し、工具類500円、スタータ3000円 プラグヒータ2000円、燃料ポンプ1000円、ねじ類ボールリンケージなどの小物部品300円、 ブレード用ソフトケース1000円程度で見積もって損得を考える。

<機体による選別>
中古ヘリに搭載されているサーボ・ジャイロがサンワ(Sanwa)製の物は絶対に 避ける。 サンワのサーボはFutabaの受信機で利用できない。この メーカは電気技術の基本がなってない。JRやFutabaという2大メーカとは電気の極性を わざわざ逆にしてある。いくらコネクタが差さらないようになっていようが極性を 逆にするなど言語道断。こういう設計思想のメーカ製品は全てにおいて信用でき ないので絶対に使ってはならない。

古いシャトルはスタータベルト式になっているが全然構わない、十分使用可能。 むしろスタータベルト方式は機構が簡素で扱いやすい。 シャフトスタータ式にも改良できるがこの改良のパーツ代だけで1万円近くする。 シャトルの金属パーツはオプションでとても高価。金属パーツを使っている機体は高価。 別に必要無い。高価な機体は避ける。特別仕様のシャトルもあり入門用には 無用。どっちみち墜落するので最初から高価な機体は不要。
最初から受信機、ジャイロを外してある物があるのでよく見極める。これは無くても 新品を購入すればいい。しかしサーボまで全部外されている物は 買う価値が無い。サーボは日本製の安い新品で1個2000円ほど。これが5個必要。 中古機体のサーボは古くてもほぼ動作する。サーボまで外してある機体の価値は 2000円程度、送料込みでも3000円程度だと見ればいい。

<部品取りの機体>
エンジン、サーボが無い機体は部品取用でも買うのは損。送料だけでも2000円ほど 必要。送料込みでせいぜい3000円程度の価値。そんな物を買うなら全部ついて いる中古機をもう1つ2つ購入する方が良い。

<実際の購入事例>
テールパイプが折れた墜落品をわざと購入。これを修復してみる。 落札価格は2400円、送料は2500円、 合計4900円。家に届いた時の 写真が下。中古回収業者からの購入だったのでこんなゴミが送料2500円だった。 しかもサーボ・ジャイロがSanwa製だった
普通なら全く買う価値は無い物。修復紹介用に購入してみただけ。

さて壊れた箇所のチェック。先ずテールパイプは折れている。 メインロータ部のリンケージが1つ折れていた。

機体のボディがロータ下で割れていた。更にサーボ・テーブルの下にも致命的割れがあった。

キャビン(機体前部を覆うプラのカバー)はボロい。エンジンは完全に固着していて動かない。 キャブレタも同様でスロットルは完全に動かない。 機体本体の損傷もあるので、 見た目メインロータのマストとスピンドルは真っすぐだが、 エンジンで回転させると微妙な曲がりで振動が出るかも知れない。 テールパイプが折れている事以外オークションでの詳細報告は無かった。 リサイクル業者の出品物は概ねこんなレベル。少しでも高く売りつけたいので ちょっと見て分かる程度の破損でもわざと写真には出さない。 決まり文句が「こちら素人、ノークレームノーリターン」だ。 今回はテ―ルが折れているぐらいの物なのである程度は想定したが ひどい物だ。 さてこれを修復・調整して飛ばす。
修復結果==>ジャイロとラダーサーボは交換、飛行させて墜落して本体ボディと サーボテーブルが完全に割れて交換。エンジンは快調でその後安定して飛行できて いる。

送信機と受信機
ラジコンとはradio control。無線でヘリや飛行機などを遠隔操縦する。手元で操縦する物が 送信機(transmitter)。 大きさは弁当箱ぐらい。 受信機(receiver)はヘリコプタに搭載する 手の平サイズの小型軽量。 送信機と受信機は同じメーカで同じ系列の物でないと基本はつながらない。新品の送信機を 購入すると受信機が1個入っている。ヘリコプタに使える日本製の送受信機はほぼ Futaba社製T6Kのみ(上級者用の多チャンネル製品は他にもある)。 これは購入価格約2万円で受信機も1個同梱されている。 工業規格的な汎用性はまったくない。ラジコン製品は共通性、 汎用性はまったく考えられていない。基本はおもちゃの世界だ。 送信機・受信機ともオークションで中古の物がたくさん出品されているがやめた方がいい。 理由は幾つかある。まず信頼性が不明。かなり古い物だと突然制御不能になり兼ねない。 オークションで販売されている物は必ず「ジャンク扱い」となっている。電源が入ったと しても全てを接続して動作するかは分からない。結局故障品のごみを買わされる事になる。 普段から使っている人が部品取り程度で購入する物だ。もし古い物を購入するなら 同じ周波数の水晶発振子がついた送信機・受信機のペアの物。せいぜい送料込みでも2000円 程度の価値しかない。
新しい物は昔では考えられないぐらい高性能なマイクロプロセッサで 制御されている。また昔の送受信機ではバンドやチャネルを合わせるという 面倒があるが新しい物は一切不要。それにとても軽い。高機能で信頼性も高い。

(古い送信機の話)
古い送信機とは電波の周波数が40MHzや72MHzのラジコン専用周波数を使っている物。アンテナ を送信機本体から長く伸ばして使う。送信機と受信機のリンクは固定的な周波数で行う。固定的 とは送信機・受信機に同じクリスタルを入れて使う。クリスタルとは周波数発振子で小指の先ほど の大きさの物。同じ周波数のクリスタルを送信機と受信機にはめ込んで使用する。クリスタル を交換しないと別の周波数は利用できない。
中古品は送信機内蔵のバックアップ電池が切れている物が多い。バックアップ電池が切れていると 本体の電源が入ったとしても使えない。バックアップ電池は送信機のコンピュータに 設定した内容を保持しておくための物。この交換はメーカに送ってやるが今ではそんな事は やってくれない(JRというメーカは倒産した)。自分でやるにはバックアップ専用の電池が必要で 一般に市販されていない(バックアップ専用電池とは電圧を長く保ち電流はほぼ流さない という特別仕様の電池)。バックアップ電池の交換は送信機を開けて基盤を外してはんだづけ する必要がある。また電池交換後にシステムを復旧させる特別な手順がありメーカからは一般に 公開されていない(ネットをよく検索するとみつかる)。
古い送信機は受信機とのリンクは周波数だけ。なので複数の機体を1台の送信機で 扱う場合送信機の設定の機体番号だけで自分で確認する必要がある。例えば1番機と2番機 がありそれぞれで設定しているとする。1番機を飛ばすときは送信機の機体設定番号を 1番にしないといけない。これを誤って2番設定で飛ばそうとすると変な動きになって とても危険。この確認は人がしないといけない(新しい送信機は不要)。 ラジコンの飛行現場で同じ周波数を使う人がいると混信して制御不能になりとても 危険。それを防止するには人が確認して行う必要がある。通常送信機のアンテナに 旗目印をつけてどの周波数を使用しているか他人に宣言して利用する。
送信機の電源は送信機専用のニッカドバッテリを使うが中古品はほぼ使えない。 新品は販売されていない。他の物を流用するかコネクタなどを改造して別の物を 使う必要がある。
40MHzや72MHzの古い送受信機を使用していて突然制御不能になった事がある。受信機が故障 かと思い別の受信機に交換。送受信周波数チャネルを決めるクリスタル はそのまま流用した。するとまた制御不能。結局クリスタル が劣化していた。このようなソリッドステートな物が経年劣化するとは予想していなかった。 古い送受信機はとにかく色々と注意が必要。
下図は倒産したJRの送信機と受信機。受信機の横の灰色の小さい物がクリスタル。 受信機の側面に差し込む。

(新しい送信機の話)
新しい送信機は2.4GHzの周波数を使う。アンテナは短いので本体内部に封入されている。 送信機と受信機とのリンクは周波数チャネルを一々人が設定する必要はなく送受信機間で 自動で空きチャネルをつかんでダイナミックにリンクされる。飛行場で混信する事はない。 送信機の設定での機体の識別は受信機ごとに個体番号が割り付けられてコンピュータで バインドされる。別の機体の設定で誤動作することはない。送信機には 20台ほどの機体を個別に設定できる。ヘリ・飛行機・ドローンなど異種の設定も 全部1台の送信機でできる。電源は単三電池4本から6本ぐらい。バックアップ電池 も不要。今では不揮発メモリを普通に搭載しているので本体電源を抜いた状態でも 設定内容は保持している。ほとんどの機能は集積回路1つか2つに集約されているので 本体はとても薄くて軽い。消費電力も極めて小さい。
ここまでは良い事づくめ。良くない点は2.4GHzという高い周波数。これは直線性が 強くちょっとした陰で電波が途切れる。なので受信機には2本のアンテナ線があり ダイバシティ・アンテナになっている。2本同時に陰にならないように設置する。 また電波の偏波で感度が減衰しないように90度開いて設置する。このように 電波の受信では40MHzや72MHzよりは信頼度が低いので昔の送受信機を愛用する人も いる。
世界的には送信機はメーカからハードだけ提供されて内部のソフトウェアは オープンソースの物を利用する動きもある。Deviationというソフトが有名。 ものすごくたんくさんの受信機に対応している。メーカでユーザを囲い込むなんて 戦略はもう通用する時代ではない。
下図はJumperというメーカのT8SGという送信機。ソフトはDeviationで多数の受信機とバインド できる。FSi6やFutabaの受信機もバインドできる。購入価格約1万円。

ちなみに中国製はFSi6という送信機が5000円(受信機1000円) で販売されている。( Aliexpress検索 = FSi6 ) 機能は上記日本製の製品と同等。ほぼFutaba製を模倣している。機能は十分、 性能(品質)は不明(古い中古品よりははるかにまし)。 2.4GHzのWiFi電波を使う物で欧米の規格(FCC, CE)には合格しているよう。 世界的なWiFi用制御ICを使っているので、電波自体は違法な電波を出すような送信機 では無い。つまり保有しているだけでは電波法上は問題ない。
この国に住み税金を払っている日本人は総務省天下り検査機関で合格した送信機でないと 国内では使用できない。ところが2.4GHzのWiFi帯域で「外国」で許可された物なら なんと外国人「だけ」が我が国内で「どうどうと」使えると法律ではなっている。 税金を払っている日本人は 使えないが税金を払っていない外人は国内で許可されていない物でもどうどうと使える。 およそ精神異常者が作ったとしか考えられない法律になっているのだ。 明治の不平等条約を自ら作っているようなものでここまで日本人も落ちた。 天下りや接待の事しか考えていない郵政省系総務省役人なんてこのあほレベルだ。 2.4GHzのWiFi帯域の送受信機は世界でもわずか数種類の専用制御ICが使われていて ほぼ世界共通の物。そんな物を一々自社開発しているメーカはほぼない。なのにこんな ばかな法律運用しているばかな国は日本だけか。外人が年間2000万人以上来て ほぼ全員がスマホなど2.4GHzの電波を出しまくっている。何年も住んでいる外国人の スマホ・タブレット・パソコンは全部外国製の未検査品だ。 タブレットPCを個人輸入して使っている日本人も数十万人はいる。 中国製の小型ドローンも飛びまくっている。そんなばかな国で外国人は 中国製の送受信機を使ってもいい。なんと恥知らずの日本国なのか(笑)。

ネ ジ
ラジコンヘリに使わているネジ(ビス)は色々ある。シャトルのマニュアルにも 詳細記載されている。軸の直径が3mmのものが多い。 軸の直径が3mmのものをM3と表記する。軸の長さが25mmのときは M3×25mmと表記される。ネジの頭の溝が十字のものと、六角形の穴が 開いたものがある。六角形の穴が開いたものはキャップスクリュと言われる。 CSと表記されCSのM3×25mmといった表記になる。 M3のキャップスクリュには先が六角形になった2.5mmのドライバ が必要。先が 六角形ドライバは ラジコン用に1.5 2.0 2.5 3.0 の4本がセットになったものが販売されている。 模型店では3000円ほど。 Aliexpressでは送料込み10ドル前後(検索= rc hex driver )。 チタン製で色が4色になっているのがお勧め。下図左の小さい十字レンチも模型用。 田宮製は150円中国製は送料込みで1ドル(Aliexpress rc cross wrench)。 ラジコンヘリではゆるまないナット「ナイロンナット」(下参照)を多用するので 十字レンチがあると便利。ナイロンナットは通常の金属ナットの内側に プラスティック部分がありこれが溝に食い込んでゆるみ止めになっている。 これは少し高価。Aliexpress(検索= M3 nylon nut 50pieces )で 送料込み2ドル前後。 ちなみにヒロボー社ではM3ナイロンナット10個220円+送料。 シャトルを複数機保有するならよく使うねじを数種類保有していると便利。


それ以外にもネジの頭がなくて軸自体に六角形の穴が開いて軸自体がネジ穴に 埋まっていく 「イモネジ(SS:set screw)」と呼ばれるものがある。下図矢印の部分。 これはテールロータ部で1.5mmの六角レンチドライバを使う。小さい短いネジが多いので 無くさないよう注意がいる。

メインブレードの取り外し
修理にかかる前に邪魔なメインブレード(メインロータ)を外す。M3ビス(ドラッグボルト) 1本を外せば取れる。 2.5mm六角レンチドライバとナット用ソケットレンチを使用。 ナイロンナットが使われている事が 多いのでナット側をとめるソケットレンチ (5.5mm)があるといい。無ければラジオペンチで挟む。 エンジンヘリを扱う ならラジコン用のクロスレンチがあるととても便利いい。 フィールドでメインブレードを取り外す事も多いので道具は揃えたい。 メインブレードを留めるドラッグボルトは新しい物だとM4が使われている。M4だとブレードを 挟んでいる部分(ブレードグリップ)にナット型のへこみがあるのでクロスレンチ は不要。

テールパイプの取り外し
折れたテールパイプも外す。機体ボディの4本のM3ネジを緩める(下写真の矢印)。 テールパイプの中にタイミングベルトが入っているので、本体側でこのベルトも外す必要がある。

下の写真は機体本体の上から見たもの。テールパイプの白い端が本体側に 少し出ている(矢印)。 外した後また組み立てる時に、この位置を目安にパイプを突っ込む。 この時タイミングベルトは軽く押さえてベルト同士がくっつかない程度のたるみが必要。
タイミングベルトはエンジンからの回転を伝えるギア(プーリ) にはまっている。矢印のM3ネジを外すと、ベルトを上から押さえているプーリの フタ(プーリフランジ)が取れる。 するとプーリからベルトを上側に外せる。 このM3ネジが緩んでいると飛行中にタイミングベルトが外れて 機体が回転して墜落。飛行前の整備ではこのネジのゆるみを必ずチェックする。 ゆるみ止めの薄い座金を入れて締めるといい。

下の写真はタイミングベルトを押さえるプーリのフタ(プーリフランジ) を外した所とその部品。ワッシャは失くさないように。この状態でベルトは 上にスポンと抜ける。ベルトを外したら失くさないようにパーツ (フタ・ワッシャ・ネジ )を元に戻してネジをしめておく。 黒い丸いフタは片側だけこんもり丸く出ている。それを下にしてはめる (平ぺったい方は上)。フタをはめてワッシャを置いてネジでしめる。

新しいシャトルではこの部分はエンジンを掛けるための部品(スタータカップリングや ベアリング)がありこれらも全部外す必要がありかなり面倒。スタータカップリングと ベアリングの間に薄いワッシャがあり部品に貼り付いている事があり 無くさないよう要注意。組み立てはさらに面倒。

本体からテールパイプを完全に外すにはもう1つリンケージを外す。 ラダーリンケージ(機体本体からテール部分にまで伸びた鋼線)をテール部 から外さなければならない。下写真の白矢印=小さい埋め込みネジ(いもねじ)を 1.5mmヘキサドライバで緩める。失くさないよう 要注意。鋼線を抜いた後は また締めこんでおく。ここは サビ付いている事が多い。556を注油して 翌日回してみる。それでも動かないときは、半田ごてでいもねじの 外側部分を加熱してねじを潰さない程度の力でゴリっと回す。鋼線にはストロー のようなプラスティックのパイプが被っている。抜け落として失くさないように。 (この写真のシャトルは古い型の物。新しい物は白矢印の部分がボールリンクになっている)

メインロータとテールパイプを機体本体から外した状態

本体からテールパイプを外したら、テール部分と折れたパイプも外す。 矢印の3mmビス4本を緩めて、テール部分からパイプがすっぽり抜ける。 テールパイプが折れたような場合タイミングベルトも引き伸ばされて使えなくなって いる場合がある。しかしこれは再度組み上げて回してみないと分からない。 組み上げてメインブレードの所を手で回してテールブレードがずっと軽やかに回転するなら 大丈夫。ときどきどこかで詰まる感じでカクンとかなるようだとタイミングベルトが 傷んでいる。交換するしかない。

スタビライザーの修復
スタビライザーバーが曲がっていたので、手でぐいぐい伸ばす。目でよーく見て真っ直ぐ ならほぼ大丈夫。 バーを伸ばすときは注意して、波型にならないように注意。もしどうしても 真っすぐにならなくなったら 新品に交換。現在販売されているヒロボー純正品で適合する。 バーの交換はスタビライザーブレードを外して、どちらかに引き抜く必要がある。 曲がっていてどうしても抜けない時はワイヤーカッタなどで切るがその際切った箇所が 少し膨らんで抜けない。やすりで削って切った個所を細くしてから引き抜く。 表面が錆びていても抜けないので サンドペーパなどで表面をきれいにしてから引抜く。いずれにしても丁寧に作業しないと 抜けない。

スタビライザーのブレードは中空になっている(軽さのため?)。枠にフィルムが 貼ってある構造。その貼付のりがバカになって剥がれている事がよくある。 高速回転中にこれがピラピラ剥がれる と不具合になる。表面をきれいにして接着剤でしっかり貼る。 接着剤の量は必要最小限にする。左右の質量 バランスが崩れると回転時の振動になる。
ブレードの水平もきれいにとる。ブレードはバーにねじ込み式になっている。水平の 位置できれいに止めるようにねじ込む。ねじ込み過ぎないように注意。

動力系の仕組み:説明

(右側の写真はエンジンを下に引き抜いたところ。機体の背面から見た写真)
シャトルはエンジンが下から上を向いて機体本体に固定されている。シャフトが上を向いた 状態になっている。 エンジンのシャフトの先にはクラッチが固定されている。 一方クラッチの上からかぶさるようにクラッチベルがある。 エンジンが高速回転すると クラッチは広がりとクラッチベルが噛みあって固定され、クラッチベルも高速回転し始める。 クラッチベルはメインギアと噛みあっていて回転させる。 メインギアはそのままメインブレードを回転させる。 またクラッチベルはタイミングベルトも回転させテールブレードを回転させる。
各部のつながりは 「エンジン>クラッチ>クラッチベル>メインギア>メインブレード」。もう1つは 「エンジン>クラッチ>クラッチベル>タイミングベルト>テールブレード」。 回転比はざっくり「エンジン10対メインブレード1対テールブレード5」 エンジンが12000rpmでメインブレードは1200rpm、テールブレードは6000rpm程度になる。

クラッチにクラッチベルがかぶさっている構造だが、エンジンが低速回転までは クラッチ とクラッチベルは すき間があって離れている。 エンジンを掛ける時やかかった時のアイドル状態ではクラッチとクラッチベルはまだ 離れている。それからスロットルを上げて、エンジンの回転が上がると クラッチは広がりクラッチベルと 密着する。エンジンが停止か低速回転の時は、クラッチとクラッチベルが 離れているが、高速回転になるとクラッチとクラッチベルが噛みあい エンジンの動力が伝わりメインロータと テールロータを回転させる。

