1.日本みつばちって何? | ||
日本みつばちとは、日本の山野に自生しているみつばちのこと。
一般の人が「みつばち」と言えば、TVで見るような養蜂業者が
みかん箱のような巣箱で飼っている「西洋みつばち」しか知らない。
まさか日本に野生のみつばちがいるなんて全く知らないのが普通だ。 でも日本にも太古の昔から日本列島固有種のみつばちが生息している。これが日本 みつばちと呼んでいる蜂だ。日本みつばちは養蜂のために交配・開発された みつばちではない。西洋みつばちが土着したものでもない。そしてこいつら には西洋みつばちに無いすばらしい特徴があるのだ! それは1)伝染病にかからない。これは抗生物質を飲ませなくても養蜂が できるという事。2)ダニを寄せ付けない。これもダニ用の殺虫剤を使用しな くても養蜂ができるという事だ。この2つによって世界でもっとも安全で 完全ピュアなハチミツを作る事ができるという事。これは世界的にも驚くべき 事なのだ。3)たくさんの種類の木々や花々から蜜を 集めてくる。これは日本みつばちにしか作れないすばらしい風味のハチミツ を作れるという事。このハチミツのおいしさを知ってしまうと、もう他の どんなハチミツだって食べられなくなる。断言できる。市販のハチミツなど とは月とすっぽん以上の違いで全然、まったく違うものだ。 良い面があれば、必ず悪い面もある。1)蜜を貯める量が少ない。西洋 みつばちに比べて数分の1から10分の1ぐらいしかハチミツが集まらない。 2)養蜂が難しい。野山へ逃げて行ってしまいやすい。彼らはもともと 野山で暮らしている虫なのだ。余程の事がないと人間と一緒には暮らさない。 日本みつばちと養蜂用の西洋みつばちの見た目の違いは、日本みつばちの方が 一回り小さい。だんご蝿ぐらいの大きさで、やや黒っぽい。西洋みつばちは 表題の写真の頭・胸・腹の内、胸の部分が真っ黄色に見える。全体に黄色っぽい ので、一度見れば誰でもすぐに見分けが付くようになる。 みつばちの家族構成を説明すると、1匹の女王蜂と数万匹の働き蜂と、春の 終わりから夏の間だけ生息する100匹程度のオス蜂だ。という事は、数万匹 の働き蜂は全部メスなのだ。でも働き蜂はメスでも通常では卵を産まない。 ちゃんとした卵を産むのは女王蜂だけ。日本みつばちの場合、女王蜂が死ぬと あと何万匹の働き蜂がいても、その群はほぼ100%死に絶える。らしい・・。 (西洋みつばちの場合、女王がいなくなると変成王台を作ってナンジャカン ジャ・・・) 女王蜂は分蜂したときに一生に一度だけ巣から外に出て、数匹のオスと外で 交尾して、一生分の精子をお腹にためて帰って来る。そして有精卵を生み 続ける。生まれる子は 通常働き蜂になる。働き蜂は春に王台という特別な巣穴を作る。そこに 働き蜂はローヤルゼリーという特別の養分を貯める。王台に生み付けられた 普通の卵は、そのローヤルゼリー を食べて、次の女王蜂になるという仕組みだ。つまり女王蜂を作るのは 働き蜂なのだ。どれぐらい次世代の女王蜂を作るかは、働き蜂が決める と言われている。 養蜂をやるに当たり大切なことは「蜂群を強勢に保つ」ということ。 「蜂群を強勢にする、強勢に保つ」というセリフは養蜂の専門用語だ。養蜂の どの本を見ても書いてある。これはどういう意味かというと、女王蜂がどんどん 卵を産み続けるということ。女王蜂が元気でどんどん卵を産み続けられれば、 群は大きくなり(働き蜂の数が多く元気になり)強勢ということだ。 働き蜂が多ければ野山からみつや花粉をどんどん 集めてこられる。そうなればどんどん巣を大きくしていける。そうすれば 女王蜂は卵をどんどん産み続けられる。 ところが女王蜂が何らかの原因で弱ると卵を元気に 産めなくなる。すると群の蜂数が少なくなり花粉やみつが集められなくなり 巣も大きくならなくなる。また野山に花がなくなる、或いは咲いていても蜜を 出さないようになると、働き蜂は花の蜜を持ち帰れなくなり、女王蜂は ハチミツを食べられないで弱り、卵が 産めなくなる(女王蜂は外に出て自分で蜜を吸ったりはしない)。こうなると 蜂群全体がどんどん弱まり、数が少なくなり徐々に死に絶える。また スムシが巣食っていた場合、蜂群が弱くなると急激にスムシが巣を食い荒らし 全滅する。 スムシは俗称でツヅリガ(蛾)の幼虫のこと。大抵の養蜂巣箱には このウジ虫のような幼虫がいる。 主に、巣箱下に積もる蜂の巣のクズ山の中に生息している。蜂を よく見ていると稀にスムシを咥えて飛び出していく。蜂群が強勢で働き蜂が たくさんいれば、スムシが急激に増える事はない。しかし、弱勢になると 巣クズにいるはずのスムシが巣板の中にまで入ってきて、ぼろぼろにして しまう。空き家の巣板はスムシから見れば巣クズの山のように見える。 スムシに追われて巣がだめになるという人がいるが逆。巣がだめになって スムシがはびこるのだ。 日本みつばちはどんな場所が好きか? 野生の蜂はどんな所で生活している のか。これが大事。一般には大きな木 のうろ。それも下の方。上の方のうろは鳥ちゃん用。つまり地面近くの方 が好きみたい。でも人家では床下よりは屋根裏の方が好きだし、一概には 言えない。 後は岩石の割れ目の奥の方。墓石の下の隙間とかに自然巣をよく作るらしい。 古い家の天井裏や板壁の隙間から入った空間とかにも自然巣を作る。という事を 総合すると1)暗くて安定して雨などが入ったりしみ込んだりしない場所。 2)夏でも涼しい場所。3)みつばちが通うとき、出入りしやすいように巣門 前方がある程度開けている場所。風が吹きすさばないような場所。とは言う ものの、結構風が絶えず吹いているような場所の、納屋の板壁の隙間から 出入りしている巣を見た事もある。これも一概には言えないよう。 ホームページ |