きみが我が家の裏の空き地に最初に現れたとき、
君はお母さんと一緒だった。
茫茫たる草むらにお母さんと同じ白と黒の模様のちいさい君。
初夏の頃、ここで生まれたんな。
 
小さくてやせていた君を見て、思わずご飯をあげた。
のらにはご飯をあげないようにと喧伝されているけど、あげた。
でも君たちは怖がって逃げちゃった。
翌日草むらに播いたご飯を見ると無かった。
「やっぱ食べたんな!」 なんか嬉しかった。
 
草むらのいつもの所を見るとまた君たちがいたので、
ちょっと近寄ってご飯を少し投げた。
でもやっぱ君たちは怖がって逃げちゃった。
だけどやっぱり後で食べたんな。
 
数日経つと、ご飯を投げても君は逃げなくなった。
お母さんは逃げるね。
こわごわだけど、 カリカリと小さい口で食べるんな。
 
それから数日経つと、僕が近くによっても君は逃げなくなった。
手にご飯を載せてあげてみた。
でも君はふーふーと怒った。
何度かそうする内に、ふーふーと怒りながらでも、
僕の手から直接カリカリと食べるようになった。
怒りながら食べるのん?
 
鼻から口にかけて黒い模様があって、
それが変なヒゲのように見えて、
「ぶさいくなヤツやなー」と思った。
 
僕の手からご飯を食べるようになって、
ある日お腹の下に手を入れてひょいと抱き上げてみた。
またふーふーと君は怒った。
風のように軽い。
抱かれたままでも、ご飯を食べた。
それからは毎日毎日そうやってご飯を食べるようになった。
ちっとも大きくならんな。
 
そうするうち、君は縁側の僕の作業場に毎朝来ては、
かすれた声でご飯をせがむようになったんな。
ご飯を食べ終わるとちょこんと作業台の上に寝そべって
僕の仕事を見るようになった。
 
ある日首輪をつけることにした。
今日から君は僕んちの家族だ。
嫁さんと相談して名前を付けた。「ふー」。
ふーふーとよく怒ったし、風のように軽かったし、
ふーてんだったから「ふー」。
 
近所の畑のおじいさんが野良猫を捕まえて自慢してた。
だからふーにはかわいそうだけど、
ひもをつけて隣の畑には行けないようにした。
ごめんね、
でもいっぱい幸せにずっとずっといっしょにいよう。
いそいでふーのケージを作った。
 
大きな犬のちーと、
お部屋の中で生活するお姉さん猫のみー(字はニャンチャ)と、
それからふーてんだったふー。
勿論、嫁さんとあきが僕の家族。またひとり増えちまったんな。
貧乏なんだけどな・・。
 
天気の良い日にふーと病院へ行く。
紙箱に入って嫁さんと助手席に。初めてのドライブ。
でも車が動き出すと怖くて箱から出て嫁さんにしがみつく。
 
お医者さんにいっぱい検査してもらった。
耳の中が真っ黒だって。ムシっこがいるんだって。
お医者さんが耳掃除の薬をじゃばじゃば入れて、
ぐちゅぐちゅ揉んで、ごしごし掃除してくれた。
真っ黒なごみがいーっぱい取れた。
よく耳をかいてたもんな。
 
それから予防ワクチン注射。痛かった?
でもじっとしていておとなしい猫ちゃんとほめてもらえた。
よかったね。これでかぜひかんな。
 
それから毎日、家でも嫁さんとふーの耳掃除。
病院でもらったお薬を耳にじゃばじゃば入れて、
ぐちゅぐちゅ揉んで、きれいに耳掃除。気持ちよさそう。
 
最初、ぶさいくなやーと思ってたふーの鼻の黒い模様。
でも今はそれがすごくかわいい。
ふーのトレードマークな。最近ちょっと体重も増えたんな。
 
fu  by ふーのとおちゃん
 
 
野良猫 にゃんにゃんのサンルーム作り

八尾ねこの会さくら