送信機のスロットルスティックが 上がったままでもしエンジンを掛けると、急に回転が上がってロータも高速回転を始める のでとても危険。エンジン始動前にスロットルスティックが下がっているのを 毎回確実にチェックする。

エンジン周りの概略

シャトルの場合、エンジンはシャフトが上を向くように取り付けられている。 この写真 ではエンジン本体のアルミダイキャストがすき間から少し見えている。 エンジンを始動する時は、スタータプーリにスタータベルトを掛けて、そのスタータベルトの もう一方に「スタータ」のプーリを掛けて、エンジンシャフトを回す。 「スタータ」とは モータで回転するエンジン始動用具の事。エンジンが掛かったら、 この写真のようにスタータベルトを元に固定して飛ばす。 このエンジン始動方式は古いタイプ。新しいのはエンジンシャフトにスタータシャフトを 連結して回す方式。(後述) ヘリのエンジンは空冷。それでエンジンシャフトにはクーリングファンが取り付けて ある。前項の写真右の白いプラスティック部品がファン。 写真の カバーの位置に内蔵されている。エンジンが回転すると空気流を下側のエンジンヘッドに 送るようになっている。 エンジンヘッドの放熱フィンは2つ下の写真参照。

給油タンクから燃料管(燃料チューブ)が伸びて、一旦機体外側を通ってフィルタを 通りまた内側に入り、エンジンのキャブレタにつながっている。 燃料管(燃料チューブが一旦外に出ているのは、 1)給油するときにフィルタの所でチューブを抜いて給油する 2)燃料がエンジンに入り過ぎた時などに給油を一時的に止めるためチューブを ピンチできるようにするため。ピンチは専用の物も販売されているが、 ペーパクリップでも洗濯バサミでも何でもいい。

機体右側にはキャブレタのニードルが出ている。これは燃料気体の濃さを調整するもの。 キャブレタで燃料と空気を混合してシリンダ内に導くが、この混合気の濃さを調整する。 通常は「閉」の状態から1.5回転左に回した「開」の状態で使うのが標準。


上の写真は機体左側から見た物。スロットルはキャブレタの吸入口を開閉してエンジンの 回転数を制御する。このスロットルレバーをサーボで動かして、 エンジンを制御する仕組み。写真のスロットル・リンケージの左側に スロットル用サーボが取り付けてある。送信機のスロットル・スティックを操作する とサーボが動いて、このリンケージが左右に動いて、スロットルの開閉を行う。

その下のタンクのような物がマフラ。マフラはエンジン排気音を抑制するだけの 物ではない。 マフラを付ける事でエンジン排気に少しプレッシャがかかる (排気が出にくくなる)。 それによってもエンジンの動作が微妙に変わる らしい(実験した事はない)。 またマフラからプレッシャチューブが伸びて、燃料タンクの上側につながっている。 排気圧を燃料タンク内に掛けて、その圧力で燃料をエンジンの方に押し出す仕組みに なっている。エンジンは回転すると燃料を吸いこむのだが、排気圧でも燃料をエンジンに 押し出すようにしてある方が安定的に燃料供給ができる。

おもちゃの簡単な2サイクルエンジンだが、微妙な仕組みとバランスで大きな パワーを 生み出している。エンジン機の方が興味を引く一因でもある。


上の写真は機体下側から見た物。エンジンヘッドの放熱フィンが見える。 ヘッドの中心部にヒートプラグ(グロープラグ)の本体が見える。 プラグは消耗品だがそんなにすぐに 燃え尽きるような物でもない。 OSエンジンの場合No8を使う(1個500円程度)。 プラグの芯に1.2Vのプラスをつなぎ、エンジン本体のどこでもいいのでマイナス を接続する。1.2Vで約1Aの電流を流してヒータを赤熱させてエンジンを始動する。 一度エンジンが掛かれば 電池を外してもエンジンは回り続ける。 プラス・マイナスは逆でもいい。ニクロム線を赤熱させるだけ。 電流を1A流す必要がある。電圧を上げ過ぎるとヒータはすぐに切れる。 通常の乾電池では電圧はいいが、電流は1Aも流せない(詳細は後述)。 1A流せる特別な電池(電源が必要)。

燃料をタンクに入れて、各部調整・整備も完了し、送信機をONにして機体電源を ONにして、プラグをヒートして、スタータでエンジンを回す・・・という手順になる。

エンジンの取り外し
中古シャトルのエンジンは大抵エンジン内部で錆びて固まって動かない。 そのためにエンジンを取り外して動くように修復する。 エンジンは簡単に取り外せる。エンジンに接続されている物を全部外し、 機体に取り付けのM3の4本のネジ(エンジン本体ネジ)を外せば機体下側から すっぽり抜けるよう取り外せる。


まずニードルはねじになっているので回して外す(右側写真はニードルを 外した ところ)。ニードルのゆるみ止め部品(ニードルラチェット:ニードルを回すとき ガリガリと当たる 部品)も、エンジンを引き出す時、機体本体 (黒いプラのボディ)に当たるようなら、 予めラジペンでつかんで引き抜い て外す。少し固いが引き抜ける。慎重に折らないように外す。 ニードルラチェットが機体ボディに当たってるのに無理にエンジンを引き出すと 折れてしまう事がある。 このニードル下部の所に燃料チューブがつながっているので、 本体外側のフィルタの所で燃料チューブを 外しておく。


スロットルリンケージも外す。白いプラスティック部分は指で簡単に外せる。 ここがもし割れていたりすると、とても危険なので新品と交換する必要がある。 スロットルレバー(スロットルノブ)を止めてある六角ナットを外して スロットルレバーを取り外す。 これは取らなくてもエンジンは何とか外せる。 マフラも外すのでその前にマフラと燃料タンクをつないでいるプレッシャ用の チューブを外す。


マフラを取り外す。上左側の写真は機体本体の下から見たところ。この写真 では下にマフラがあり、それを止める ネジが上から入ってとまっている。 マフラをエンジンに固定しているネジは2本でマフラのある側とは反対側か らM3キャップスクリューで止められている。 2.5mmのヘキサドライバを機体側部の 穴から奥まで差しこんで、キャップスクリューにはめ込みネジを外す。 マフラは排ガスでべったりくっついる時がある。ネジ2本を外せば、あとは手で バリッとはがす。それから90度回転させて、機体側部から取り外す。文章 では分かり難いが、構造をよく見て外す。


以上のものを全部外すと、エンジン本体が機体の下側からすっぽり引き抜ける。 外したエンジンは鉄の部分がサビだらけ。でも油を吹き掛けるだけできれいになる(後述)。

ヒートプラグの取り外し

まずは外したエンジンのヒートプラグを外す。100キンで買った六角レンチで プラグを回して外す。外す前の注意=プラグには銅製ワッシャが入っているので 外した時に落とさないように注意。小さい袋にでもまとめて 入れておく。 写真の矢印にあるヒートシンクヘッドやカバープレートを止めている ネジは外してはいけない。 ヘッドやカバープレートを外すとガスケットをちぎってしまう。 ガスケットはパッキンのようなもの。

ヒートプラグは切れていないか確認するために外す。その確認方法は後述 (ここ)。 またエンジンが固着して動かない場合は、エンジンの固着を改修してからプラグを しめ込む。 ヒートプラグを外す専用工具はヒロボー社からも発売されているが3000円以上 もする。100キンやホームセンタでうまくヘッドのくぼみにはまるレンチを探す のがいい。滅多に使わないから。

キャブレタの取り外し

キャブレタをエンジン本体から取り外す。 その前にキャブレタの役割を簡単に説明する。キャブレタは液体の燃料を吸いこみ 空気と混合して「混合気」を作りエンジンに送り込むための部品。 キャブレタには丸い窓がありこの「窓の開け閉め」がスロットル操作になる。 キャブレタロータという丸い棒のような部品で窓を開閉させる仕組み(上右写真)。詳細は下述。
キャブレタロータにはスロットルレバーが取り付けられこれをラジコンで動かしてエンジンの 回転数を制御する。 エンジンの回転数は「混合気」をエンジンに送る「量」(窓の開閉)でコントロールしている。 混合気の「燃料濃度」ではない。混合気の燃料濃度の調整はキャブレタロータの 反対側に刺さっている「ニードル (針先状のねじ部品)」でほぼ固定的に行っている。このニードルは時計回りに いっぱいまで閉めた所から反時計回りに1.5回転開いた状態を標準にしている。 この標準から閉めていくと混合気の燃料濃度は薄くなり開くと濃くなる。 ちなみに燃料濃度を濃くするとブスブスブスンといってエンジンは かぶり気味になり止まりそうになる。 薄くすると逆に回転数が上がってギーン キーンという高い音でエンジンは焼け気味になる。詳細は後述エンジンの調整の項で。


写真左側はスロットルが閉じている状態、右側が開いている状態。 スロットルが開の状態で キャブレタロータは左に少し出ているのが 分かる(右写真の矢印)。キャブレタロータを、 見た側から左回し (反時計回り)するとロータが少し手前に出てきてスロットルが開く状態になる。

さてキャブレタ部分をエンジン本体から外すにはキャブレタの両側 にあるM3.5×5mmの2本の黒ネジを外すだけ。しかし このネジがいつも カチカチに固まっている。ここにも注油しねじの横から軽くコンコン叩く。 そして半日〜1日を置く。油の浸透を促す。ネジが固い時根気よく数日かけて これを繰り返す。プラスドライバで力任せに回すとネジ頭の穴がすぐにつぶれる ので要注意。このネジ頭の穴はとても弱い。このねじは焼きが入っているのか 焼きなましになっているのか。
どうしても回らないとき、半田ごてでネジをよく熱して冷やして から回してみる。 ネジザウルス(下写真の緑柄ペンチ)があると簡単に外せる。 でもこのペンチは2000円以上もして高価。とにかくこのネジ穴を つぶさないよう根気よく、力じゃなく頭を使って回す事が重要。 このネジは大切にする事。2本で200円ととても高価。 M3.5なんてねじはどこにも市販はされていない。

ネジを外したらキャブレタをエンジン本体から引き抜く。 これは大体すぐに抜けるが抜けにくい時はまた半田ごてで熱する。 薄いOリング(黒いパッキン、上右写真の細い黒い筋のような物)が はまっているので切ったり失くさないように。 またキャブを火であぶるときは、Oリングを外すことを忘れずに。キャブレタや キャブレタロータ内にあるネジはむやみに回したり外したりしない。そのままで使用する。
(コラム)キャブレタ止めネジはM3.5×5mmという中途半端な寸法。 これはどんなネジでも置いていると豪語するネジ専門店でも置いていなかった。 小川精機の予備パーツではわずかネジ2本が200円もする。どうしてこの部分にこんな 中途半端なネジを使う設計にしているのか?? どう見てもM3かM4でも十分。 エンジン内部のベアリングもわざわざインチ系列のものを使っている。 どういう設計思想?

まれにキャブレタの内部にゴミなど(?)ついてエンジンの回転がおかしくなったりする。 キャブレタを外した時は市販の自動車用「キャブクリーナ」で吹いておく。 燃料の入口やニードルの穴からもプシュプシュ吹き込んでおく。 吹き込む際しぶきが掛かり易いので目から離して注意して作業する。

キャブレタの固着の修復
キャブレタにはスロットルレバーが接続する棒の部品(キャブレタロータ:2つ上の写真参照) がささっている。サーボからこれを操作してエンジンの回転をコントロールする。 そのためキャブレタロータは軽く回るようになっている。 ところが古いエンジンではこれが固まって回らない事が多い。 本来これは軽くくるくる回り空気吸入口が開閉するようになってる。 もしこれが回らないならキャブレタロータが 固着している(古いエンジンはよく固着している)。 これではスロットルが動かないので回るように修復する。
キャブの空気穴と キャブレタロータの外側部分から556を注油してスロットルが回る方向に スロットルレバーをかるーくコンコンと金槌などで叩く。キャブレタロータをプライヤ などでつかんで回す 方向に叩く。とにかくかるーく「刺激」を与えるかのような 感じで叩く。
強く叩いたりしない。それからプライヤでキャブレタロータをつかんで持って回してみる。 このとき少しでも 0.5mmでもカクッと動けばしめたもの!!これでもう大丈夫! 手ごたえで分かる程度の ほんの小さい「カク」があればもう成功。 キャブレタロータとキャブレタ本体のすき間に556を注油しながらあとは根気よく 手でカクカクと少しずつ何度も回していく。回していると小さなカクが徐々に大きな カクカクに変わっていく。そしてついにグルンと回るよになる。

カクという手ごたえが全く無かったら、軽くコンコン叩いて1日置いて またキャブレタロータ回してみる。これを数日繰り返す。固着は気長にやるしかない。

それでもどうしても「カク」とこない時は外したキャブレタの吸入口に半田ごてを 突っ込んで加熱する。数分加熱後は熱いのでキャブ本体を新聞紙を丸めたもので つかんでスロットルレバーをまたコンコン叩いてみる。
ちなみに今回のエンジンの時は 注油だけでは全然回らなかった。それで半田ごてで3分ほど加熱。 するとほんの少しだけカクッと動いた。これで大丈夫。キャブレタが冷えた後 注油しながら左右にカクカクと少しずつ回していった。 10分ほど繰り返していたら、全部くるんと回るようになった。

エンジンの注油と点検

サビてボロボロに見えるエンジンにもオイルを吹き掛けると、わりときれいになる。 カサカサの手に ハンドクリームを塗った感じ。外見でサビている所に556を吹いておく。 クラッチの部分には オイルを吹き掛けないようにする。 エンジン内部にもオイルを入れる。ヒートプラグを外した穴(シリンダ内)、 キャブレタを外したあとの穴(クランク室内)。細かい事が気になる人はエンジン 内部にはエンジンオイルをいれればいい。

エンジンを点検する。エンジン本体を持ち、白いプラスティックのファンを手で 回してみる。これが回らない時エンジンが固着している。次項でエンジン固着を修復する。 回れば外したプラグをしっかり閉めこんで、もう一度ファンを持って回してみる。 空気の圧縮があってぐーっと回していってスポンと空気が抜けるぐらいの感じで回れば エンジンは大丈夫。この圧縮が無いとエンジン不良。別の中古シャトルを購入する のが得策。エンジン以外は部品として保有すればいい。新品のエンジン単体は高価。 中古シャトルを2機買えるほど。 オークションでエンジン単体を出している物はやめた方がいい。エンジン単体で オークションに出すユーザは、かなり使い込んだ物を出品している例が多い。

(コラム) エンジンのラジコン機を扱うとき、オイルだらけになる。 エンジン燃料にもオイルが いっぱい含まれている。機械部にはオイルをどんどん 注油する。手や作業台などにもオイルが いっぱい着く。機体やエンジンから 垂れたオイルがズボンを汚す事もある。オイルを拭くウエスや 紙類の準備が必要。 オイル汚れになれる事も必要。

固着エンジンの修復
固着したエンジンを回るようにするには、とにかく時間をかける事。 一週間単位で作業を進めるイメージ。力は使わず頭を使うようにしよう。 エンジン本体を持ってファンやクラッチを回そうとすると動かない物がある。 使用後、長時間放置され内部がサビたり、燃料で固まってしまっている。 エンジンにオイルを注入し、固まって いるすき間にオイルを浸透させて回るようにする。 マフラを外した排気口、点火プラグを抜いた穴、キャブレタを外した穴からから ミシン油や556を入れて2、3日間ほど置く。油の浸透を待つ。 がっちり 固まったすき間にオイルが浸み込むには時間が必要だ。 排気口やプラグの穴はシリンダ・ピストンにつながる。キャブの穴からは シャフトやクランクにつながる。ここはよく錆びる。 エンジンのカバープレートやヒートシンクヘッドは外さない。外すとガスケット (パッキン) がちぎれる。ガスケットがちぎれたら新品で交換するか、 紙を型に切って挟む。

2、3日したらエンジンを手で回してみる。クーリングファンの部分を持って、 ちょっと力を入れて左右にぐっと回してみる。全然回らなければまた2、3日してから 回してみる。 もしほんのちょっとでも(0.5mmでも)、カクッと動いた感触があればしめたもの。これならあとは 手と油だけで回せるようになる。固まった面が少しでも動いたら、 オイルの浸み込みも早くなるので、オイルを刺しながらカクカク動かしていく。 根気よく日にちをかけてエンジンを手でカクカクやって浸透を促す。 時間と根気で必ず回るようになる。

2週間やって動かないときは、ヒートプラグの穴から、割りばしを入れて金槌でかるーく コンコンと刺激を与える作戦。固まっている隙間に刺激を与えてオイルの浸透を促す。 浸透を促すために軽く叩くだけ。絶対に叩いて動かそうとしない。 ピストンやシリンダが傷付いたらそのエンジンはおしまい。力わざは絶対用いない。

更にどうしてもピストンとシリンダ間の固着が溶けない時は、オイルの代わりに 灯油を入れてやってみる。灯油は強力な溶剤。下の写真はヒートプラグをはめて、 排気口から灯油を満たしている状態。ピストンが下がった状態で固着していたので、 排気口から灯油を満たしている。ピストンが上がっていたら、 ヒートプラグを外して そこから灯油を満たす。

注油後1週間しても動かない時は、道具が別途必要になるが下の写真にあるように、 クラッチシューを外して、 そのねじ穴に写真の鉄板バーの工具 (ヒロボー社製フライホイールレンチ1000円)をねじで固定する。 このバー工具はプーリーや冷却ファンをシャフトに固定するねじ(プロペラ ナット) を締め付けるのに(外すのに)使うもの。それほど高価でもない、 買っておくと色々便利。
オイルが浸透した状態で、エンジン本体をしっかり持ってこの工具の先端部分を 横から金づちで軽くコンコンと叩く。右回り・左回り交互に軽く刺激を与えるように叩く。 シャフトに回転モーメントをかける方向。 この時も力で回すのではなく、固まった箇所に刺激を与えるような感じ。絶対に 強く叩かない。 少し叩いてから手で回してみる。コキッとちょっとでも動いたらもう叩かずに、 あとは手でゴキゴキを回す。 (この写真は別の機体のエンジン) 回らなければまた数日置いて繰り返す。 ここまでで約8割の固着エンジンは回るようになるイメージ。 それでもどうしても動かない時は火力を使う。これは最終手段。これで回らなかった 事は過去一度も無い。

最終手段:火力を使って固着エンジンを回す
灯油を入れた状態で火であぶってはいけない(当たり前)
エンジンからニードル、キャブレター、ヒートプラグは必ず外す。 軍手をはめる。 新聞紙をくしゃくしゃに丸めた物で、エンジンをつかむ。 エンジン本体は冷えた状態。本体のシリンダ側面部をバーナで急激にしっかりあぶる。 火であぶる程度は、真っ赤になるほどじゃない。感じで表現すると、木の表面が 「しっかり焦げる」レベル。 クーリングファンはプラスティックなので、絶対にここに炎が かからないよう要注意。 エンジンが冷えた状態から急激にシリンダ外側を 加熱する事で、シリンダとピストンの膨張率の違いで固着がはずれるみたい。 熱いまま手でクーリングファンの所を握って回す。ゴリっと少しでも回ったら、 もう火であぶるのはやめて、あとは上述のように注油しながら少しずつ回し ていく。火であぶってもし回らなかったら取りあえずエンジンを 放置・冷却する。よく冷えてから再度回してみる。 熱い間回らなくても、 冷えてから回るようになってる事がある。冷却する段階でやはりシリンダと ピストンの収縮率の違いから、固着がパキッと離れる事もある。 またあぶっても回らなければ、上述の注油+軽くたたいて刺激を与えて火であぶって ・・・を 繰り返す。

冷えてからエンジン内部にオイルをたっぷり入れる。エンジン全体がスムーズに 回るまでクーリングファンを持ってクランクシャフトをぐるぐるグルグル回す。 とにかく力で回さず ゆっくり気長に徐々に回すようにする。力で回すとピストンと シリンダの間にキズがついて圧縮が悪くなる。 今度はヒートプラグを締め込んでから 圧縮があるか確認する。 圧縮はシャフトを回していって、ピストンが一番上の所でちょっと 固くなって、ポッコンといって回る感じ。圧縮がないエンジンは使えない。 ピストンとシリンダのすき間からガスが漏れる。 シリンダ内で燃料が爆発してもガスが抜けては回転力に変換できない。 エンジンを回すときは本体後ろから見て、時計回り、クーリングファン側 から見て反時計回りに回す。これは実際にエンジンが回転する方向。

こんなエンジンでも燃料を入れてプラグをヒートしてぶるんと回すと、 バルンバルンビ、ビー とエンジンがかかる。最初サビだらけの廃液が マフラから出てくる。そしてヘリをちゃんと浮かせるパワーを出すのが面白い。 固着したエンジンを苦労して動くようにできるととても嬉しい気持ちになる。 新品エンジンはOS32SX-Hで19000円もする。しかももうあまり製造して いないらしい。 もう1機中古シャトルを買うほうが安いぐらいの値段だ。 なので中古機ではエンジンが命だ。 エンジン単体でオークションに出ている物は購入しない方がいい。 あまりいい物は少ない。 エンジン単体で出品するような人はかなりエンジン を使い込んで、別のエンジンにした廃品が多いから。また割高だし、 もうちょっとお金を出せば別のエンジン付きシャトルを購入できる。 エンジン、メカなど全部搭載されたシャトルの出品はそれほど使われず に放置された物が多いと想像できる。


今回2,400円で買った壊れたシャトルのエンジンは、最初ボディの アルミダイキャストは白く粉をふき、鉄の部分はまっ赤だった。 シャフトは固着してびくともしない、スロットルもカチカチに固まっていた。 でも注油して加熱して、ピストンはパコパコいって回り、スロットルも スムーズに回るようになった。 注油してボディを歯ブラシでみがくと、 ちょっと生き返ったようなエンジンに修復できた。 金属にオイルは ビタミン剤。勿論エンジンは力強く回転して普通に飛行できるようになった。 その後このエンジンはすごく調子がいい。始動もすぐにかかる。このエンジンだけ でも2,400円は安かった。サーボの調子もいいので送料込みで5,000円はもうけものだった。 さすが日本製はすごいわ。

エンジンの組み込み
修理のできたエンジンを元のように機体に組み込む。ちょっとコツが必要だ。組み込む前に エンジンに燃料チューブを差しておく。下図は別機体のものだが下図の白い燃料チューブ がエンジンからのチューブ。外のフィルタまでの15〜20cmぐらいのチューブを 予めエンジンに差しておいてからエンジンを組み込む。組み込んでから機体外側にこの チューブを引き出す手順。
更に組み込む前にそのチューブ横のネジ穴に、マフラを止める用 のネジを差しておく。チューブがかぶる形なのでこのネジは差したままでも落ちにくい。 ニードルラがささっている場合エンジン組み込み時は外す。 また 裏側のスロットルノブも外れた状態で組み込む方が、機体にエンジンを挿入 しやすい。
事前にこの準備が出来たらエンジンを機体に挿入する。 クラッチをクラッチベルに最後までしっかり真っすぐ挿入して エンジン・マウントに4本のビスを 入れて固定する。まっすぐ正確に最後までエンジンを 挿入しないと機体とエンジンマウントのねじ穴は一致しない。このビスは最初仮止めにゆるく しめておく。クラッチとクラッチベルに少しだけすき間がある。 このすき間が円周上に沿って均一になっていないとエンジンが真っすぐ 入っていない。クラッチベルにクラッチが真っ直ぐ正確にはまっている事を 確認できてから4本のビスをそれぞれ徐々にしめていく。

ニードルを差して、キャブレタロータにスロットルノブをネジ止めする。 向かって右へいっぱい倒した状態がスロットル閉なのでその位置で クーリングカバーぎりぎりに当たらない位置にして固定する。

マフラを機体穴に挿入して90度回転させてエンジンの排気口に合わせる。マフラの 排気穴が下にこないといけない。エンジンの排気口にマフラをぴったり合わせて 事前にエンジン本体に差してあったねじでマフラを留める。 マフラ側にネジ溝が切ってあるのでナットは不要。マフラをエンジン の固定位置にきっちり合わせてそれから下側の方のねじを締めて固定する。 最後に上下のねじを増し締めする。

燃料チューブを機体横の穴から外に出す。燃料タンクからの燃料チューブ (下図緑のチューブ)とフィルタを介して接続する。

燃料タンクからの排気圧用チューブをマフラのチューブ用穴に差しこむ。 下図写真は分解前の写真。スロットルサーボとリンケージして完了。 スロットルリンケージの調整は別途。これは正確にしないとエンジン始動ができなかったり エンジン停止ができないという大きなトラブルになる。要注意。

スロットル・リンケージ

組み込んだエンジンのスロットルとスロットル・サーボのリンケージをする。 リンケージのロッドアジャスタ(白いプラスティックの部品:上図)を スロットルレバーから外しておく。その状態で指で スロットルレバーを動かすとキャブレタの全開と全閉の間で動くのが分かる。 その時スロットルレバーを向かって右にいっぱい(機体後ろ側:下図青矢印の方向) に倒すとキャブレタは 全閉になる。しかしもしスロットルレバーがクーリングファンのカバーに当たっていると (下図黄色矢印の部分にスロットルレバーが当たると) 全閉にならない。この時はスロットルレバーをキャブレタに止めているM5ナットを 緩めてクーリングファンに当たるちょっと手前で全閉になるようにレバーの 位置を調整する。調整後M5ナットはしっかり締める。 それからリンケージ作業を行う。シャトルのマニュアルもよく参考にする。

ラジコン操作ではエンジンを停止させる時、スロットルスティックをいっぱいに下げて (この状態でアイドル状態)更にトリムを一番下げてエンジンを停止させる操作になる。 これをリンケージで実現する。
送受信機をセットアップしてスロットル・スティックを手前にいっぱいに引く( スロットルをいっぱいに落とした状態)。これでスロットルサーボは向かって右に45度 ほど傾いていればいい。反対に左に傾いていたら、送信機の「サーボリバース」機能で 3番(スロットル)を反対に設定する(送信機設定の項目参照)。 そうすればスロットルスティックを引くと(下げた状態で)スロットルサーボが 右45度ぐらいいっぱいに回るはず。
スロットルをいっぱいに下げて更にスロットルトリムもいっぱいに下げてサーボホーン が右45〜50度ぐらいにならなかたら、サーボホーンを外してそれぐらいの角度に はめ直す。

スロットルサーボがこの位置でキャブレタが全閉になるようにリンケージする。 リンケージロッドのロッドアジャスタはねじになっていて長短調整できる。 それを調整してロッドアジャスタをスロットルレバーにはさむ用にして固定する。 この状態でスロットルレバーが右いっぱいに倒れてキャブレタが全閉にならなければ いけない。
下図の青矢印=サーボホーンを外すねじ  緑矢印=ロッドアジャスタ   赤矢印=スロットルレバーをキャブレタロータに固定するM5ナット
  
スロットルを上げるとこのリンケージは左に倒れキャブレタを開く。スロットルレバーを キャブレタに固定するM5ナットはゆるむととても危険なのでリンケージ完了後 再度増し締めをしてゆるんでない事を確認する。エンジンを始動するときは、スロットル スティックをいっぱいに下げた状態でスロットルトリムを上げて(トリムでキャブを開いて) エンジンを回す操作。スロットルスティックを上げてエンジンを始動するといきなり高速 回転になり危険。

燃料タンクの洗浄
燃料タンクを取り出す。まず電池、受信機をコードも含めて全部外す。 電池・受信機の 背もたれのような縦板(黒プラスティック板)を外せば、 燃料タンクはすっぽりと 抜ける。縦板(黒プラスティック板)は6本の タッピングねじを外せば取れる(下写真の矢印)。

下写真のように燃料タンクの中に廃液が残っている。紙に出してすてる。 更に紙を突っ込んで逆さにしておくと、ほぼ完ぺきにオイルを排出できる。 腐った臭いがするときがある。 タンク内に錆クズなどのごみが残っている場合はきれいにする必要がある。 ほんの小さいごみがエンジンのキャブレタにひっかかる事がある。 スロットルを上げても回転が上がらなかったり 不具合が生じるケースはままある。 小さく切ったウエスかキッチンペーパを入れて、太い目の針金を曲げて コシコシする。 そのあと台所洗剤などで洗浄・乾燥させる。 燃料タンクのゴムパッキンだけでは売っていない(タンク全体のキットのみ)。 パッキンを壊さないように取り外す。が、とても固い時がある。

燃料タンクには2本のチューブがつながっている。1つはタンクからエンジンに 燃料を送るもの(燃料チューブ)。もう1つはマフラから排気ガスの圧力を、 タンクに戻すもの(排気圧チューブ)。これは排ガス圧力を利用して燃料を エンジンへ送り出すためのもの。 燃料チューブは燃料を最後までエンジンに 送るために、重りで常にタンクの底辺に付いていなくてはいけない。 逆にガス圧チューブはタンク内に圧力をかけるために、 タンクの上辺側に付いている必要がある。タンク内ではそれぞれ そういう状態にしておく。 一番新しいタンクのバージョンは、 ガス圧チューブ用の接続口がタンク自体の上辺角に設けられている。 そこからマフラに接続する。 燃料タンクとエンジンをつなぐシリコン チューブが簡単に抜けるようなら、100キン のアルミ針金でしばる。 またはチューブを少し短く切って、これをチューブ接続口にはめる(チューブが 2重状態)。かなり固くてはめにくい。

燃料タンクとエンジンをつなぐチューブの途中に「燃料フィルタ」 が入っている(入っていない時は新規購入して入れる)。 下写真は別機体のもの。 青いチューブが燃料タンクにいく。 白いチューブはエンジンのキャブレタにつながっている。 そのチューブの真ん中にあるのが燃料フィルタ。 燃料をタンクに注入するときは、燃料フィルタ の右側を外して (下の写真では)青チューブに燃料ポンプのチューブを差して給油する。

そのフィルタの中が詰まって いないか確認・掃除する。 フィルタの中の金網だけというのは販売されていないので、 傷めたり、失くしたりしないよう要注意。今回購入したシャトルに 付属のフィルタは下写真のようにごみがつまっていた。 556やキャブクリーナを汚れ面に入れて、ごみを軟化させてから反対 の口から一気にごみを噴き出す。ステンレス製のフィルタネットを失くさないように。

クラッチベルを磨く
エンジンのクラッチにかぶさる「クラッチベル」がサビているので、 磨いて多少きれいする。きれいにするのは見た目だけの問題。この古いクラッチベル はもう新品は販売されていない。大事にしたい。ベル本体とギアが付いたシャフト とはかしめてあるだけで、あまり強い力がかかると外れる。要注意。もしこのクラッチベル をだめにすると購入できる部品の関係から、シャフトスタータに全部やり替える必要がある。 本体のフレームも交換する必要があり、手間も費用(1万円以上)もかなりかかる。 中古機がもう1台購入できる金額。

クラッチベルの上、機体の内側上部にタイミングベルトのプーリがある。これを外すと クラッチベルが下に引き抜ける状態になる。クラッチベルの下にあるクーリング カバーを 外して、クラッチベルを下に引き抜く。ベアリングと固くくっつい ている時は、ベアリングとクラッチベルのシャフトのすき間に注油して、 上からシャフトをピンポンチ(またはドライバ) で叩きぬく。軽く叩いて 少しずつ下に落としていく。きつく叩くとフレームが割れてベアリングごと 落ちてしまう。新しいフレームならベアリングを締めているボルトを外せば、 ベアリングごとすぐに外れる。クラッチベルからベアリングが抜けない時は、 オイルで濡らしてベアリング・プラーで抜く。またはベアリングの内輪を はんだごてで熱すればすとんと抜ける。

サビた部分をサンドペーパでこする。サビを落としたら表面に556を塗布しておく。 クラッチベルを機体に戻す前に、エンジンのクラッチにかぶせて 軽やかに回るか確認しておく。

メインロータ構成群(ロータヘッド)の修復
メインギアから上、メインマストにはたくさんの複雑な部品が付いてロータヘッドを 構成している。これがヘリコプタを前後左右への移動を可能にしている機構だ。
墜落するとこれらの部品が破損する。中古機が墜落機そのままだとここも修理する必要がある。 リンケージ、ミキシングアーム、ウォッシュアウトのアームなどが折れていたりする。 また見ただけでは分かり難いメインマストが曲がっている事もある。マストが曲が っているとロータヘッドを手で回して真上からみると回転の中心が振れる。 その映像 これではメインロータが回転すると 大きな振動になるのでメインマストを交換しないといけない。墜落でメインマストは意外と すぐに曲がる。

<ロータヘッドの外し方>
機体本体のエンジンの上の大きなギアがメインギアだ。 メインギア下にあるマストとギアを止めているM3×16CSねじを外し、スワッシュプレート からWリンク、エレベータリンクを外すと、ロータヘッドはすっぽり上に引き抜ける。 引抜くとメインギアがころんと横に外れる。
<ロータヘッドの組み込み>
ロータヘッドの修復が完了して元に修復する。メインマストを上から差し込む。メインマスト 下部の穴とメインギア下の穴を合わせてネジ止めする。そしてギアごとマストとロータヘッド を持ち上げて機体フレームの上にぴったりくっつくる。その状態でマストロックのいもねじ を緩めて下げてマストロックを機体にぴったりくっつけていもねじを締める。マストロックの いもねじは2か所有り緩める時締める時は2本のネジを均等に回す。
メインギアとマストロックの2つの部品で上下から機体を挟み込むように固定する。 ロータヘッドが上下にがたつくとメインロータの回転に支障が出るので要チェック。
下右図の緑の矢印の間にあるアルミのリングがマストロック。

プラスネジで止められている部分の分解には注意が必要。小さい座金などが入っている。 これらを落として紛失しないよう細心の注意を払う。マニュアル要確認。

<マストの錆とスワッシュプレート>
スワッシュプレートは前後左右に傾くだけじゃなくて上下にもスライドしてメインロータ のピッチを深くしたり浅くしたりする。 マストが錆びているとスワッシュプレートがスムーズに上下に動けない。機体からマスト を抜いてマストを磨き注油する。下図黒矢印の部分がよく錆びている。 スワッシュプレートが上下する様子 シャトルは 機体が上昇下降するときのピッチ制御(コレクティブ・ピッチコントロール)は スワッシュプレート全体を上下させる方式。

<古いリンケージ部品の修理>
古いシャトルでは 同じ部品が販売されていない物がある。それらは接着剤などで修復できるなら修復して 再利用する。かかる力や高速回転を勘案して修復するか部品交換するか判断が必要。 飛行中にリンケージが外れると墜落してとても危険。
今回購入した物は古いリンケージ部品で市販品は無かったので接着剤で一部修復してみた。 落札・購入時に破断していたリンケージは、破断箇所に瞬間接着剤(シアノアクリレート) を使ってつないだ。そしてそれだけでは引っ張り強度が不足しそうなので、 破断箇所を中心に2液性エポキシ接着剤でモールドした。

メインロータを構成するリンケージは、ボールリンクにはまるロッドエンド(黒い プラスティック部品)の リング部分が割れたり、 ひびが入っている物がよくある。リング部分の割れは良くチェックしてこまめに 交換をする。ロッドエンドは単品パーツで 販売されている。柄の長いのと短い物の2種類ある。またロッド(金属棒) も一緒になったセットもある。

リンケージ・ロッドはよく錆びている。見た目良くないのでサンドペーパで磨いて オイルを塗布しておく。

電気系統の概説

ラジコンヘリはエンジンで動くメインロータ・テールロータと、電池で動く 受信機・サーボ・ジャイロの2つの系統がある。電池は4.8Vを使う。 受信機に電池とサーボが接続され、受信機からサーボへ電力と操作信号が供給される。 通常は送信機・受信機・サーボ・ジャイロは同一メーカでそろえる。受信機から 出て来る操作信号は幾らか共通性があるので、サーボ・ジャイロは異メーカでも 使用できる。例えばFutaba製送受信機+JR製サーボ・ジャイロ。 Sanwa製はわざと電池極性を 逆にしてあり危険で利用できない。接続すると受信機・サーボ・ジャイロは煙を吐いて 破損する。要注意。

中古ヘリを購入する時はサーボがFutaba製かJR製の物を選ぶ。ジャイロは後説するが、 機体の向きを自動制御する装置。古いジャイロは機械式で動かず使えない物も多い。 サーボはほぼ使える。電池は充電式のニッカドで古い物は使えない(使わない方が良い)。

送受信機はセットで2万円もするが新品(Futaba製)を購入する。最新式の物がより優れていて 信頼性も高い。昔の40MHzや72MHzを利用する物は送信機・受信機で周波数を合わせる ために水晶振動子をそろえて入手する必要がある。また近所で同じ周波数を利用する 人がいると混信して墜落して危険。最新式は混信しない。水晶振動子を購入する必要もない。 軽い、消費電力が小さい、機能設定が便利、複数機体の設定ができ個別設定が出来る。

電気系統は人間でいう神経回路。電気系統が切れるとヘリは制御不能で墜落する。 すぐに墜落すればいいがどこかへ飛んで行くと極めて危険だ。常に正常性を確認し なくてはならない。電池の充電状態、コネクタ部分での接触不良、飛行中の振動で コネクタが抜けないかなど。

電 池
電池はとても重要。もし飛行中に電源が途絶えたら、制御不能になり、 ヘリはどこかへ飛んで行ってとても危険。電池の信頼性は機体全体の信頼性に直結 するので慎重を要する。 機体に搭載する電池はニッケル水素電池(Ni-MH)を使う。4本4.8Vで使う。 シャトルで使う一般的な受信機・サーボ・ジャイロは公称4.8V仕様。 ラジコン専用のパック製品(下写真左)と通常の電池ケース(下写真右) がある。ラジコン専用のパック製品は オークションで新品が出品されている。電池ケースは電子部品店やホームセンタ で売ってるものにコネクタを接続する。中古シャトルに付いてた古い電池は ほぼ使い物にならないがコネクタだけ切り取りそのコネクタを電池ケースに はんだ付けして使う。電池ケースの利用は 費用はさほど変わらない。一長一短がある。
ラジコン用電池パックは電池間の接続は 金属板が電極に溶接されているので信頼性は高い。電池間の接触不良は極めて起こり難い。 接続用コネクタも付いている。 ただし4本の電池の内1本が劣化するだけで全体がだめになる。稀に起こる。 4.8V専用充電器が費用。
市販品電池ケースの方は充電式単3電池をはめ込んであるだけなので振動 などで接触不良を起こす 可能性がある。電池ケースを選定する時に固くはめ込むぐらいの物が良い。 定期的に電池ケース内の電極部の接触状態を確認しなくてはいけない。 しかし電池充電は1本ずつ独立で扱えるのでその時点で電池劣化が確認できる。 通常の充電器が使える。
下図右はラジコン用パック充電池、電池ケース+市販充電池、ラジコン用バッテリ チェッカー

下図左は充電池1本ずつ独立で充電できる物。電池の状態分析をしてから充電を開始する。 充電電流も数種類選択可能。放電も可能。中国直輸入(Aliexpress)。
下図右はパック電池の充電器(5.0V 100mA固定)。昔の送信機に付属の充電器。

電池の充電状態は家を出発する前に確認しなくてはいけない。ラジコン用の電圧計 はもうほとんど新品は市販されていない。電動ラジコン用の電圧計は中国製で色々 発売されている。下写真の黒と水色は中国製電動ラジコン用でLipo、NiMHなど数種類の 電池電圧が表示される。写真の銀色は昔の日本製ラジコン用電圧計でニッカド用。 昔の日本製ラジコン用電圧計はどれも電圧が低い表示になる。わざと低い目に出る ようにしてあるのか、ある程度電流を実際に流させての電圧を表示するようにして いるのかは分からない。電気に詳しい人間なら分かるが本来電圧計は電流を極力 流さないで測る物。しかしラジコンは実際に電流をある程度流しても所定の電圧を 出さないと信頼性上問題がある。それでそのような計測にしているのかも知れない。 表面上の電圧だけで電池の正常性を判断するのは危険なのかも知れない。 表示電圧からある程度人間の経験による判断を必要とされる所。ちなみに研究開発 用の精密電圧計で計測すると写真の黒い中国製のものが一番近い値だった。 電圧値だけでみると下図の電池は5.23Vだがラジコン用バッテリチェッカでは4.8Vに なってイエローゾーン表示になっている。

電池の充電周期には注意が必要。Ni-MHはヒステリシス現象(メモリ現象)を起こす。 例えばフライト3回ほどで残り70%あるのにその上から 充電してしまうとする。これを繰り返していると100%充電したとしても 残り70%ぐらいを過ぎると急に電圧がさがってしまう現象を起こす。 100%充電している のに電池容量分が使えなくなってしまう現象を起こす。そうならないようにする には充電池をもっと使って残量20%ぐらいで充電するようにする。 せっかく公称1900mAとか2500mAあってもその電力を十分使えなくなる。 フライトでどれぐらいまで使ったかは経験的に把握するようにするが、でも フライト中に電池がなくなり制御不能になるのは非常に危険。充電電力を使い切る イメージではなく、例えば飛行現場で4.9Vを切ったらもう別の電池に交換する ようにして、帰宅後残った充電電力を放電してからまた充電するようにする。 放電に使える充電器もある。上図銀色のFutaba製BR-2000はファンがあり 放電機能付き。ヘリ機体に電池をつないでスイッチを入れたままに しておいてもいいがサーボの寿命にも影響するので放電器を使いたい。 自作する場合300mAの放電電流とすると
5V×300mA=1.5W  5V÷0.3A=17Ω  3〜5W 20Ωぐらいの抵抗を使うといい。

ヒステリシス現象を起こした電池は回復できる。 どんどん放電させ、全くゼロまで放電させない程度に放電させてそれから 目一杯充電する。これを2、3度繰り返す。ラジコン用のプログラマブル充電器なら 自動でこのサイクルをやってくれる。

ただし充電池は完全放電させると大きなダメージを与える。そのままオシャカになり かねない。鉛蓄電池はかなりオシャカになる。もちろんだが大電流を流すのも 大きなダメージになる。絶対にショート接続はしてはいけない。

<電池の接続>
電池と機体側との接続では機体側からオスコネクタが出ている。オス=ピンが出ている側。 ただしカバーソケットがあるのでソケット的にはメスっぽい。カバーソケットに電池の コネクタが刺さる形態。電池側はピンとしてはメス。下図左の中央に見えるソケットが それで左側が機体からのオス、右側が電池からのメス。
ラジコンの導線は3線式。@オレンジか白線=信号線A真ん中の赤線=電池+ B黒か茶線=グラウンド(電池−) 下図の電池用線は赤と黒の2本のみ。
(下図に見えるサーボからの3線は黒2本赤1本になっているが これはSanwaという設計思想のおかしいメーカなので参考にしない)

スイッチと電池の接続は上写真のコネクタが宙ぶらりんになるので、 機体の振動で抜けや接触不良になる可能性がある。 それで抜け止めラッチの付いたコネクタを利用するのもいい。 機体側(スイッチ側)電池側とも付け換える。 下の写真は中国直輸入品で30 セットで300円(送料込み Aliexpress = connector 2 pin )。

サーボ

サーボは機体に固定された黒い小さい箱。3本線1組の電線が出て受信機に接続されている。 小さいモータやギアが入っている。受信機からの 制御信号でジージーという音を出し円盤部分(ホーン)が左右90度ぐらい回転する。 このホーンにリンケージ(鉄の棒)をつないで、ヘリの操縦機構を動かす。サーボの箱の 大きさはJR製、Futaba製とも同じ。線も3本で共通。線の色が違ったりコネクタの 形状が少し違っている。世界の実質スタンダードはFutaba製。

ラジコンの送信機のスティックを例えば下に30度倒すと、倒した大きさに応じた分 サーボが左に30度だけ動くといった比例的に動作する。スティックを少し倒すと 少しだけサーボが動いた状態になり、大きく倒すと大きく動いた状態になる。 スティックを中心に戻すとサーボもニュートラルの状態に戻る。 スティックの動き分がそのままサーボの回転量(回転角)になる。 なのでラジコンでヘリや飛行機を思い通りに操縦できる。

中古機のサーボはほぼそのままで使える。10〜20年ほったらかしだった物でも きちんと動作する事が多い。日本製はすごい。ちなみに中国製品はこういった可動部がとても 弱り。最初は動くがすぐに故障して動かなくなる。新品を購入するなら中国製は 避ける。サーボはJR製、Futaba製ともほぼ同じ大きさで同じ電気仕様。 コネクタの形状が少し異なるが簡単に削って修正できる。Sanwa製は使えない。

Futaba製の受信機にJR製サーボを差してもそのまま使える。できれば送受信機、サーボ、 ジャイロは同じメーカで統一されているのが一番良いが中古機を利用する場合 理想通りにはいかない。ラジコン業界は規格統一されていないがここはほぼ 共通で使える。ただしホーンは共用できない。軸の太さがJRとFutabaでは異なる。 ホーンはサーボに付属する部品で単品の販売はあまり見ない。 海外製品のサーボに付属のホーンはFutabaと同じ規格が多い。JR製ホーンは大切にしよう。 現在ではホーンだけの入手は難しいから。

シャトルにはサーボが5つ搭載されている。少し高価な中古機にはラダーだけ違った サーボが付いている事がある。これは高速動作の特別品でデジタルサーボ。 デジタルサーボと言っても受信機との信号線がデジタルになっている訳ではないので 通常の受信機でそのまま使える。 Futaba製サーボは単品でもラジコン店で販売はされている。

サーボの動作をチェックするには、受信機とサーボと電源をつないで送受信機を 立ち上げて実際に操作する。あるいは下図のようなサーボテスタという物を利用する。 サーボテスタはAliexpressで2ドルほど(検索= rc servo tester )。受信機や送信機 をつながなくてもサーボ単体の動作試験ができる。 これはスイッチ1つでモード切替でき「中立位置」「ボリュームで動かす」 「自動で動かす」の3モードで動かせる。 サーボテスタ動作の映像(自動で動かすモード)

サーボの電線は3本方式。
「信号線(サーボを駆動する信号)」「電源(+4.8V)」 「グランド(0V)」。
電圧は電源とグランドの間にかかり信号は信号線とグランドの間 で流れる。グランドは共通。FutabaとJRで電線の色が異なる。電源+は赤、グランドは黒 というのは電気の世界では常識。Futaba社が一番まともなメーカで未だにきちっとした ラジコン製品を出しているのはFutabaだけ。Futabaやヒロボーなどしっかりした企業だけが 残って行く(世のつね)。
Futaba:@信号=白 A電源=赤 Bグランド=黒(とても真面目な配色)

JR:@信号=オレンジ A電源=赤 Bグランド=茶(ちょっと分かり難い)

Sanwaというメーカはラジコン製品を作っておきながら後発メーカで顧客囲い込み 目的からわざと電極を入れ替えた製品を出している。どんな理由があろうと 電気を扱う技術者としてこんな事は言語道断、極悪非道の設計思想である。 とにかくこういうメーカとは関わらないようにしよう。 しかしどうしてもSanwa製サーボをJRやFutaba製受信機で 利用したい場合コネクタを交換し電源線をプラスマイナス入れ替える(下図)。 プラスマイナスが入れ替わっていない物を受信機に差すと受信機が煙を出して 破損する!! 特に注意を要する。 3ピンのコネクタや電極用ピンは Aliexpressで購入できる(検索= dupont 3pin) このコネクタは一般の電子部品のもので コネクタの肩を少し斜めに削らないと入らない場合がある。差し込む方向を間違えても 電源線が+−逆にはならないので破損はしないが常に差し込む方向は確認してから行う。

ラジコンには直接関係ないがサーボのスペックは下表。Futabaの例で説明すると受信機から パルスが1秒間に70回出る(70Hz)。そのパルスの幅がニュートラルで1520u秒になっている。 スティックを操作すると 受信機に伝わり受信機からサーボに出されるパルスの幅が1000〜2000u秒の間で変化する。 変化するとサーボが動作する。パルス幅に応じたサーボの回転角になる仕組み。Plus Wide Modulation (パルス幅変調)という方式。
メーカ ニュートラル[uSec] 可変範囲[uSec] パルス周期[mSec]
Futaba 1520 ±500 14 [70Hz]
J R 1500 ±500 20 [50Hz]

ジャイロ
ジャイロセンサはヘリの「向き(ラダー)」を安定させるための装置。
ヘリは空中で大きな メインブレードを高速回転させて空中に浮いている。メインブレードは上から見て 右回転(時計回り:CW)している。機体はその反動で左回転(反時計回り:CCW)しようと する。その回転を止めるためにテールブレードで風を送っている。メインブレードの反動で 機首は左に向こうとする。という事は機体を後ろ側から見てテールは右に振られる。 テールブレードは右向きに風を送って(左に向けようとして)これを打ち消す。 テールブレード右向風とメインブレードの反動とが「釣り合って」機首が 静止している事になる。ところが これはとても微妙なバランス。大まかに釣り合っても細かくはテールブレードの風が 瞬間的に強かったり弱かったりして機首(テール)は細かく速くふらつく。 これを静止させる ためにジャイロセンサを使う。この細かく機首(テール)がふらつくのを ジャイロセンサで検出して、 細かく瞬間的にテールブレードの風の強度を調整している。調整の方法はラダーサーボを 細かく素早く動かす。素早い調整なので機首(テール)は止まって見える。 人はこのバランスを取る操作をする必要はなく、ただ機首の方向を 変えるためだけにラダースティックを操作すれば良い事になる。

上述したようにヘリが飛行中ジャイロが自動でラダーサーボを素早く動かしている。 その為にはジャイロ はラダーサーボとつながっていないといけない。では人のラダースティック操作の 信号はどうなっているのか。これはジャイロに入れている。つまり受信機のラダー出力 はラダーサーボに接続するのではなくジャイロに一旦入れる。ジャイロは人間の操作 信号はそのままラダーサーボに伝え、それに重ねるように自動制御の信号も出して 向きを変える信号と機首を安定させる信号を同時にラダーサーボに伝えている。
電気系の接続は【受信機−−ジャイロ−−ラダーサーボ】になる。下図はその様子。

ジャイロセンサは大きく2種類ある。機械式と半導体式。機械式は本体の中で 鉄のホイールが高速回転している(下図左。透明ケースだが通常は黒い箱)。 半導体式はもっと小さい箱(下図右)で中で動いている機械部分はない。 古いシャトルには機械式が乗っている事が多い。機械式なので壊れている可能性は 50%ぐらい。動けばラッキー。機械式は機体電源を入れると高速回転する音が 聞こえる。聞こえなければ完全にだめ。回転する音が聞こえていても センサ部分が壊れているとだめ。壊れているかどうかの確認には受信機と電池を 接続し電源を入れて送信機とつながった状態でヘリ機体を持ち上げて実際に 機首を左右に回転させる。この時ラダーサーボが動作していればいくらか動作 している。ジャイロはセンサなので実際に飛ばしてみないと正常動作か否かは 判定できない。 半導体式の場合はほぼ中古機でそのまま使える事が多い。ジャイロだけ外して 別売している人も多い。

ジャイロには設定項目が幾つかある。主な物は@動作方向Aジャイロ感度Bサーボの種類 Cヘッドロック。これらの設定はジャイロ本体のボリュームやスイッチでハードウェア的に 行うものと送信機からの操作でソフトウェア的に行うものがある。@Aの設定は必須、 機械式ジャイロは@Aのみでハードウェア設定。

<@動作方向 (Direction)>
ジャイロが振れを検出した時にラダーサーボを動かす方向を設定する。ラジコンヘリの メーカや機種によってラダーサーボの搭載の仕方などが異なるため、振れの方向と ラダーサーボの動作方向をスイッチできるようになっている。シャトルの場合機首のカバー (キャビン)を外すとラダーサーボが見える(下図左)。送信機・受信機の電源を入れて動作 状態にして機体を片手で釣るように持ち上げる。機首を上から見て左に振ってみる とジャイロが反応してラダーサーボが動く。その動きはリンケージを機首前方側に 引っ張るように動けば(下図青矢印方向)動作方向の設定は合っている。 それが逆なら Directionのスイッチ をもう一方の方に切り換える。機械式ジャイロの場合は接続コードをひっくり返して 差し替える方式の物がある(下図右)。中古機で搭載されているジャイロをそのまま 使うなら動作方向は合っているはず。

401のスイッチの写真などを入れる
<Aジャイロ感度>
ジャイロ感度は振れをジャイロセンサで検出した時にどれぐらいラダーサーボを動作 させるか(動作量)の設定。 ホバリングしながら調整する。最初は10目盛中概ね6〜7目盛でホバリングをしてみる。 テールが左右にふら付く場合感度が高すぎるので目盛を下げていく。
感度のボリュームの写真を入れる
<Bサーボの種類>
サーボは動いた量(回転角度)を内部で検出しながら動作している。その検出を アナログかデジタルで行っている(検出だけの事でサーボを動作させる信号はアナログ)。 一般的なサーボはアナログで高速動作サーボはデジタルになっている場合 がある。中古機シャトルで5個のサーボがみな同じならアナログ。ラダーサーボだけ 違っている物が搭載されていたらデジタルになっている可能性(型番を確認)。 もしデジタルサーボならデジタルに設定する。
<Cヘッドロック>
新しい半導体式ジャイロはヘッドロックという機能がありこれをON/OFFする スイッチ。「ヘッドロック」とは人が操作していないのに風などの影響で ゆっくり機首が回ったりするのをロックしてくれる機能。 通常のジャイロ機能は細かい急峻なゆれを検知して制御してくれるが、 横風などでグルーーンとゆっくりした機首の回転は検知できない。これを 動いた分元に戻す機能がヘッドロック(Futaba用語AVCS)。 ラジコンヘリはホバリング中風に吹かれると自然に 機首を風上に向ける性質がある(風見鳥効果)。これを抑制してくれる。
初心者でホバリング中風に吹かれて機首が大きく動くと慌ててラダー操作を 間違ったりする。そして墜落となるのでこの機能は有り難いかも知れない。 しかしそういう動作をするものだと心の準備ができていれば必要無い機能でもある。 ヘッドロック機能を利用する場合ラダー調整がきっちりできた状態 でオンにする必要がある。

ジャイロの購入
購入した中古機のジャイロが正常動作しているならラッキー。新たに購入しなくていいが 壊れていたら入手しないといけない。ここで言うジャイロとは1軸ジャイロ。一般に 「1軸」とわざわざ言わない。3軸ジャイロは利用しない。3D用電動ヘリ用のジャイロ が3軸ジャイロ。これを購入しないように。
日本メーカの新品ジャイロはとても高価で中古シャトル1〜2機分。 そこで中古のジャイロをオークションなどで見つけるか、コピー商品を購入する。 中古のジャイロでも日本メーカの半導体式の物は5000円以上。機械式の「コマジャイロ」 は動作確認品で1000〜2000円前後でお買い得。ホバリングなら十分、上空飛行 でも使える。信頼性は低いかも知れない。なんせコマジャイロはとても古い物しかない。 でも日本製だ。
海外のコピー商品のジャイロは機能は十分、信頼性もまあまあ(中国製品は稼働 製品に弱いが半導体製品はまあまあ使える)。HobbyKingの401Bがお買い得。オークション でも新品が出品されて3000円ほど。Futaba製GY401のまるまるコピーでAVCS(ヘッドロック)機能 もある優れもの。感度調整は送信機からできる。またはAssanGA250。ヘッドロック機能有、 高速サーボにも対応。これも海外製品で1500〜2000円程度。全ての設定は送信機から行う ので手順はやや複雑。

<HobbyKing 401B>

このジャイロはFutaba製GY401のデッドコピーで全く同じなのでそのマニュアルを参照する。 マニュアル
接続は@3色線のメスコネクタ=受信機のラダーチャネル(4ch)A黄線メスコネクタ= 受信機のAuxチャネル(5ch)B3色線の黒オスコネクタ(メスソケット)=ラダーサーボ。
Auxチャネル(5ch)を使って送信機から「ジャイロ感度の調整」と「AVCSヘッドロック切替」 ができる。本体の左ボリューム=0付近、小さいディップスイッチ:DS=オフ(デジタル サーボをつなぐ時だけオン)、DR=動作方向設定(前項の方向設定参照)。
(ここではT6Kマニュアルと合わせて参照) 上述でジャイロAの制御信号線を受信機の5chに接続したので Futaba送信機T6Kの方の5chでジャイロ感度を設定する。5chは送信機のジャイロの 項目の中で設定する(下図マニュアル参照)。 アイドルアップなど最初は使わないので、 「感度切替スイッチ」をA〜Dのどれかに割り当てて置いてAVCS(ヘッドロック)に切り替え に使う。感度量は最初60%ぐらいからテールを振らない所まで 下げていく感じで調整する。下図はFutaba製送信機T6Kマニュアル

<Assan GA250>

安価・小型・軽量・機能抜群。設定は全て送信機から行う。最初とっつき にくいが、慣れるとこちらの方が簡単。接続は上記とほぼ同じ
@黒メスコネクタ=受信機ラダーチャネル(4番)A赤メスコネクタ=受信機Auxチャネル (5番)B黒メスソケット=ラダーサーボ
設定は全て送信機のゲインチャネル(感度切替スイッチ)の入切り操作で モードを切り換えながら行う。 Futaba製T6Kの「感度切替スイッチ」を割り当てて置いてそれをガチャガチャ切替操作して モードの切り換えや設定を行う。ジャイロ感度は送信機の方で60%ぐらいから小さく していってテールのふら付きがなくなるよう調整する。

設定には「入口」が2つある。
(GA250と受信機は接続して、GA250とサーボは外して置く)
入口1) サーボ・タイプとディレイを設定するモードに入る。
送信機電源ONで機体の電源をONにしたらGA250は青LEDが速点滅するが、 速点滅している間に 送信機のゲインスイッチを手早く入り切り3回以上繰り返す。 すると赤LEDが点滅する。これで サーボタイプの設定モードに入った。 この時の赤LED点滅の回数を数える。それがGA250に設定されている現サーボ・タイプ を示している。点滅5回で一般的なサーボ(1520uSec/70Hz)。 送信機のラダースティックを操作すると、サーボ・タイプを 変更できる(赤LEDの点滅回数が 変わる)。

赤LEDが点滅している状態で、送信機のゲインスイッチを一度切り換えると、 GA250の「ディレイ」を 設定できるモードに入る。 GA250は青LEDの点滅に変わる。この青LEDの点滅回数はディレイの度合いを 示している。1回でディレイ無し。2回でちょっとディレイ。3回・・・と ディレイ量が大きくなる。 ディレイ量の設定は送信機のラダースティック を左や右に倒して切り換える。青LEDの点滅回数が変わる。 ディレイ量とは、送信機のラダー・スティックを例えば左に倒したとして、 それをニュートラルに 戻した時に、サーボがニュートラル位置に戻る時間が少し遅れる。 その量。「ディレイ無し」にすると ニュートラルに戻したら、すぐにサーボの戻る。 ディレイはホバリング練習では無い方がやりやすい。

サーボ・タイプとディレイを設定したら、一旦機体の電源を切ってラダーサーボ を接続して「入口1」 の設定モードを脱出する。

入口2) 動作方向とエンドポイントを設定するモードに入る。 GA250と受信機、ラダーサーボをすべて接続した状態。送信機、機体の両方を電源ONにする。 GA250はしばらく青LEDが速点滅して、通常の動作状態になる(LED無しか青LED点灯)。 通常の 動作状態に入ってから、送信機のラダースティックを左にいっぱいまで倒したまま、 ゲインスイッチを手早く入り切りを3回以上繰り返す。すると「動作方向」設定モードに入る。

「動作方向」設定モードに入ったら、LEDは「青・赤」点滅か、「青・赤・赤」点滅を 繰り返すようになる。この状態でラダースティックを操作すると GA250の動作方向の正・逆が切り替わる。 正・逆のどちらが良いかは 前項目の「方向設定」参照。

送信機のゲインスイッチを1回だけ入り切りすると次の「エンドポイント高い側」 の設定 モードに入る。ラダースティックでサーボを動かして高い側の エンドポイントを設定する。ヘッドロック機能(AVCS)を利用する時だけ ジャイロでエンドポイントを設定する。

更に送信機のゲインスイッチを1回だけ入り切りすると「エンドポイント低い側」 の設定モードに入る。ここで更に送信機のゲインスイッチを1回入り切りすると 最初の動作方向の設定モードに還る。3回以上手早く入り切るすると、 設定モードから抜け出て普通の操作状態になる。

<マニュアル直訳>

GA250マイクロ・ジャイロ マニュアル
GA250はハイ・パフォーマンスのAVCS MEMSジャイロで、RCヘリ用にデザインされている。小さいサイズ、 軽い、簡単な設置、実用的な機能、サーボへの広い適用性、高いヘッドロック性能、 ハードな3Dにも対応。
技術的な特徴.....................................
・センサー=MEMS
・システム制御=AVCS(角度ベクトル制御方式)
・デュアルゲイン機能=送信機から2つの動作モード(AVCSモードとレートモード)が選択可能
・全てのテイル・サーボコンパチ(1520uS, 760uS, 960uS)
パラメータ......................................
1.動作電圧:DC3.0〜9.0V
2.動作電流:20mA (5.0Vで)
3.動作温度:−15℃〜60℃
4.大きさ:21×21×10mm
5.重さ:8.0g(コードとコネクタ込み)
表示ライト.....................................
<正常動作>
青速点滅====ジャイロ調整中
青点灯=====AVCSモード
青2回点滅===AVCSモード(ラダースティックが非中心)
消灯======レートモード
<エラーコード>
赤遅点滅====ゲイン信号無し(コード・ソケットの点検)
青遅点滅====ラダー信号無し( 〃 )
最初のジャイロ設定(手順概略).............
ジャイロを正しく設定するために、以下の手順どおり実施する
・機体へのジャイロ設置:両面テープでヘリの平らな部分にジャイロ貼り付ける。もし振動が 激しい時は、影響を抑えるために鉄板を利用する。
・ジャイロを受信機に接続する。この時点でテイル・サーボはジャイロにつながない。
・送信機のトリム、サブトリムがゼロになっている事を確認する。またコレクティブ・ ピッチとテイルピッチのミキシングが無効になっている事を確認する。
・受信機とジャイロの電源を入れる。
・正しいサーボタイプを選ぶ。このガイドの「サーボタイプの選定」欄の手順に従って選ぶ。
・ジャイロの電源を切る。
・ジャイロにサーボをつないでから、電源を入れる。
・マニュアルに従いジャイロの動作方向、サーボのエンドポイント(上側・下側)を設定する。
・設定を終了し、スタンバイ状態に戻る。
・送信機からジャイロのゲインを調整する。
・すべての項目を確認して、飛行準備完了。
サーボ・タイプの選定.......................
GA-250は全てのテイルサーボで動作するよう設計されている。しかし違うタイプのサーボが 存在するので、間違った設定をすると、サーボが壊れたり、正常動作しないだろう。 なのでまず第一にこの作業をするように。 ここにサーボ・タイプ設定モードに入る手順を示す。
(サーボはまだジャイロ・コネクタに接続しない状態、ジャイロのゲイン線とラダー用線は 受信機につないだ状態で・・・) 1.ジャイロの電源を入れる。
2.青色が点滅している間に、送信機のゲインスイッチを3回以上素早く入り切りする。
3.それで「サーボ・タイプ設定モード」に入れる。(このモードに入ったら赤LEDが点滅)
  (赤LEDの点滅する回数で、現状のサーボのタイプを表示している。下記載参照) 4.(送信機の)ラダースティックを左や右に操作する事で、サーボのタイプを選定できる。
  (ラダースティック左で赤点灯数が増える、右で減る)
5.赤が光る回数が、現在選択されているサーボタイプを示す。

赤1回=(1520us/333Hz)
Futaba s9253, s9254, s9257, s9650, s3153, s3154, bls3154, JR 8900g, 3400g, 3500g, Align ds410, ds420, ds510, ds520, ds610, ds620, ds650, Hitec 5925mg, 6965h8, 5083mg
赤2回=(760us/560Hz) Futaba bls251, 59251, 59256
赤3回=(1520us/250Hz) JR 2700g, 8700g, 810g
赤4回=(960us/333Hz) LogiTech 6100g, 3100g
赤5回=(1520us/70Hz)(デフォルト)

(注)もし使っているサーボが上記リストに無い時は、メーカ等に問い合わせる。正しくない 設定はサーボに損傷を与えたり、飛行中にテイル制御がなくなるかも知れない。
変更設定を終了 したら、サーボ・タイプ選択モードを脱するために、ジャイロの電源を切る。 または、ゲイン・スイッチを「レート&AVCS」に1度だけ切り替えると、ディレイ 設定モードに入る。


ディレイの設定.............................
(ディレイ設定モードに入るには、上記のサーボ・タイプの選定モードから、続いてゲイン・スイッチを 1回入り切りして入る)
ディレイ設定モードでは、青の光る数が現状のディレイタイプを示している。 設定はラダースティックを左右に操作して行う。工場出荷時はディレイ無し。 もし飛行中にバウンス(振れ)があるなら、ディレイ・タイム(遅延時間)を増やす事が、その 問題の解決方法の1つだ。
(ラダースティックを左にするとディレイは増え、右にすると減る)
青光1つ==ディレイ無し(デフォルト)
青光2〜7=光る数が増えるに従い、ディレイ大
ディレイ・タイプを設定したあと、ディレイ設定モードを出るには、ジャイロの電源をオフにする。 または、ゲイン・スイッチを「レート&AVCS」に一回だけ切り替えると、サーボ・タイプの設定モードに 戻る。

設定(コンフィギュレーション).............
ジャイロにテイルサーボを接続したら、電源を入れる。ジャイロのキャリブレーションのあと、 次の方法でジャイロの方向、エンドポイントの上側・下側を調整できる。
(注)青の光る回数は設定 モードを示し、赤の光る回数が選択内容を意味する。

ステップ1:ジャイロ動作方向の反転.............
送信機のラダースティックを左いっぱいか、右いっぱいに倒したまま、ゲイン・スイッチを3回以上 素早く操作する。ジャイロは赤と青の両方がツーツーと点滅する。そうしたらスティックを真ん中に戻す。 ゲイン・スイッチを「レート&AVCS」に一度だけ入れると、ジャイロ方向反転モードに入れる。
ラダー左いっぱい=青・赤=ノーマル
ラダー右いっぱい=青・赤・赤=反転
ジャイロはノーマルと反転の2つの動作方向を持っている。ヘリを90度以上反時計回りに回してみる。すると 回転を反対向き作用させ、ヘリの向きをを維持しようとする。つまりちょうど右ラダーを操作したのと 同じ様にジャイロがテイルブレードを動かすだろう。それならジャイロの方向設定は正しい。もしそうでない なら、設定を変える。
上記の設定は危険を伴う。もしジャイロの動作方向が間違っていると、ヘリコプターは高速でヨーイング し、離陸しようとするととても危険な状態になるだろう。
ステップ2:サーボエンドポイントの上側の調整......
ジャイロの動作方向の設定が終わったら、ゲイン・スイッチを一度だけ「レート&AVCS」に入れる。 するとエンドポイントの上側の設定モードに入る。モードに入ったら、ラダースティックを操作して、 機構的な設定とは別にして、テイルロータピッチが最上限になるまで、調整する。
【このモードのLED状態=青・青・赤】
ラダースティック左==エンドポイント上がる
ラダースティック右==エンドポイント下がる
ステップ3:サーボエンドポイントの下側の調整......
ステップ2と同様に。
【このモードのLED状態=青・青・青・赤】
ラダースティック右==エンドポイント下がる
ラダースティック右==エンドポイント上がる

設定が全て完了したら、設定モードを出る。ゲイン・スイッチを3回以上素早く入り切りすると、 ジャイロは動作モードに戻る。ゲイン・スイッチを1回だけ操作すると、ジャイロの動作方向の 設定モードに戻る。
(注1)設置モードのどの状態でも、ゲイン・スイッチを3回以上素早く操作すると、設定モードを 抜けられる。
(注2)動作モードでも、ジャイロ設定が必要になったら、ゲイン・スイッチを3回以上操作すると、 設定モードになる。

受信機接続
ヘリ機体の電気系統の接続をする。受信機を中心に受信機に@電池AサーボBジャイロ(+ラダーサーボ) を接続する。電池は機体スイッチから出ているオスコネクタ(ソケットはメス形態)に差し、 スイッチからのメスコネクタを受信機に差す。 Futaba製T6kの場合送信機と同梱の受信機は予めバインドされているので、 電源を入れるだけで送受信機は通信可能状態になっている(はず)。 CH1=エルロンサーボ、CH2=エレベータサーボ、CH3=スロットルサーボ、CH4=ジャイロ(ラダー)、 CH5=ジャイロ感度の制御線(コマジャイロなど無い時は空き)、CH6=ピッチサーボ、空ピンに スイッチからの電源線をそれぞれしっかり接続する。
送信機のスロットルをいっぱいに下げてから電源を入れ、機体の電源スイッチを入れると ジャイロが点滅したりサーボが少しカシャっと音がして作動状態になる。送信機のスロットル を動かして、それぞれのサーボが動くか否かチェックする。古い機体でもサーボが 壊れている事はほとんどない。
もしサーボが動かない時はコネクタ部分の接触不良を疑う。2、3度抜き差しして動作の成否 を見る。それで動けばコネクタの接触不良なので、もう3、4度抜き差しして接触不良面を こすっておく。接触不良でなく動かないようならサーボの取り換え検討になる。

飛行中に振動などで受信機コネクタから導線が抜けると制御不能になり危険。結束バンドで 全体を少し締めて多少信頼性を上げる工夫も試みたりするといい。飛行前の整備点検はこの受信機 接続箇所も毎回する。

取り敢えず送信機設定(サーボの動作方向)
(送信機は一般にはヘリでも飛行機でも使えるようになっている。送信機がヘリコプター 操縦モードになっていなくてはいけない。もしそうでないなら 「送信機の設定」を参照)

送信機の設定の内、サーボの動作方向だけ先に設定しておく。送信機の各スティックを 動かした時にサーボがどちらに動くかは実は送信機で設定する。サーボを搭載し受信機を つないだだけではスティックの操作方向とサーボの動作方向は合っていない。どんな ラジコン送信機でもサーボの動作方向を正転逆転させる設定の項目がある。Futaba製 送信機T6Kでは 「サーボリバース」という設定項目に入って、各サーボの動作方向を決めていく。

  1. エルロンサーボCH1=メインマストの一番下に付いているスワッシュプレートを 「機体真後ろから」見る(下図)。送信機右スティック(エルロン)を右に倒してスワッシュプレート も同じく右に傾けば正解。もし反対ならサーボリバースで反対に設定する。
  2. エレベータサーボCH2=同じく今度はスワッシュプレートを「真横から」見る。送信機の 左スティックを前に倒して、スワッシュプレートが前に傾けば正解。逆なら反対に設定する。

  3. スロットルサーボCH3=スロットルリンケージを見て右方向(下図赤矢印の方向)が スロットルダウンの方向。送信機右スティックを手前に引いて下図赤矢印の方向に動けば 正解。逆なら反対に設定。この設定が間違っているととても危険。
    ピッチサーボCH6=スロットルスティックはピッチサーボCH6とも連動している。スロットル スティックを手前に引いてスワッシュプレートが下、上にあげてスワッシュプレートが 上に移動すれば正解。逆なら反対に設定。スロットルスティックをローからハイにすると スロットルリンケージは機首前方向に、スワッシュプレートは上に同時に動けば正解。
  4. ラダーサーボCH4=左スティックを右に倒すと下図のようにラダーサーボが 機首前方向に出るように動けば正解。

グロープラグとプラグヒータ
シャトルのエンジンは2サイクルのグローエンジン。エンジン始動時だけ グロープラグに通電して赤熱させた状態で外部からエンジンをモータで回す。 エンジンがかかれば通電は切っても燃料燃焼でプラグは赤熱され続けて 回転が持続する。4サイクルエンジンのように毎回スパークで爆発させる必要はない。 シャトルのエンジンはOS32が標準。それに使うグロープラグはOS製No8が標準。 OSのグロープラグは500円前後。5年ぐらい使っても切れる物ではないが 一応消耗品。グロープラグの構造は突起の電極とグロープラグ本体外側(ねじの部分)の 間にニクロム線が付いている。プラグヒータ装置からの電圧は この突起の電極とグロープラグ外側に接続して電流を 流す。グロープラグ外側はねじ部分になっていてそのままエンジン本体に接触するので グロープラグ突起の電極とエンジン本体の間にプラグヒータ装置からの電圧をかけて ヒーティングすることになる。

グロープラグは1.2Ωの赤熱線が使われている。赤熱させるには1.2Vで 1Aほど流す必要がある。1.2Vだからと言って通常の乾電池や充電池を 1本つないでも1Aの電流を流せない。普通サイズの電池だと電流を流す力 (電流容量)が無いので使えない。 電流容量の大きいニッケル水素やニッカド電池が オークションでも売られているので利用できる。ポケットブースタ用の 電池だけも売っている。 ( Aliexpress = sc 1200 )  ポケットブースタ(下図左)はグロープラグの電極(突起部)にそのままはさめる ソケット部と内臓電池が一体化したポケットサイズのプラグヒータ装置。電池込みで2000円程度。

電圧レギュレータ装置を自作してもいい。電圧レギュレータとは直流の入力電圧を 指定の直流電圧に落として安定した電流を流す装置。例えば7.4VのLipo電池から1.2Vを作る。 電流も1A以上流せる電圧レギュレータ専用ICが安価で販売されている。 Lipo電池を使えば電流も余裕で流せる。簡単な電子工作で作れる。 LM338という3端子レギュレータというICを使う。回路図は下右図。
このICは単体で最大5Aほど流せる(プラグヒートには1Aでいい)。 下の写真はLipo7.4vをつないだ自作プラグヒータ。 グロープラグ用ソケットとワニ口クリップを交換できるようにした。

下図はメーカ製プラグヒータ。これには直流12Vの鉛蓄電池が必要。Lipoの11.1vは 使えないと書かれている。規定の入力電圧でないとプラグが切れたりする。 新品で4000円ほど。多分これはパワーMOSか何かで電流を高速 チョッピングして電流制御している。 高周波ノイズがバリバリでるのでが受信機やジャイロにノイズが 入って振動したりする。壊れはしないが気に入らない。
昔はラジコンといえばスタータ用の12V鉛蓄電池と食パン2枚ぐらいの大きさの 大電流を流せる1.5Vの乾電池(マンガン電池)の2つを利用していた。最近は 小型軽量大電流のLipo電池がよく使われる。

シャトルのエンジン搭載方向はプラグにプラグヒータを接続しにくい。シャトル マニュアルには機体をひっくり返して接続するとある。 それでグロープラグの形をした 電極をシャトル機体横に取り付けるオプションキットは現在もヒロボー社から販売されている。 1500円程度(中古機でそれを取り付けたシャトルもよく見かける)。これなら プラグヒータ用ソケットをそのまま接続してヒートできる。下図参照。 機体フレームの電源スイッチ横に出ているのがそれ。下図のキットはサードパーティー製。

費用を節約するなら簡単に自作できる。 ワニ口クリップに銅線をつけたもので機体横まで引き出すだけ。(下図は接触を 長く保てるように金メッキのワニ口クリップ70円の使用例)

ワニ口クリップでプラグの陽極を挟んで機体横に出して(下図左)機体横に固定 (下図右)。赤矢印の箇所にプラグヒータ装置からのワニ口クリップをはさむ。 (右はプラグ陽極からの線、左はエンジン本体を留めるねじ)  ヒータを赤熱させるだけなのでプラグヒータの 極性はどちらでもよい。

プラグヒータの接続プラグをワニ口クリップにしているとこのように 線を引き出した物にもプラグにも両方に使える。プラグの電極とエンジン本体 (留めねじ)にそれぞれはさめる。
ただし外すときはプラグヒータ装置のスイッチを必ずOffにしてからワニ口 クリップを外すようにする。ショートする危険を防ぐために。

テールの組み立て
テールロータ部分が破損していれば、部品交換しマニュアルどおり組み立てる。 テールロータ部の破損はテールブレードの欠けが多い。小さい欠けなら大丈夫。 テールブレードはシャトル用純正部品でないといけない。500円程度。 テールピッチプレートというベアリングを持った部品の先(小さい輪)の部分が 折れている事もある。この部品はとても高価。
最後にテールブレードのピッチを手で動かす。テールピッチレバーを手で動かし てみて軽くスムーズに動く事を確認。この時テールブレードのピッチがどういう風に 変化するかを見て置くと参考になる。テール駆動軸が錆びていたり汚れていると 動きにくい。掃除してオイルを差す。
エンジンの回転をテールロータに伝えるタイミングベルトは傷んでいるか否かは 組み立てて手でロータを回してみないと分からない。取りあえず組み立てる。

テールロータ部が完成したらタイミングベルトを伸ばし、テールパイプを立てて 挿入していく。工夫してタイミングベルトをパイプの他端まで通す。他端に ベルトの端が出て来たら伸ばしてパイプ中で寄れていないかよく真っすぐ伸ばす。 タイミングベルトを通せたらテールロータ部をパイプに挿入・固定する。パイプの 切り欠きにテールロータ部のテールユニットケースの突起を合わせて挿入する。 テールユニットケースを締めるねじ全部を緩めないと入らないかも知れない。

テールユニットケース内の突起が折れていて、いくらネジを締めても テールロータ部全体が傾くような場合、滑り止めの物を挟んでから締めるとか、 ビニールテープをテールパイプに巻いてからテールユニットケースで 挟んで締めると傾かないようになる。

最後にテールパイプを機体本体の後部に挿入する。この時もパイプの切り欠きと 本体フレームの突起を合わせる。挿入したら本体フレームのねじ4本を軽く締める。

テールロータは縦に装着されているので、テール駆動プーリも垂直方向になっている。 そのプーリにタイミングベルトが掛かっているので、パイプの本体側の端に出てきて いるタイミングベルトの端も縦(垂直)になっている(下図参照)。

ところが本体側のプーリ(クラッチベルの上に付いているプーリ)は水平方向に なっている。テールロータから来ているタイミングベルトは90度倒してこの水平プーリに 引っ掛ける必要がある。テール側真上から見て左に90度倒してプールに引っ掛ける。 一応方向が 合っているか確認する。クラッチベルを手でゆっくり、上から見て左(反時計回り:CCW) に回す。これがエンジンの回転方向。するとメインギアとメインロータ部は 上側から見て右回り(時計回り:CW)に回転。テールロータ部は真後ろから見てテールブレード が上>手前側>下>向こう側の方向に回るはず(下図矢印の方向)。 回転がこうなっていれば正解。

回転方向の正常が確認できたらタイミングベルトが外れないように 機体本体のプーリにふたをする。分解の時にとって 置いたふたを元に戻す。ふたはふくらんでいる側を下にし、プーリ側の楕円のでっぱり にふたのへこみをカチッと合わせてはめる。その上から座金を入れてねじで締める。このねじは クラッチベルをしっかり持って強めに締めて置く事が肝心。飛行中に外れると テールロータがストップして墜落する。飛行前整備で毎回このねじのゆるみをチェック するのがベスト。

次にタイミングベルトのゆるみを調整する。調整は機体本体に差し込んだテールパイプ を前後させて調整する。テールパイプはまだ固定していないはず。ベルトの張りが強い 場合はパイプを本体側に押し込む。(張りが弱い場合は逆)
タイミングベルトの張り具合は、下図のように軽く押さえて半分ぐらいにたるむレベル。 結構ぷらんぷらん状態。

一番最後にメインギアを上から見て右回り(時計回り:CW)にちょっと早めにぐるぐる 回してみる。メインロータ部、テールロータ部ともに滑らかに軽く回るかどうか。 しばらく回してカクンカクンとか周期的に変な手ごたえなどあるとタイミングベルトの 一部が少し伸びていてプーリとの噛み合わせが外れ気味になっている可能性が高い。 プーリが欠けている事はほぼないが、滑らかに回転しないときは原因を調査する必要が ある。見ても分からない時はタイミングベルトを交換すると直るケースが多い。
何度か飛行させてテールや本体のプーリの所にタイミングベルトのこすれた粉が 出ている時はベルトの不良かベルトの張り過ぎの可能性が大きい。

垂直尾翼の自作
垂直尾翼はほぼ飛行性能に関わるものではない。テールロータを保護する役割が大きい。 初心者の頃は着陸時にテールブレードが地面に当たったり着陸場所が草むらだったり するとテールブレードをこすってすぐに破損することがある。これを避ける目的で 垂直尾翼をオリジナルより長くしたものをベニヤ板で自作する。ただし見た目が悪いので それを気にしない人向け。 適当に ベニヤ板を切り出して100均のキリで穴を開ける。M3ビス用の穴なら キリだけで簡単に開けられる。

ベニヤ製尾翼を取り付けるためにM3×30mmのビスに交換して それで取りあえずテールユニットケースをしめて更に横に突き出たビスの 部分に2つのナイロンナットで挟むようにして止める。工夫して装着する。 面倒だし見た目も良くないが最初はこれでテールロータ部を随分救済できる。

テールロータのピッチ調整
テール部分の組み立てはマニュアル通りにすればいい。何種類かのバージョンがあるが 全てマニュアルに記載されている。古い物は交換部品が販売されていないので全体を 新しい物に交換する必要があるかも知れない。
テールユニットが全部完成したらラダーリンケージを構成する。テールロータの 原理を理解しながら進める。
ヘリ機体を真上から見てメインロータは右回り(時計回り:CW)。空中に浮いたヘリは その反動トルクで機体は左回りし(反時計回り:CCW)、テールは機体後方から見て右へ振られる。
このままでは機体が回転して墜落する。そこでテールが右に振られないように テールロータで風を右に送る。これが釣り合うと機体は回転せず機首が前を向いて 飛行できる理屈だ。しかしこの釣り合いはとても微妙なため微妙な調整と整備 が常に必要となる。詳細は 「テール安定化」の項目を参照。

つまり定常状態(機首が静止している状態)ではテールブレードは「+ピッチ」が入って常に風を 機体上からみて右に起こしていなければならない。 この定常状態では送信機のラダースティック がニュートラルでラダーサーボが真ん中(舵角0度)の状態。その状態でテールブレード は結構ピッチが入っている(+ピッチ)。 そこからもし機首を右に(テールを左に)振りたい場合、テールブレードは 定常状態よりもっと風を出さないといけない。つまり「++ピッチ」にしないといけない。 逆に機首を左に(テールを右に)したい場合は右に吹く風を少なくすればいい。この ときはテールブレードは「0ピッチ」になればいい。メインロータの反動トルクで 機首が左に(テールが右に)向いてくれる。(わざわざ左方向に風を送る必要はない)

下図はラダースティックがニュートラルの時のテールピッチレバーの位置。 レバーの振れ幅のほぼ中央位置。マニュアルの記載にもある。このように設定すればいい。 下図は古いタイプ。現在はラダーリンケージにロッドエンドとボールでリンクする形態。

以上のようにリンケージを調整すると以下のようになるはず。送受信機を動作させて ラダースティックとテールブレードのピッチを確認する。大まかなようだが、シャトル 純正部品を使うと良くバランスが取れるような設計になっている。これで機首が 振られるならメインロータと反動トルクのバランスが崩れている証拠。その原因は 例えばメインブレードのフィルムが少しめくれているとか、トラッキングがずれているとか。 メインロータの風の抵抗が大きいと反動トルクも大きくなりテールロータの風では 足らなくなるからだ。このバランスはとても微妙に釣り合っている事は忘れないようにする。 ちょっとぐらいの傷ならいいかとやるとラダーがとても不安定になっている事が多い。
@ラダースティック左倒し=0ピッチ
Aラダースティック中央=+ピッチ
Bラダースティック右倒し=++ピッチ

前回の飛行の時はラダーは良く調整されて飛行しやすいかったのに、今日はラダーが 落ち着かないなどの時はメインロータの反動トルクとテールブレードが起こす風量の バランスが崩れている証拠。スタビライザーブレードが水平からゆがんでいるとか タイミングベルトが軽く回っていないなどの原因を調べて改修する。以前中国直輸入 のテールブレードを使ってみた(下図黒色の物:純正品の4分の1の価格)。しかしブレード面積が 少し足らずラダーが安定しなかった。

テールが安定しない理由をまとめた。 こちらを参照
テールロータを制御するラダーサーボのリンケージは長いロッドをカバーパイプで 覆ってある。引き抜いて全体のサビをよく落として全体にオイルを塗っておく (下写真矢印)。ロッドがパイプの中でスムーズに動かなければいけない。 機首を左に向ける操作をする場合このロッドは後ろ向きにパイプの中へ「押し込まれる」動きをする。 その動きの時にパイプが途中で膨らむように曲がるようではラダーが効かない。 ロッドを後ろに押し出した分が途中で曲がってしまい伝わらないからだ。 折角各部調整してもこれでは何もならない。
ラダーを動かすサーボのホーン(サーボの軸に取り付ける丸い又は星形のプラ板の部品)は マニュアル通りの大きさにしてロッドを取り付ける穴も規定通りにしないとラダーの効きが 悪くなる。

ベアリング
あまり回転数のない部分(例えばスタビバーを支える所)は安物 でもいいが(中国メーカ製品)、回転数のある部分のベアリングは高くても NTNなど一流日本メーカ製品(製造地は中国でも いい)を使わないといけない。安物のベアリングはすぐに破損して墜落の原因になる。 例えばテールロータを回すシャフト(テール駆動軸のシャフト)を受けるベアリングは 毎分5000回転する。更にタイミングベルトで引っ張られながら回転するので 力もかかる。こういう場所のベアリングには日本メーカのちゃんとした物を使わないと いけない。中国メーカのはすぐに壊れる。Aliexpressで探せば安物が出てくるが こういう物は回転数が小さい部分ならまだ使える。
MonotaroでNTN 製5:11:5(内径:外径:厚み)のベアリングが300円程度で販売されている。 ヒロボーの部品は2個で1200円もする。

メインブレードについて
中古機を購入するとメインブレードが付属する事が有る。きれいなブレードなら ラッキー。これを大切に使う。理由は現在販売のヒロボー純正シャトル用ブレード が古い機体には付けられないからだ。
シャトルで利用するメインロータは550mm長。 現在ヒロボー社から販売されているシャトル用木製ブレードは2700円程度。 しかしこれは古いシャトルには基本取付けできない。 ブレードホルダという部品が合わない。 ブレードを少し削れば入るが、重量バランスも見ながら削るので 結構大変。現在販売の新品ブレードを取り付ける時はブレードホルダ という部品も新しくする必要がある。ブレードホルダはロータの一番上にある ブレードを挟んで固定する部品(下図) 下図左が旧タイプのブレードホルダで、ふところ幅が狭い(赤矢印)。 現在販売のブレード はここがつかえてしまう。右は現在販売のブレードホルダ。

メインブレードは1本のビス(ドラッグボルト)で留める。古いタイプはこのビスが M3で現在販売タイプはM4。 古いタイプのシャトルに付属しているブレードがあれば大事に使う。もしそのメインブレード を破損すると現在販売のブレードとブレードホルダとM4ドラッグボルトが必要になる。 ドラッグボルトはホームセンタでM4×25mmので適合する(写真のはステンレス)。 ナットは必ず ナイロンナットを利用しないと飛行中にナットが抜けると危険。
ちなみにAliexpressでもグラスファイバー製の550mmメインブレードが送料込みで22ドル ほどで販売されている。ただしM4用なので現在販売のブレードホルダが必要。 Aliexpress 検索=rc helicopter 550mm blade

メインロータは左右のバランスが厳密に取られている必要がある。下の写真は てんびんの原理でバランスを見ている。ブレードバランサという道具。左右にブレード を固定して、バランスを見る。重さだけ測ってもだめ。てんびんの原理のモーメントで 左右のバランスが取れて いる必要がある。 通常の製品はほぼバランスが取れている。 少しバランスが取れていない場合はテープなどを張り付けてバランスを取る。 ブレードには左右どちらか に赤い蛍光テープを貼る必要があるので、 この蛍光テープでバランスを取れるといい。テープの 長さ、貼る位置でバランスを取る。 蛍光テープはトラッキング調整で必要。トラッキング調整とは、左右のブレードの ピッチの少しの差異を調整すること(マニュアル参照、後述)。
以前ヒロボー社製のメインブレードを購入したがすごくアンバランスな不良品があった。 とてもテープを貼っただけでバランスが取れるシロモノではなかった。ヒロボー社純正製品 でも粗悪品があるのでバランスを見ずにそのまま使用するのは危険がある。 ブレードを購入したらすぐにバランスを見て不良品は交換してもらう。

送信機の設定
ヘリ機体のハードウェアがほぼ出来上がったら送信機のソフトウェアの 設定を行う。送信機の マニュアルを見ても分かり難いかも知れない。以下解説。
1)バインド
バインドは送信機が受信機を個別に認識する機能。 複数の機体を持っている場合、送信機は1台で複数の機体の設定を 機体ごと(受信機ごと) に細かく設定できる。もし複数の機体を保有しそれぞれ飛ばせる状態にしたい場合は、 送信機1台と複数の受信機を所有し、機体それぞれに受信機を搭載する。 受信機は高価だが機体ごとに細かい設定をするのでそれぞれの機体ごとに受信機を 搭載する。その機体は 1番機、2番機・・と設定するが最近の送信機は機体に名前を付けられる。2台ぐらい なら見分けが付くが3台以上では名前を付けて機体にも明記しておく。 そして機体ごとに(受信機ごと)に送受信機が相互に認識するので1番機の設定で2番機が 操作されるような事は起こらない(昔の40MHzや72MHzの古い送信機ではそれが起こり得た。 機体の設定が間違ったまま操縦するのは危険。)
送信機1台と複数の受信機(機体)があれば、送信機はそれぞれの受信機ごとに 認識する機能が必要。受信機を購入したら送信機に「これを新しく追加するので 認識しろ」と覚えさせる作業がいる。これがバインド(Futaba製T6Kでは「リンク操作」 という)。一度バインドすると送受信機でメモリするので以降不要(多分不揮発性メモリ)。 また送信機に 最初から付属する受信機はすでにバインド済なのでバインド作業は不要のはず。 バインドをする前にそれを例えば3番機でバインドするなら送信機を3番機状態 にしてからバインドをする。

2)機体タイプ
バインドした受信機ごとに機体タイプを設定できる。1番機はヘリで2番機は飛行機とか にも可能。バインドしたら機体名を付ける。ここでは機体タイプを 「ヘリコプター」にする。ヘリコプターでもスワッシュプレートを動かすサーボの 構成によっていくつかの種類になるが、シャトルはスタビライザーバーが付いた オーソドックスなノーマルモデル。エルロンサーボ、エレベータサーボ、ピッチサーボが 独立しているタイプを設定する。(T6KはH-1)

3)サーボの動作方向
詳細はこちら。

4)サーボのエンドポイント(トラベルアジャスト)
送受信機を動作状態にする。スティックを動かしてサーボを動かしてみる。 スティックを左右(または上下) いっぱいまで動かすとサーボも動作角度いっぱいまで動く。その時にリンケージの 動作範囲のちょうどいっぱいまで動くようになっているのが理想。なるべく そうなるようにサーボホーンの穴の位置とリンケージロッドの長さで調整する。 サーボホーンとは下図のサーボに付いている穴の開いたプラスチックの板状のもの。 下図右端の星型の物では穴の位置が中心よりと外寄りではサーボの動く角度が同じ でもリンケージが動く長さは変わる。
ハードウェアでしっかり調整してから送信機の「エンドポイント」の設定で 微調整する。送受信機を動作状態にし送信機の設定項目をエンドポイントにして スティックをいっぱいまで操作しその状態で送信機のエンドポイント値を変化させる とサーボもその場で動くのでリンケージ動作箇所を見ながらベストポイント に調整する。

5)スロットルカーブ・ピッチカーブ
次項の「メインブレードのピッチ調整」参照。ラジコンヘリコプターの場合スロットル スティック一本でエンジンの回転数とメインブレードのピッチ角度を同時に操作する 方式になっている。スロットルスティックを上げていくとキャブレタを開くサーボが 動きピッチ角度を深めるサーボも同時に動く。同時に動くがその割合は送信機で自由に 設定できる。これがスロットルカーブ・ピッチカーブの設定。 例えばスロットルスティックをローからミドルに上げていくときピッチ角度 はあまり深めず先ず回転数だけ上昇させてそれから徐々にピッチ角度も深めていく とかの設定を独立に自由にできる。

6)アイドルアップ(通常飛行では使用しない)
ラジコンのヘリコプターではエンジンのスロットルを上げるとメインブレードのピッチも同時に 変わるような設定(ミキシング)になっている。 ブレードの回転数を上げるとピッチ角度も深くなっていく ようにして飛行している(実機ヘリの基本はエンジンはほぼフルスロットルでピッチ 角度の変化だけで上下しているが)。送信機にはスロットルだけ、あるいはピッチだけを変化 させるスティックは存在しない。しかし上空飛行で宙返りなどするときは、エンジンは全開で ブレードのピッチ角度だけ操作したい操縦もある。 その状態にするのが「アイドルアップ」モード。送信機の上辺にあるどれかの スイッチにアイドルアップを割り当てておきそのスイッチを入れるとエンジン全開で スロットルスティック(右の縦方向)はピッチだけの操作に使えるようになる。上空 での曲芸飛行で使う機能。Futaba製T6Kの場合デフォルトで左上辺のCスイッチが アイドルアップのスイッチ。ホバリングでは使用しないので不使用(Inhibit)に 設定しておく。ホバリング中にCスイッチがONになるとエンジンはフルスロットル になりとても危険。

7)スロットルホールド(通常飛行では使用しない)
オートローテーションという特別な降下着陸をさせる時に使う機能。機体が正常動作なら 降下するにはスロットルを下げる。もし上空でエンジンが停止したらオートローテーション という方法で降下着陸する。エンジンが停止すると機体の重さで自然に降下するがそのまま では地上に激突する。エンジン停止で降下する時ピッチを−−にしているとメインロータが 降下の風圧で右回転状態になる。地上付近まで降りてきたらピッチを++まで思いっきり入れると 右回転のまま下向きの風圧に変わって着陸寸前でふわっと浮き上がり静かに着陸できる理屈。 それを実際にするために送信機のスロットルホールドのスイッチを入れるとエンジンは アイドル状態になりスロットルスティックはピッチだけを操縦できるようになる。 Futaba製T6kのデフォルトでは右上辺Dスイッチを引くとスロットルホールドになり スロットルスティックの位置にかかわらずエンジンはアイドル状態になる。ホバリングでは 不要なので不使用(Inhibit)にしておく。

8)レボリューションミキシング(T6Kではピッチ->ラダーミキシング)
テールロータの回転で噴き出す風の量は機体の反動トルクに抗するためのもの。メインロータ が右回転するので空中では機体が左回りしようとする(=反動トルク)。この機体の左回り を止めるためにテールロータが後ろから見て右向きに風を出しこれが釣り合って機体は 真っ直ぐ前を向いてホバリングが出来る。
機体が着陸している状態で徐々に送信機のスロットルスティックを上げていく時 メインロータが徐々に回転を上げていく。その途中この釣り合いが崩れる。 なので離陸時は機体が回転しそうになる。そこでスロットルスティックとラダーサーボ の動きを少し連動させる。その設定がレボリューションミキシング。
離陸しようとする過程でメインロータの回転が上がっていく割にテールブレードの出す風が 少ない。なのでその間はラダーが多めに右向きに入るように設定すればいい。
この設定が無くても離陸時にラダースティックを操作して機首を自分で制御してやれば 普通に離陸はできる。
このようなプログラマブルミキシング機能は便利だが最初からそのような機能に あまり依存していると操縦と各部の動きの関係が分かり難くなるかも知れない。 基礎操縦技術がしっかりして 次段階の複雑な操縦を行う時にミキシングで余分な操縦をしなくてもいいように 利用できるといいように思える。

ロータヘッド機構
ラジコンヘリが前後左右上下に移動できる仕組みはロータヘッド機構による。 その要になる部品がスワッシュプレート。スワッシュプレートが「上(下)に移動」すると メインブレードのピッチ角度が大きく(小さく)なり機体が上昇(下降)する。 スワッシュプレートが「前(後ろ)に 傾く」とメインブレードの回転面全体が前(後ろ)に傾き機体が前進(後退)する。 スワッシュプレートが左(右)に傾くと同じくメインブレードの回転面全体が 左(右)に傾き機体が左(右)に移動する。 スワッシュプレート自体はピッチ用サーボでメインマストに刺さったまま「上下に動く」し エルロン用サーボで「左右にも傾く」。エレベータサーボで「前後にも傾く」。 上下に動き傾きもし自在に動くようになっているのがスワッシュプレートだ。 スワッシュプレートがサビでその自在の動きが悪くなっているとヘリの操縦が できなくなる。
スワッシュプレートが上に上がると 2本のブレードは回転中ずっとピッチ角度が大きくなる。スワッシュプレート が傾くとブレードが一周する間の半分はピッチが大きくなり半分は小さくなる。 それによってマストは垂直でもメインブレードの回転面全体が傾く。その傾く方向は スワッシュプレートが傾いた方向に傾くようになっている。 しかもこのピッチ角度の制御はこれら2つが 混ざって起こる。機体が左に傾きながら上昇もする事が可能になる。
「メインブレードの回転面全体がマストに対して傾く」というのは一見理解しがたい。 これを可能にするためにメインブレードをマストに固定する部分には ダンパーゴムが入っている。そのためブレードは多少たわめる余裕が出来ている。 もし固いメインブレードをマストに直角に強く固定されていれば回転面の傾き は起き難い。

スタビライザーブレードはスワッシュプレートの上下ではピッチは変化せず、 傾きによってのみピッチが変化するようにリンケージ構成されている。つまり 機体の傾きにのみ寄与する仕組み。スタビライズの名の通り機体の安定の ための仕組み。例えば送信機のエルロンスティックを左に倒す。機体は左に 傾き左に進む。エルロンスティックをニュートラルに戻す。スワッシュプレートは 水平になりメインブレードの回転面はマストに対して垂直になるが機体は左に傾いた ままで左に流れ続ける。それを止めるためにはエルロンスティック を右に倒して機体の流れを止めなくてはいけない。スタビライザシステムが あるとある程度自動でこれを戻してくれる。つまりニュートラルにすると機体も 水平になりある程度自動でホバリング状態になる。

メインブレードのピッチ調整
メインブレードのピッチ調整は下記1番は家で基本的な角度を整えておき2・3番は 飛行現場で行う。ここでは1・2番を説明する。

  1. マニュアル通りにリンケージを調整する。
  2. 飛行場でエンジンを 掛けて「トラッキング調整」を行う。
  3. 実際にホバリングしてスロットルカーブ・ピッチカーブをベストに調整していく。

1.各部リンケージの長さを正確にマニュアル通りにセットする。 機体をなるべく目線の高さ・水平の所に載せる。 送受信機動作状態にしてエレベータ・エルロン各スティックをニュートラルに するとスワッシュプレートが水平になるはず。
(エルロン)Wリンクは左右同じ長さなので エルロンサーボのリンケージが正確に取付けられていたらエルロン(機体左右方向)は水平になる。 機体前方また後方からスワッシュプレートを見て機体左右方向に水平か否かを見る。 もし水平でないならエルロンサーボのリンケージを正確に調整して水平にする。

(エレベータ)エレベータもスワッシュプレートに接続する部分では調整箇所がない 黒い三角型のプラスティック部品で固定されている(下図写真はその部分が 自作なのでロッドによるリンケージになっている)。 機体真横からみて前後方向でスワッシュプレートが水平でないならエレベータサーボとの リンケージを調整して水平にする。調整はちょっとやりにくい。

スロットルスティックを手前のロー(アイドリング) >中(ホバリング位置)>ハイと動かすとメインブレードのピッチが変わる。 これをそれぞれの位置でマニュアルどおりのピッチ角度に設定して行く。

そもそもメインブレードのピッチ角度とはどことどこの角度のことか。それは スタビライザーバーを水平にして スタビライザーバーに対するメインブレードの角度。 ピッチゲージという角度を測る道具が必要。 メインブレードにピッチゲージを取り付けて、四角いゲージの 上辺からスタビライザーバーを見透かす。そしてゲージの角度器のしめねじを 少しゆるめてゲージの上辺とスタビライザーバーを見透かしてぴったり合わせる。 その時に角度器が指す角度がピッチ角度になる。 左右のメインブレードのドラッグボルトの締め付けを調整して2つのブレードを 一直線にまっすぐ伸ばして角度を測る。スタビライザーバーは必ず水平にして測る。 下図参照。下の写真は少し見え難いが ピッチゲージ上辺の向こう側少しだけスタビライザーバーが見えている。


2本のメインブレードはそれぞれ独立でピッチ角度が調整できる。2つ共 同じにならなければならない。理論的にはロータヘッドの各リンケージ長が同じなら ピッチ角度も同じになるはず。 大きく違うようならリンケージを0.5mm単位で調整する。 ピッチゲージで透かして目で見るだけなので0.5度程度の誤差は簡単に出る。
スロットルスティックは4ch(スロットル)と6ch(ピッチ)が連動 するようになっている。スロットルスティックを あげるとエンジンのスロットルがあがる(キャブが開く) と同時にピッチ角度も+に深くなる仕組み。 もしそうならない時は送信機のサーボ動作方向を正しく設定する (Futaba製送信機T6Kなら「サーボリバース」)。

送受信機を作動状態にしてスロットルスティックを操作し スロットル位置とピッチ角度を以下のようにリンケージを調整して初期設定する。 根気よく少しずつ左右均等に調整する。下表の角度は送信機で設定されるピッチカーブ が直線の場合なのでピッチカーブが直線になっているか確認しておく。
スロットルスティックの位置 ピッチ角度
下(ロー・アイドリング) −3度
中(ホバリング) +5度
上(ハイ) +10度

メインブレードのピッチに関係するリンケージは旧シャトルのタイプでは ピッチロッドが固定になっている。どのリンケージを伸ばす(縮める)とピッチ角度が 深く(浅く)なるかを考えて根気よく調整する。ピッチサーボホーンの角度を マニュアルに沿って合わせてミキシングアームロッド・コレクトピッチロッド・ ピッチロッドの間隔をマニュアルから0.5mm単位で合わせて上表のピッチに 合わせていく。左右同じピッチ角度に合わせても幾らかはずれる。そのずれは 最終的に次の「トラッキング調整」で追い込んで合わせる。ピッチロッド半回転 ぐらいの調整になる。

2.トラッキング調整
以上まで出来ればラジコンヘリコプターの設定は9割ほど完了。次項のエンジンのかけ方 を参考にエンジンをかける。そしてメインロータを回転させる。まだホバリングはさせない。 離陸しないレベルまでメインロータの回転を上げてブレードの回転面を真横からよく見る。 最初は2本のブレードの少しのピッチの違いがありこの回転面は一面には見えず回転面に 幅が見える。これを修正するのがトラッキング調整。下図はトラッキング調整が出来て いる回転面

メインブレードの片方には蛍光テープが貼り付けてある。真横から見た回転面に幅がある 場合この蛍光テープが上側か下側のどちらかに見える。上側に見えたら蛍光テープを 貼ってあるブレードの方がピッチが少し深い(+になっている)。そこで蛍光テープの ブレードのピッチを少し浅くする(−にする)ようリンケージを調整すると同時に 貼ってない方のブレードのピッチは少し深く(+に)するように調整する。片方だけで 調整しないで両方で少しずつ調整する。どのリンケージをどうすればピッチがどちらに 変わるかは自分で考えれる。
新しいシャトルは下図のようにブレードホルダ下にあるピッチロッドを 調整するだけでトラッキング調整ができる。古いシャトルはこれが固定ロッドになって いるのでそれより下のミキシングアームロッドで調整するか ピッチロッドを固定式から可変式に に変更してもいい。下図左は旧式のロータヘッド。ピッチロッドの部分は固定式。 ピッチを調整するにはその下のミキシングアームロッドで調整するしかない。 下図右は古いシャトルでピッチロッドに変更したもの

3.ピッチカーブとスロットルカーブ
ヘリコプター機体のハードウェア(リンケージ)のピッチ角度の設定が一応出来上がれば、 次は送信機「ピッチカーブ」「スロットルカーブ」の設定を行っていく。上記のように リンケージの設定が出来てスロットルスティックを上げていくと、上記で設定した ピッチ角度は機械的に直線的に変化していく。 この「変化の度合い」を送信機の方で滑らかに自由に設定できる(ソフトウェアによる 設定)。
例えばスロットルスティックをローの状態(アイドリング状態)から徐々に 上げていく。最初はメインブレードの回転だけを上げてピッチ角度はあまり入れない。 回転を少し上げた状態からピッチ角度も入れていく。メインブレードの回転数を 1200rpmぐらいで適量のピッチでホバリングできるような設定にする・・・とか。
また例えば上記よりピッチを抜き気味で1300rpmでホバリングできるようにも設定 出来るし1100rpmでピッチを入れ気味でホバリング出来るようにも設定できる。 この例では1300rpmの高速回転でピッチ抜き気味だとメインロータは高速回転して いるので機体姿勢は割と安定する。逆に1100rpmでピッチ入れ気味だとピッチが入って いる分メインロータを回すのにエンジンは回す力が必要になりエンジンには負担が かかるようになる。メインロータの回転数とピッチ角度の関係はホバリングだけや 上空でスピードを出す飛行とかでそれぞれベストの状態は変わってくる。送信機や シャトルのマニュアルには基本的なカーブの設定具合が記載されているが、自分の 飛行経験でベストな状態にもっていく事になる。それは経験で徐々に自分の好みに 調整していく。ただメインロータの回転を低めでピッチを入れ気味の設定では 機体が安定しないので、ある程度の回転数は必要。
この「ピッチカーブ」「スロットルカーブ」の設定は飛行中の安定にとても関わっている。 このベストポイントは自分の経験と好みで安定化を見ながら見つけていくしかない。 ピッチカーブを変化させると反動トルクも変わってくるのでテールロータのピッチ 調整もその都度ベストな状態にしていく必要がある。最初メインロータの調整を やりテールロータは送信機トリムで行い、メインロータの調整が出来ればテールロータ はトリムを中立に戻してリンケージで調整する。送信機のトリムは一時的な 微調整にとどめて最終的にはリンケージで調整し直してトリムは中立に戻す。

ワープエンジン始動
<始動前の注意事項:重要>
エンジンの始動にあたり最も注意が必要な事はなにかのトラブルにより エンジンがかかった瞬間に高速回転してしまう事。 メインロータも高速回転してしまいとても危険になる。 正常ではエンジンがかかっても低速回転でクラッチが外れているので ロータは回転しない。 しかし誤った状態で送信機の スロットル・スティックが 上がったままだったり、機体のスロットルが外れて開いていたり、 機体の電源スイッチが入っていなかったりすると エンジンがかかった瞬間にいっぺんに高速回転になってしまう。 そうなるとクラッチもかかってロータが高速回転し始める。 ロータまで高速回転してしまうと手が付けられなくなりとても危険。 このような事態になる事は絶対に避けなければならない。 そうならないようにするにはエンジン始動の前にすべてをチェック してから掛ける。慣れてくるとチェックを忘れて気軽に掛けてしまう。 ラジコンを始める日の最初だけではだめでフライトごとに毎回慎重に きちんと機体の整備点検をしてからエンジン始動するようにする。 これだけはラジコン人生中は絶対に守らなければいけない。

もし誤った状態でエンジンを掛けて高速回転してしまったらどうするか。 エンジン始動と同時にワーン!といってエンジンが高速回転し始めたらすぐに メインブレードを押さえ込んで絶対に回転させない。エンジンは小さいので 人の手で簡単に押さえ込める。この時クラッチの摩擦で煙が出るが 気にせず落ち着いて次に燃料タンクとエンジン間の給油チューブを 指でつまんで燃料を止めるとエンジンは数秒後に停止する。 この非常対応操作を常に念頭に置いてエンジン始動をする事。 もちろんそうならないように始動前に毎回各部のチェック (特にスロットル系)は絶対にする。 送信機のスロットルスティックは一番下げた状態でエンジン始動作業で 不用意にそれに触れない所に少し離して置いてエンジン始動操作をする。 これを毎回必ず徹底する。

<エンジン始動の様子>
ラジコン・エンジンの燃料はメタノール(アルコール)、ニトロエタン、 オイルの混合燃料。シャトルの32エンジンは2サイクルエンジン。 エンジン始動時はシリンダ内のヒータを外部電池で赤熱させてモータスタータ でエンジンを外部から回す。回すと燃料を吸い込みヒータで点火される。 エンジンが始動したらヒータから電池を外しても燃えている燃料で ヒータが赤熱してシリンダ内の爆発が連続する仕組み。 こうしてエンジンが回り続ける。

エンジンを始動する時の音を聞いているとこのシリンダ内の爆発音が聞こえる。 最初は聞き分けられないかも知れない。爆発音がしないとエンジンは掛からない。 最初スタータでエンジンを回しても爆発音は無い。機械が空回りする感じの カラカラ音しか聞こえない。爆発音は表現しにくいがブコボコブコブコ (とかブスブスブルブル)という空気が少しはじけるような音でこれが空回り の機械音に混じってくる。 この爆発音が混じってくるとその内エンジンがかかる。 いつまでもカラカラカラーと乾いた機械音だけだと いくらやっていてもエンジンは掛からない。 もし爆発音が全然聞こえてこなようなら原因がある。後述 「エンジンが掛からない理由」の項を参照。

<モータスタータ>
エンジン始動時に使うモータの始動道具(下図)。電池をつないで エンジン外部からエンジンを回す(自動車のセルモータの役目)。 電源は電圧12Vが一般的。通常の鉛 バッテリを使うが3セルLipo(3.7V*3cell=11.1V)でも大丈夫。下図は3セルのLipo電池で 小型軽量で電流も沢山流せる。Lipo電池は専用の充電器が 必要で発火しやすく取扱い要注意。衝撃に弱いので下図では紙に巻いて 保護してある物を写した。
シャトルのエンジンはエンジンの回転シャフトが上向きになるように装着されている。 エンジン始動でこれを回す場合機体上から見て反時計回り(左回り)に回す。 なのでモータスタータの回転方向は本体側からみて反時計回り(先端側から見て 時計回り)でないといけない。 モータスタータと電池の接続はこの回転方向になるように+−を決める。 Lipo電池用にソケットをはんだ付けする時は極性に注意が必要。

<スタータ方式の違い>
シャトルの場合スタータの使い方には2種類ある。 シャフトスタータ方式とベルトスタータ方式。古いシャトルは ベルトスタータ方式。どちらでも構わない。

(シャフトスタータ方式)

シャトルではエンジンのシャフトが上向きに 取り付けられている。このエンジンのシャフトにモータスタータのシャフトを 直結させるようにしてエンジンを始動するのが「シャフトスタータ方式」。

 

スタータの先に六角の鉄棒@を差し込む。これをシャトル機体のタイミング ベルトのプーリBの所にある六角の穴Aに差し込んでスタータを回す。 スタータの回転はタイミングベルトのプーリBとクラッチベルCを突き抜けて Dの棒を回す。これがエンジンのシャフトを直接回す事になる。

 

左図においてDシャフトはエンジンのシャフトをつながっていて BとCを素通りしてAに固定されている。なのでAを モータスタータで回すとエンジンを回せることになる。

 

エンジンが始動してもその回転はモータスタータの六角棒には伝わらないように ワンウェイベアリングでDシャフトに接続されている。エンジンが始動しても慌てて スタータシャフトを抜く必要がない。

 

エンジンを始動する時はモータスタータを機体に押し込むように下向きに少し力を入れて スタータを回す。でないと六角棒のシャフト@が回転で飛び抜けるように はじけて危ない。

(ベルトスタータ方式)
古いシャトルには機体の真ん中にスタータベルトがむき出しで装着されている。 エンジン始動時はこの スタータベルトをクラッチベルの下に見えるプーリにかけ一方を モータスタータのプーリにかけてエンジンを回す。クラッチベルの下に見える プーリはエンジンの回転シャフトに固定されている。エンジン側とモータスタータ側 のプーリの間でスタータベルトをピンと張ってエンジンをかける(下図右)。
エンジン側のプーリにはワンウェイの仕組みが入っていないのでエンジン始動と 同時にスタータベルトをぱっとゆるめてエンジンの回転を持続させるように する。スタータのスイッチを握ってエンジンをカラカラーと回す、その内ブコブコブコと 爆発音が混じってきて、ブルルーン!といったらたらスタータベルトを ぱっとゆるめる、ゆるめてエンジンがかから なかったらまたこれを繰り返す。 エンジン始動には少しコツが必要だが、一度エンジンを かけられればコツは簡単に身に付く。 エンジン始動後は飛行前にスタータベルトを元の定位置に(下図左)戻して飛行する。

<エンジン始動手順>
エンジン始動前の各部チェックはフライトごとに必ず実施する。ラジコンをする日の最初だけ ではなく毎回フライト前に行う。@電気系統のソケットの抜けの有無A回転部のねじの ゆるみBスロットルリンケージC機体搭載の電池電圧D送信機の電池電圧。とにかく ブレードが高速回転したラジコンヘリがノーコントロールになる事を絶対に避ける。

生まれて初めてエンジンをかける時は練習でやってみる。メインブレードを 装着せずにエンジンだけかける練習をし掛けられるようになってから飛行現場で本番に臨む。
また中古機を購入してエンジンを修復して初めてエンジンを掛ける時も事前に自宅で 掛けておく。固着していたエンジンを初めて掛けるとマフラから錆で赤い廃液が出る事がある。

  1. 燃料タンクに燃料を入れほぼ満タンにする。
  2. 必ず送信機から電源を入れて、次に機体の電源を入れる。切る時は必ず機体を切ってから 送信機を切る。+++>2.4GHz以外の送信機を使用する時は送信機の設定がその機体のものか しっかり確認しないといけない。別の機体の設定でも動作するので危険。2.4GHzの送信機は バインドされた受信機しか動作しないが昔の物は周波数さえ合えば何でも動作する。他の 人が同じ周波数で操縦していると混信してとても危険。
  3. 送信機の各スティックを動かし、すべてのサーボ動作・リンケージの動きをチェック。 スロットル・スティックをいっぱいに下げてトリムも下げて、スロットルが閉の位置に なっている事を確認。
  4. (これは最初だけ)ニードルを手前から見て時計回りでいっぱいに閉めこむ。その位置から 測って1.5回転開ける(反時計回り)。ニードルのつまみには穴が開いているので そこを目印に1.5回転まわす。
  5. プラグヒータをつないで電源を入れプラグを加熱する。
  6. 送信機のスロットル・スティックは下いっぱいにさげてスロットル・トリマ をニュートラルより上に上げる。
  7. 送信機にあやまって手が触れない位置に置く。でも手の届く所に置く。
  8. シャフトスタータ方式でエンジンを掛けるときは、左右メインブレードの真ん中を 回らないように持ってスタータで六角シャフトを機体に押し付けながら スイッチを押してエンジンを掛ける
  9. スタータベルトで掛ける時は機体をしっかり持ち腕や体でメインロータが回転しないように さえぎりながらスタータ・スイッチを押してエンジンを掛ける。
  10. エンジンが掛かり回転数がちょっと高めでクラッチがつながり気味の時は メインロータが回転しないようにしっかり持ったまま送信機のトリムを 下げてアイドリング位置にする。下げ過ぎてエンジンが止まらないように。
  11. 送信機はその場に置いて、ヘリ機体を離陸場所に移動する。それから送信機を操作して 離陸させる。エンジンの回転を急に上げない。徐々にスロットルを上げてゆっくりロータの 回転を上げていく
  12. エンジンは一発では掛からない。あまり連続でスタータをかけない。2、3度やって 掛からないときは5秒ほど待って再度スタータを回してみるとかかりやすい。
  13. エンジンを停止するにはスロットル・スティックを一番下げて、更にスロットルの トリムを一番下に下げる。これでスロットルが完全に閉じてエンジンが停止するはず。もし 停止しないならスロットル・リンケージがちゃんと調整されていない。危険だ。あせらず スロットルを下げた状態で燃料を使い切るのを待つしかない。

(参考)エンジンは燃料を吸わないと掛からない。燃料タンクからエンジンに接続した 燃料チューブに小さい気泡が見えれば、モータスタータでエンジンをぐるぐる回している とこの気泡がエンジンの方へ流れて行くのが見える。
エンジンに燃料を吸い過ぎるとシリンダ内に燃料があふれヒートできなくなりエンジンは 掛からない。詳細は後述「エンジンが掛からない時の対処」参考。

エンジンが掛からない理由
さび付いたエンジンを回るようにしたばかりなので、最初はちょっとやそっとでは かからない事もままある。エンジンが掛からない理由を以下に列記する。 とにかくがんばって最初のエンジンを掛ける。掛かったら2タンクぐらいは エンジンを低速回転させるといい。飛行本番前に庭や近所の広場で一度エンジン始動を やっておく。

<エンジンの爆発音がしない>
スタータでエンジンを回し燃料がエンジンに入ってプラグが赤熱していれば 普通はバコバコブスンという感じで 燃料が爆発する音が聞こえる。この音が聞こえないとエンジンは掛からない。 スタータでいくら回してもカラカラという機械音しか聞こえない 場合は以下の理由が考えれる。

  1. エンジンが掛からないといってあまり何度も連続でスタータで回していると掛からない。 けれど10秒ほど時間を置いてからまた回すとあっさりかかる事がよくある。
  2. シリンダ内でプラグが赤熱していない。その原因はいくつかある。プラグは消耗品で 切れている場合がある(電球が切れるイメージ)。 あるいはプラグヒータが作動していない。故障や電池切れの可能性あり。かなり電流が 流れるので電池残量が少ないと赤熱が不十分になる。エンジンからプラグを外して それをプラグヒータに接続して目で赤熱を確かめるといい。コイルの部分が赤という よりは白熱球のような輝きでないとだめ。電池切れはよくある事なので要チェック。 飛行現場には予備を持参したい。
  3. 燃料がエンジンにまで入って行っていない。スタータでエンジンを回していると 燃料が少しずつエンジンに吸い込まれていくはず。燃料チューブで小さい液泡がエンジンの 方へ流れて行くのが確認できればスタータを回している内にエンジンがかかるはず。 もしいくら回しても燃料が入って行っていないようなら燃料チューブのつまり、 燃料タンク内の吸い口つまり、燃料フィルタの目詰まりなどをチェック。 忘れてエンジンのニードルが右回りでめいいっぱい閉まっている事もある。 左に1.5回転回して開ける。下記6番参照。
  4. キャブレタの詰まり。古いシャトルを購入した場合、キャブレタに埃やごみが 溜まっている事がままある。エンジンを外した時にキャブレタのニードル周辺、燃料の 吸い口などを自動車用キャブクリーナで吹いてきれいにしておく。
  5. 燃料がシリンダ内に入り過ぎてプラグが濡れてしまっていると点火しない。 機体を傾けてみてマフラから燃料(液体)が流れ出てくるようでは燃料が入り過ぎている。 燃料チューブをチューブクランプ(洗濯バサミやペーパクリップで代替可能) で挟んで燃料を止めてスタータでエンジンをいくらか 回す。するとシリンダ内の燃料が排出される。クランプを取ってまたスタータで エンジンを回す。またあまりにシリンダ内の燃料が多すぎるとエンジンのシャフトが固くて 回らない事がある。どうしても回らない時はプラグを外してシリンダ内の燃料をそこから排出 する。
  6. ニードルの設定が間違って閉まったままになっているか逆に開きすぎているなど。 基本はいっぱい閉めた状態(時計回りでいっぱいに閉める)から1.5回転開く( 反時計回りに開く)。 古いエンジンでは2回転ぐらいで掛かりやすい場合もある。またエンジンを 機体に取り付ける時にニードルを外していてそれをつけ忘れているかも。
  7. キャブレタが閉まり過ぎている。スロットルスティックをいっぱい下まで引いて スロットル・トリムを最大まで上げても掛からない場合リンケージが間違って いる可能性がある。スロットルスティックをいっぱいまで下げてスロットルトリム を一番下げた状態でキャブレタがちょうどしまるようにリンケージを調整する 必要がある。
  8. マフラの排気口の栓を外し忘れている。ラジコンをやったあとマフラの排気口 からオイルなどがたれないように紙や布で栓をしている。それを外し忘れる事がある。
<かかってもすぐにエンジンが止まる理由>
爆発音がしてエンジンが一瞬かかるがすぐに止まってしまう。このような時は10秒ほど 待ってからまたエンジンを掛けるとかかる事がよくある。それでも掛からないときは 以下の理由がある。
  1. 初期不良。古いエンジンを初めて始動した時は掛かりにくいし掛かっても エンジン回転が継続しない事がままある。エンジンが掛かったらすぐにスロットルを 少し上げてエンジンが止まらないようにしてしばらく低速回転させておく。 またエンジンが掛かってすぐにプラグヒータを外すとエンジンが止まる場合、プラグが 赤熱しにくい。そんな時はプラグヒータをすぐには外さないでしばらくヒートした 状態でエンジンを回しておく。エンジンがあったまるとヒータを外しても止まらなくなる。
  2. スロットルリンケージの調整不良。上記項目参照。とりあえずはスロットルスティック をほんの少し上げた状態でエンジンを掛けてみる。あまり上げ過ぎるとエンジン始動と同時に 高速回転になるので要注意。
  3. 前項と同じニードルの調整不良、キャブレタの汚れ、燃料チューブ系不具合などでも エンジンがすぐに止まる原因になる。上記項目参照。
<スロットルを上げてもエンジン回転数があがらない>
エンジンは掛かって回り続けるがスロットルを上げていくとそれに比例して エンジンの回転数が上がらない時がある。そのような時は以下の項目をチェックしてみる。
  1. リンケージ調整不良。サーボホーンの位置などがマニュアル通りになっているか。
  2. ニードルが1.5回転より開いているとエンジンはかぶり気味になる。 ニードルを少しずつ閉めてエンジンの回転数の上昇を見る。閉めすぎるとエンジンは高い 音で高速回転になり 焼け気味になる。するとエンジンを傷めるので要注意。基本は1.5回転からでエンジン回転数が 上昇しない時だけニードルを少しずつ閉めるようにする。
  3. ピッチカーブの設定でホバリング位置でピッチが入り過ぎていると メインブレードの回転抗力が大きくなりすぎて回転数が上がらない事がある。 ピッチを少し抜いてスロットルカーブで回転数を上げる設定をしてみる。 ブレードの被膜フィルムがめくれて空気抵抗が大きくなっているときも 回転抗力が増す。ほんの少しのめくれでも高速回転するので結構空気抵抗は 大きくなる。スタビライザーブレードのピッチが標準で水平になっていないとか スタビライザーブレードのフィルムが少し剥がれているかも知れない。

エンジン始動後(トラッキング調整)
==メインロータのリンケージ調整==
2本のメインブレードのピッチをいくらゲージで見て正確に合わせたつもりでも微妙にずれている。 ホバリングする前にこれを正確に合わせる。実際にエンジンを掛けてメインロータを 回すと2本のブレードのピッチの小さいズレを目視できる。仮に2本のブレードを@、Aとしておく。 @のブレードのピッチがAより少しでも大きいとメインロータを回転させて回転面を 真横から見ると@のブレードがAより上に出て見える。@とAのブレードを見分けるために 予め@のブレードに赤い蛍光テープを貼っておくと赤い目印が上側にズレているのが 見える。@とAのピッチが完全に合っていると回転面を真横から見て薄い一面に見える。

いったんスロットルを下げてアイドル状態にする。メインロータの回転が止まったら @のブレードのピッチを少し小さくしAのブレードのピッチを少し大きくする。スロットル を上げてメインロータを回転させて確認する。これを繰り返してブレードの回転面が 薄い一面に見えるまで行う。

エンジン始動後(各部調整・ジャイロの感度調整)
==ジャイロ本体の調整==
トラッキング調整が完了したらいよいよホバリングを始める。送信機のスロットル スティックをゆっくり上げていく。最初は機首が左か右に振られるがそれはラダースティック を操作して正面を向かせるように操作しながらスロットルを上げていく。 ラダースティックをいくら操作しても機体がぐるりと回ってしまうようなら ジャイロの動作方向が逆の設定になっている。ジャイロの動作方向も合っていれば そのままスロットルを上げていく。V911で練習出来ていればそのままホバリングできるはず。 ホバリングが出来ればスロットルスティック以外をニュートラルにしてみる。 墜落しないように注意してエレベータ、エルロン、ラダーを1つずつ中立に してみて、順にその調整具合を確かめる。ニュートラルにしても機体がその方向に ずれないか確認していく。例えばエレベータをニュートラルにして 前や後ろに進んで行くようならエレベータのリンケージを調整する。それをそれぞれ 根気よく調整して理想で言えばスロットル以外手放しでもほぼ機体が空中で じっとしているぐらいまで調整を取っていく。なるべく風の無い日に調整する。

上述の調整もしながらテールの振動を見る。ジャイロ感度が合っていない場合テール が左右に周期的にふらふらと揺れるように動く。ジャイロ感度を少しずつ下げていってみる。 周期的なふらふらが止まればいい。少しぐらいならあまり気にせず次項のピッチカーブ・ スロットルカーブを調整しながらラダーの調整もしていく。ラダーの調整はラダーリンケージ とジャイロの調整がある。ラダーの静止(機首の静止)はメインブレードの 反トルクを打ち消すための調整。

エンジン始動後(スロットルカーブ・ピッチカーブ調整)
==送信機の設定調整==
送信機のスロットルスティック(右の縦方向スティック)を動かすとエンジンスロットル だけでなく、メインブレードのピッチも同時に動く仕組みになっている。スティック1つで サーボが2つ動く(ミキシング機能)。 送信機のスロットルスティックを下から上にあげるとエンジンスロットルは閉から 開に動き(エンジンの回転数があがり)、メインブレードのピッチ角度も小から大に 動く。つまりメインブレードは回転数が上がりながらピッチも同時に深くなっていくように動作する。

このミキシング機能は送信機が行っている。スロットルスティック1つを動かすと 2つのチャネルに信号が出る。スロットルサーボを動かすチャネルとピッチサーボを動かす チャネルだ。この2つの信号の出し方を送信機で独立に設定できる。これがスロットルカーブと ピッチカーブの設定。
例えばスロットルスティックを上げていく時に、スロットルサーボが直線的に動くように設定できるし 最初はゆっくりでホバリング位置(スティック真ん中)でエンジン回転60%ぐらいのカーブの設定とか にできる。 またピッチカーブも例えばホバリング位置(スティック真ん中)のエンジン回転でちょうど ホバリングできるピッチにするとか。
ホバリングの調整では例えばホバリング位置(スティック真ん中)でエンジン回転高めでピッチは 抜き気味にするとか、エンジン回転中ぐらいでピッチをやや入れ気味にするというふうにもできる。 ホバリングに必要な下向きの風量はどちらでも同じのイメージだがそれぞれエンジンの回転と ピッチ角度の組み合わせは異なる。(メインロータが起こす下向き風量:回転数高め×ピッチ浅目= 回転数中ぐらい×ピッチ深め のイメージ)
基本はシャトルのマニュアルどおりの設定でスタートだがあとは各自の好みになる。例えばエンジン回転 高め×ピッチ浅めだとメインロータ回転が高めなのでコマの原理で機体は安定する傾向になる。

またメインブレードのピッチだけに注目するとピッチが深いと空気抵抗は増す。つまり 反動トルクも大きくなるのでラダーのピッチにも少し影響がでる。ピッチカーブを変更すると 機首も動き気味になりラダーのピッチを調整して機首を静止させる必要が出てくる。 メインブレードのピッチ、回転数、 ラダーのピッチは3つどもえの調整になる。

テール安定化
テールが安定しないとヘリコプターは飛ばせない。調整・整備が出来ている とラダースティックを操作しなくてもホバリング中は機首は前を向いてじっとしている。 他の操縦と違いラダーはジャイロが自動で安定化操作をしているから。風などによるゆっくりした 機首のぶれはジャイロでは制御していない。ヘッドロック機能のあるジャイロを動作させていれば これも安定化してくれる。
テールが安定せずラダーの操作ばかり しているとホバリングはできても次の段階の飛行操縦には移れない。テールの安定は必須。
いくつかの要因でテールが安定しない事がある(機首が動く)。ラジコンヘリコプターの 不安定トラブルの何割かを占めるのがこの問題。テール安定のための調整や修復を 徹底的に行う事が重要。再度以下にその要因と対処法をまとめた。

  1. 全体のアンバランスによる。テールの安定はとても微妙なバランスの上に成り立つ。 メインロータの回転の反作用でヘリの機体が左回転(機体上方から見て)しようとするが それをテールロータが風を作る事で静止させている。テールロータの回転はメインロータ を動かす同じエンジンから作っている。 シャトルの回転比はメインロータ対テールロータ=1:5.5になって いる。これで釣り合って空中で静止するよう設計されている。
    しかしこれはメインロータが スムーズに回転してテールロータもスムーズに回転して規定のピッチでジャイロが 正常にスムーズに動作している時に限られる。 このどれか1つでも不良だとバランスが崩れてテールが安定しない現象になる。
  2. メインロータがスムーズに回転しない原因。 メインロータのトラッキング調整不良。メインロータのフィルムが部分的に剥がれて いたりスタビライザーブレードのフィルムが剥がれている。送信機のホバリング位置での ピッチカーブ設定が回転の割にピッチが大きすぎる。
    メインマストやフェザリングスピンドルが曲がっている。
  3. テールロータがスムーズに回転しない原因。 テールロータの回転軸シャフト(テール駆動軸のシャフト)のオイル不足。これは飛ばしている 内にオイルが乾いてくるので定期的に注油する。下図緑矢印のシャフトをテールピッチプレート という部品がスライドするのでその部分が常にオイルされている必要がある。乾いていたり 汚れているとだめ。

    テールロータの回転軸シャフトが曲がっている。シャフトを受けるベアリングが破損している。
    テールロータテールのピッチ可変機構がスムーズに動いていない。 下図矢印のネジの締め付けが固すぎるとスムーズに動かない。下図はテールユニットケース を下から見た図。青矢印のダブルリンクピンは4本ある。赤矢印はテールピッチレバーの 支点を留めるねじ。これらのネジの締め付けは強すぎるとピッチ可変機構がスムーズに 動かない。弱すぎると外れて危ない。次の動画のように軽く指で動かせるぐらいスムーズにする。 ピッチ可変の動き

    タイミングベルトの駆動系がスムーズに動いていない。メインロータを外して スタビバーを指で左回りに(上から見て)回してみてテールロータがスムーズ に回れば良いがカタカタと詰まったような手応えがあるとだめ。タイミングベルト の張りが強すぎる。タイミングベルトが部分的に破損している。プーリとのかみ合わせ があっていない。プーリが破損しているかタイミングベルトが部分的に伸びて 山と山が伸びている。交換が必要。

  4. ラダースティックが中立の位置であるにも関わらずゆっくり機首が左(右)に 動いていく場合はラダーリンケージを調整する必要がある。一時的には トリムで調整すればいいがすぐにラダーリンケージを調整する。 例えば機首が左に動いていく場合 リンケージとしては少し右に向けるように調整したい。ラダースティックを右に倒す動作は ラダーサーボがリンケージロッドを機首前方に引くように動く。なのでリンケージロッドを 前方に少し動いた状態にすればいい。つまり少し縮めるようにテールのボールリンク部分で ロッドリンケージを調整する。機首が右に動く場合はこの逆。
  5. ラダーのリンケージロッド不具合。ラダーサーボとテール部分を接続する最も長い鉄の棒の 部分がスムーズに動かない事による。 ラダーサーボのホーンを外し(ロッドが付いたまま)、 それを手で前後に動かしてみる。「軽く」テールピッチまでが動けばその部分の不具合は無いだろう。 リンケージロッドを包む細いプラスティックのパイプ内でロッドが詰まっているとスムーズに動かない。 古いシャトルだとロッドが錆びている事が多い。その場合リンケージロッドを外してサンドペーパで 錆を取り除き油で磨いておく。あるいは新品と 交換するといいがこの部分はセットで400円程度だが長いので送料がかかる。
    とにかくラダーサーボは細かく素早い動きをするのでラダー系統の可動部分は常に軽くスムーズ な動きになるようメンテが必要。
  6. ジャイロの設定ミス。機械方式(コマ方式)のジャイロは設定はシンプル。動作の方向と ジャイロ感度のみ。左右にテールが周期的に振れる場合ジャイロ感度が大きすぎる。またスロットル を上げた時いくらラダースティックを操作しても機体がぐるりと回ってしまう時は ジャイロの動作方向が逆。
    半導体方式の場合は小さいスイッチやボリュームが幾つかある。また送受信機のチャネルを 使った調整モードがある物は操作手順などをよく確認して正しく設定する。
  7. ジャイロの不具合。風も無くホバリング時にラダースティックを操作していないのに 機首が90度ほど勝手に動くようならジャイロを疑う。 ジャイロはとてもセンスィティブな部品。一見正常動作している様でも ホバリングさせると時折り動作不具合が出る事もある。機体は空中で激しく振動する。 その環境でジャイロに異常が起こるケースが考えられる。なるべく振動がジャイロにガリガリ 加わらないような固定方法を工夫する。 ジャイロの接着部分にクッション性の物を挟む事は必須条件。コネクタなどの接続部分もチェック してみる。どうしても収まらない時は ジャイロ自体の交換も検討する。予備があると便利。
  8. ラダーサーボのサーボホーンが小さい。マニュアル通りに大きいサーボホーンになって いる事を確認する。ラダーサーボが正確に動いていてもサーボホーンが小さいとサーボホーンの 動作半径が小さくなり結果ラダーの動作幅(実際にロッドが 動く長さ)が小さくなる。そのためジャイロの効き目が小さくなりテールが不安定になる。
    下図の例では左のサーボホーンはよくない。右端のホーンで中心から2つめの穴を利用する (マニュアル通り)。サーボを取り換える時などうっかりする。特にJRとFutabaではサーボホーン を共用できないのでサーボホーン自体も交換になる。
  9. ラダーサーボの不良。ラダーサーボは他のサーボに比べて左右に細かく常に動作している ので劣化のスピードは幾分早い。ラダー用高速サーボも販売されているが高価。通常飛行では 無用の長物。中国メーカ製(日本メーカの中国製造品の事ではない)の物は要注意。 中国メーカの製品は最初は正常に動いても劣化がとても早い。ラダーサーボだけは絶対に 日本メーカ製にする。中国サイトではFutabaのラベルが貼ってある偽物が売られていた。
  10. 操作ミス。エレベータスティックの操作時に無意識にラダー方向にも舵を入れてしまう。 ホバリング練習でエレベータ操作でラダーに入らないよう意識して練習する。 ラダーに舵がほんの少し入っても機首が大きく振れてしまうようなら 送信機のラダーチャネルのエクスポーネンシャルを設定する。 ラダースティックの位置が中央付近ではスティック操作量の割にサーボがそれほど 大きく動かないようにする。

ホバリング練習
ホバリングはV911で練習していればほぼできるはず。同じような舵さばきで大丈夫。 ただしシャトルはブレードが1000回転もしていてとても危険。それを何より一番に 考慮する必要がある。飛行前の点検は毎回必ず行う。特に電池、受信機、サーボの動作 は確実でないといけない。エンジンヘリは機体の振動も大きい。各作動系のコネクタの 抜けや接触不良は絶対にあってはいけない。更にエンジンのスロットル動作だけはどんな 状態でもノーコントロールになってはいけない。リンケージの確実性を常に考慮する。 墜落や遠くに行ってしまった場合にすぐに エンジンを切れるようになっていないと人身事故につながる。

シャトルはV911と違い少しでも傾いて回転中のブレードが地面にこすれたりすると 各部が大きく破損しブレードも使えなくなる。
V911と違いゆっくりスロットルを上げてゆっくり離陸できるのでいきなりスロットルを 上げてはいけない。
徐々にエンジンの回転を上げて、メインロータの回転面をよく見ながら 前後左右の傾きを水平に保ちながらスロットルを上げていく。
レボリューションミキシングという機能を送信機に設定していないのでメインロータの回転 が上がるに従い回転の反作用で機体が回ろうとする。それをラダースティックの操作で 回転を抑えながら離陸までスロットルをゆっくり上げていく。
(スロットルを上げてラダー操作で機体の回転が止められない時はジャイロの動作方向が 逆の設定になっているかテールブレードの回転が足りていないので再度調整)
離陸するとラダーは落ち着くはず。同時に機体が流れないようにエルロン、エレベータを 早く細かく操作して少しだけ離陸させてまたゆっくり着陸させる。
メインロータの回転面を水平に保つ事に注意してこれを繰り返し徐々にホバリング時間を伸ばしていく。
V911と違い最初は恐怖感も大きく緊張感も相当大きい。徐々にシャトルの動作に慣れて 手に汗を握らないでもホバリングがワンタンク持続できるようなろう。